【豆知識】FCAにより生まれた2つのコンパクトSUV「ジープ・レネゲード」と「フィアット・500X」

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2015年、ジープから「レネゲード」、フィアットから「500X」という2つのコンパクトSUVが発売されました。まったくスタイリングの異なるこの2台、実は基本設計を共有する兄弟車のような存在なのです。

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ジープとフィアットは同じ会社!?

アメリカでタフな4WDを生産するジープと、おしゃれで都会的なコンパクトカーを得意とするフィアット、国も方向性もまったく違うブランドですが、実は同じ会社「フィアットクライスラー・オートモービルズ(FCA)」が保有するブランドなのです。

もともとジープブランドは、アメリカ・ビッグ3のうちの1社、クライスラーが保有するブランドでしたが、金融危機などの影響により、2009年に経営破綻。クライスラーが再建手続きを完了すると、もともとクライスラーの株式を保有していたフィアットCEOのセルジオ・マルキオネン氏が、CEOに就任し、2014年にはフィアットがクライスラーの発行済株式のすべてを買い取り完全子会社化。同年10月に両社が合併した「フィアットクライスラー・オートモービルズ(FCA)」となったのです。

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そしてFCAの誕生により、国境を超えたコンポーネント共有が行われるようになり、500Xとレネゲードが誕生しました。ちなみに、FCAには、フィアット、クライスラー、ジープの他にも、アルファロメオとアバルトという2つのイタリアンブランドも含まれます。

ジープの概念を覆したレネゲード

レネゲードは、FCAが世界に発信するグローバルモデルとして開発されました。2008年に同名のコンセプトカーが発表されていたのですが、クライスラーが倒産したことでFCAが開発を引き継ぎ、2014年3月のジュネーブモーターショーで正式発表。それから遅れること約1年半後の2015年9月に日本で発売されます。

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車体にはFCAとして新開発の「スモール-ワイド4×4アーキテクチャー」が用いられ、全長4255×全幅1805×全高1695mmというそれまでのジープのイメージを覆すコンパクトボディが大きな特徴です。ジープらしい雰囲気を残しながら、愛らしいスタイリングで従来のジープとは違うムードをまとっています。

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パワートレインは、最高出力170psを発揮する2.4L直列4気筒エンジン+9速ATと、140psを発生する1.4L直列4気筒ターボエンジン+6速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)の2種類。2.4Lこそ四輪駆動を採用していますが、1.4LモデルはなんとFF(前輪駆動)と、「力強さがすべて」だったジープとしては意外なメカニズムを持ちますが、時代のニーズやレネゲードを使用するシーンを考えると、ちょうどいいのでしょう。

日本での価格は297万円から。デザインからメカニズムまで、色々な意味でジープの常識を覆す新世代のジープだと言えそうです。

見事というほど違うイメージに完成したフィアット・500X

500Xは、レネゲードから遅れること約1ヶ月後の2015年10月に日本で発売されました。レネゲードとベースは同じだけに、2.4Lと1.4Lターボのエンジンは共通で採用されています。

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しかし、一見しただけではレネゲードと兄弟車とは思えないデザインが特徴です。ボディサイズは全長4250×全幅1795×全高1610mmとレネゲードよりは少々小柄。しかし、その秀逸なデザインによって、フィアット500の兄貴分としての存在感を誇っています。

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インテリアも基本的な構造はレネゲードと同じですが、細部のパーツの違いやカラーの使い方などで、まったく違う世界を表現。ボディカラーがとり入れられたインパネなどに、フィアット500と共通のテイストを感じさせてくれます。

レネゲードに比べて500Xの方が落ち着いた雰囲気になっているのは、レネゲードがジープにとってもっともコンパクトなモデルであるのに対し、500Xはフィアットにとって上級車種であるというポジショニングが関係しているのでしょう。

メカニズムは共通でも、まったく違うキャラクターのクルマに仕上がっているところに、クルマのおもしろさを感じますね。みなさんはジープ・レネゲードとフィアット・500X、どちらがお好みでしょうか?

text by 阿部哲也+Bucket
画像提供:FCAジャパン

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