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【豆知識】6代目登場!背高ボディが軽自動車の世界を変えた「ワゴンR」の歴史と進化

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今でこそダイハツ「タント」やホンダ「N-BOX」といったスーパーハイトワゴンが主流となっている軽自動車ですが、1990年代から2000年代にかけてはスズキ「ワゴンR」やダイハツ「ムーブ」とった全高1600mmクラスのトールワゴン(ハイトワゴン)が主流でした。そして、その潮流を作ったのがワゴンRだったのです。2月1日に6代目となる新型が発表された今、改めてワゴンの歴史をおさらいしてみましょう。

初代(1993年):軽自動車の概念を変えたエポックな1台

ワゴンRが登場したのは、1993年。それまで軽自動車と言えば、スズキ「アルト」やダイハツ「ミラ」、三菱「ミニカ」といった1,400~1,500mmの全高を持つハッチバックモデルが主流でした。そこに1640mmという背高ボディを持って登場したのが初代ワゴンRです。
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RX(1993年)

アルトをベースに高められたフロアとルーフを持った初代ワゴンRは、アルトよりも広く感じられる室内空間とシンプルで機能的なスタイリングで大ヒット。一躍、軽自動車の主役となりました。当初はNA(自然吸気エンジン)のみの設定で、左側2ドア、右側1ドアの変則的なボディが特徴。ターボエンジン搭載車や通常の5ドアボディは、あとから追加されました。1995年にはダイハツがムーブを発売し、トールトワゴンが軽自動車の主流となります。

2代目(1998年):規格改正でサイズを拡大。キープコンセプトで質感をアップ

1998年、衝突安全性を向上させるため、軽自動車規格が改正に。ボディサイズは最大「全長3,300mm×全幅1,400mm」から「全長3,400mm×全幅1,480mm」へとなりました。この規格改正に合わせて、ワゴンRは初のフルモデルチェンジを実施します。
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FX-T(1999年)

ボディサイズが拡大された2代目ワゴンRのスタイリングは、キープコンセプトながら少し丸みを帯びた優しいテイストに。先代と同様の「1+2ドア」も用意されましたが、通常の5ドアが中心となってきます。エアロパーツ装着車へのニーズの高まりやムーブカスタムのヒットを受けて、スポーティな「RR(ダブルアール)」も設定されました。
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RR(1999年)

3代目(2003年):軽自動車初の直噴ターボを搭載。スティングレーも登場!

2度目のフルモデルチェンジは2003年。プラットフォームやサスペンションを一新し、基本性能の向上が図られました。スタイリングは、初代モデルに近いシンプルなものに。メカニズムの面では、軽自動車初となる直噴ターボエンジンが搭載され、話題を呼びました。
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FT(2003年)

スポーティなRRが用意されたのは、2代目と同様。モデルライフ後半の2007年には、ワイド感を強調したフロントマスクを持つ「ワゴンRスティングレー」が新たに登場し、迫力あるスタイリングへのニーズに対応しました。2008年6月には、国内累計販売台数300万台を達成します。

スティングレー(2007年)

4代目(2008年):スタイリッシュなデザインに一新。室内空間もさらに拡大

累計300万台を達成した3ヶ月後、2008年9月にワゴンRは4代目へと進化します。コンセプトは「快適 スタイリッシュ ワゴンR」で、よりロングホイールベース化された新プラットフォームが採用されました。
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FXリミテッド(2008年)

グレードとしてはRRを廃止し、カスタムタイプはスティングレーに一本化。全グレードでスペアタイヤが廃止され、パンク修理キットが装備され、スティングレーには軽自動車初となるタイヤ空気圧警報システムが標準装備されました。
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スティングレーTS(2008年)

5代目(2012年):最大70kgの軽量化を実現。エネチャージ搭載車も追加

およそ4年という短いスパンでモデルチェンジが行われ、5代目となったワゴンRは「軽ワゴン低燃費No.1新世代エコカー」がコンセプト。徹底した軽量化により、最大70kgのダイエットに成功。減速エネルギー回生機構システム「エネチャージ」、13km/h以下でエンジンを停止する「新アイドリングストップシステム」、蓄冷技術「エコクール」が採用され、当時、軽ワゴンNo.1の低燃費、28.8km/L(NAエンジン・2WD車)を達成しました。
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FX(2012年)

2014年にはISG(モーター機能付発電機)により減速時に蓄えた電力で加速時にパワーアシストを行う「S-エネチャージ」をNA(自然吸気)エンジン搭載車に設定。JC08モード32.4km/Lを達成します。2015年にはターボエンジン搭載車にも「S-エネチャージ」を設定し、28.0km/Lの低燃費を実現しました。
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スティングレーT(2012年)

6代目(2017年):マイルドハイブリッド搭載。外観デザインは3タイプ

そして2017年2月1日、ワゴンRは最新型となる6世代目が登場します。ひと目でワゴンRだとわかるスタイリングながら、デザインテイストを一新。スティングレーは、LEDがヘッドライトを採用した個性的なフロントマスクが採用され、横基調2段ヘッドライトを持つ「ハイブリッドFZ」も登場。3タイプのデザインが選べるようになりました。
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HYBRID FX(2017年)

発進時にモーターのみで走行できるマイルドハイブリッドが設定されたことも、ニュースのひとつ。軽量化も図られた新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」により、JC08モードは最高33.4km/Lとなっています。安全面では、「デュアルセンサーブレーキサポート(DSBS)」が搭載されました。
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HYBRID FZ(2017年)

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スティングレーHYBRID T(2017年)

国内累計販売台数440万台!ワゴンRも躍進はまだまだ続く

スズキ・ワゴンRの国内累計販売台数は440万台。現在は、ホンダ・N-BOXやダイハツ・タントといったスーパーハイト系に主役を奪われたものの、2003年度から2011年度までは9年連続で軽自動車ナンバーワンの販売台数を誇った実力はたしかなもの。見た目も中身も大幅に進化したニューモデルの登場で、軽自動車の勢力図はまた大きく変わるかもしれません。

問題(第1回3級)

現在の軽自動車の主流は、軽自動車枠のサイズを目いっぱい使い切り、軽自動車とは思えない実用性の高さを実現した「トールワゴン型」と呼ばれるタイプですが、このジャンルを築くことになったスズキのクルマは何ですか?

① アルト
② ワゴンR
③ ジムニー
④ エブリィ

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text by 木谷宗義+Bucket
画像提供:スズキ