オーソドックスなハッチバック、スズキ ワゴンRを始めとしたハイト系、そしてさらに室内空間を高めたスーパーハイト系と、軽自動車の主力は時代とともに変化しています。では、スーパーハイト系が主力となるきっかけとなったクルマは何だったでしょうか?
答えは2003年11月に発売されたダイハツ タント。今回は、タントが登場した背景とヒットの理由を紐解いてみましょう。
ママから絶大な支持を得た初代
長らく軽自動車には、車体価格や維持費の安さ、日常の足としての気軽さといった要件が求められてきました。1990年代にスズキ ワゴンRがヒットすると、軽自動車へのニーズも変化。広い室内空間や普通車に負けない装備、デザインといったプラスアルファの価値が求められるようになります。
3代目ダイハツ ムーブ(2002年)
ダイハツには、ワゴンRと人気を二分するハイト系のムーブがありましたが、さらに主婦を中心としたファミリー層をメインターゲットに据えた新型車を開発。それが「幸せ家族空間」をコンセプトとして2003年にデビューしたのが初代タントです。
初代ダイハツ タント(2003年)
軽自動車最大級の圧倒的な室内空間とそれがもたらす高い機能性が、子育て層の注目を集め、「ママのワゴン」としてヒットを記録。ダイハツはこのタントで、新たな軽自動車のマーケットを作り上げ、タントはダイハツの軽自動車の第3の柱にまで成長します。
3つのコンセプトで新たな価値に挑戦した2代目
初代登場から4年後の2007年12月。タントは初のフルモデルチェンジを受け、2代目となりました。この進化には、3つのコンセプト、「ミラクルスペース」「ミラクルオープンドア」「ミラクルユーティリィ」が反映されています。
2代目ダイハツ タント(2007年)
ミラクルスペースは、文字どおり室内空間の拡大。親子で楽しく会話できるゆとりが与えられています。ミラクルオープンドアは、90度近くにまで開くフロントドアと、軽自動車初のセンターピラーレス&スライドドアのこと。圧倒的な昇降のしやすさと解放感をもたらしました。
そしてミラクルユーティリティは、現役の子育て層の意見を反映して利便性を追求。自転車も積める積載性や多様なシートアレンジ、そして多数の収納など、日常の使い勝手の向上を実現しました。
軽というよりファミリーカーとして定着した3代目
そしてタントは2013年に現行型の3代目に進化します。ミライースで低価格と低燃費を、ムーブで基本性能の向上と先進装備の充実をと、軽自動車の可能性を追求してきたダイハツは、これらの要素を3代目タントに反映します。
3代目ダイハツ タント(2013年)
これまでタントが作り上げてきた基本的な成り立ちはそのまま、最新エンジンの採用で燃費は最大28km/Lに。低速域衝突回避支援ブレーキ機能や誤発進抑制制御機能、先行者発進お知らせ機能などをパッケージした「スマートアシスト」を設定するなど、時代に合わせた性能と機能を持つことで、軽自動車としてではなくファミリーカーとしての魅力を高めました。なお、スマートアシストは2016年12月現在、スマートアシストⅢへと進化しています。
スマートアシストⅢ(イメージ)
タントがスーパーハイト系というジャンルを切り拓いてから10年以上が経過しましたが、このジャンルの勢いは衰え知らず。さらにダイハツは、タントを超える室内空間を持つウェイクを登場させるほどです。いずれにしても、そのユーザーのライフスタイルに溶け込み、さらにその楽しみを広げてくれることが、多くの人の共感を得たのでしょう。
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text by 阿部哲也+Bucket
画像提供:ダイハツ工業