SUPER GT 2017シリーズの最終戦が、11月11日(土)~12日(日)にかけて行われました。決戦の地は、栃木県茂木町の「ツインリンクもてぎ」。今シーズンは、GT500クラスもGT300クラスもチャンピオン決定が最終戦までもつれ込んでおり、その行方に注目が集まりました。
最終戦は全車ノーハンデのガチンコレース
最終戦では、それまでに積まれてきたウェイトハンデが降ろされ、すべてのマシンがもっとも軽量な状態に。開幕戦もウェイトハンデなしで行われますが、エンジンや足回りなどのセットアップもシーズンを通して熟成され、より速いマシンへとなっているはず。マシンとチームの実力が表れる一戦だともいえるでしょう。チャンピオン決定戦でもあるため、可能性があるチームにとっては緊張感あふれるレースウイークだったに違いありません。
GT500の予選ではチャンピオンに一番近い「#37 KeePer TOM’S LC500」が3番手タイムに。渾身のアタックを続けた「#23 MOTUL AUTECH GT-R」がコースレコードを塗り替えてトップに立ちました。
その結果、実質的にチャンピオン争いをしているランキング上位の3台がトップ3に並びましたが、順番はランキング3位の「#23 MOTUL AUTECH GT-R」が予選トップ、ランキング2位の「#6 WAKO’S 4CR LC500」が予選2位、ランキングトップの「#37 KeePer TOM’S LC500」が予選3位となり、ライバルチームの順位によって逆転チャンピオンも可能性が残る予選結果となりました。
一方のGT300は「#55 ARTA BMW M6 GT3」がレコードタイムを叩き出して1位に。2番手に「#25 VivaC 86 MC」、3番手に「#33 D’station Porsche」が続く、激しい順位争いが行われました。
「#65 LEON CVSTOS AMG」も2番手に食い込みますが、「#55 ARTA BMW M6 GT3」には追いつかず、「予選順位が決まり始めてきたか?」というタイミングで、ランキング1位の「#4 グッドスマイル 初音ミク AMG」がコースレコードを更新する速さを見せ、ポールポジションを獲得しました。ランキング2位の「#51 JMS P.MU LMcorsa RC F GT3」は予選8番手となり、チャンピオン獲得には苦しいポジションからのスタート。
F2戦闘機のフライトやDTMマシンのデモランも
決勝日は、航空自衛隊が誇るF-2戦闘機が華麗なデモ飛行や、車両規定の共通化を図るドイツDTMシリーズの車両によるデモランやSUPER GTマシンとの共演が行われるなど、最終戦らしいさまざまなイベントが。DTMマシンとの共演は、DTMの最終戦でSUPER GTマシンがデモランを行った“お返し”でもあり、その走りにはファンだけではなく関係者も大いに注目していました。
序盤から激しいレース!タイトルの行方は?
決勝は、栃木県警の白バイとパトカー、ドイツDTMマシン、その後方からSUPER GTマシンという隊列でのパレードラップからスタート。しかし、レース開始直前で、ポールポジションの「#23 MOTUL AUTECH GT-R」に2番手の「#6 WAKO’S 4CR LC500」が追突してしまうアクシデントが……。
その結果、「#6 WAKO’S 4CR LC500」は徐々に後退してしまい、決勝の行方は「#23 MOTUL AUTECH GT-R」とランキングトップの「#37 KeePer TOM’S LC500」との争いとなっていきました。
トップ争いが膠着している中で、3位以降ではレクサス、日産、ホンダの各陣営がポジション争いを行います。3番手に「#38 ZENT CERUMO LC500」がきたことで、チャンピオンへの優勢が見えてきたのか「#37 KeePer TOM’S LC500」は、若干レースコントロールをしているようにも感じられました。
最終的にこの第8戦は「#23 MOTUL AUTECH GT-R」が“ポールtoウイン”を果たして勝利! シリーズチャンピオンは、ポイントランキングトップだった「#37 KeePer TOM’S LC500」が2位に入ったことで、37号車に確定しました。ドライバーの平川亮選手、ニック・キャシディー選手は2人とも23歳。とてもフレッシュなチャンピオンの誕生です!
一方のGT300クラスは、ポールポジションスタートの「#4 グッドスマイル 初音ミク AMG」から「#55 ARTA BMW M6 GT3」「#65 LEON CVSTOS AMG」「#25 VivaC 86 MC」「#11 GAINER TANAX AMG GT3」「#33 D’station Porsche」と、それぞれにチャンピオンの可能性があるレースだったものの、激しいバトルや大きなトラブルはなく、淡々と展開されていきます。タイヤ交換も、4輪だったりリア2輪だけたったりと、作戦も各チームでまちまちでした。
しかし、淡々とレースが進んでは、どのチームもチャンピオンにはなれません。それぞれの思いの中でレースをプッシュしていきます。その中でトップに躍り出て勝者となったのは「#65 LEON CVSTOS AMG」でした。しかし「#4 グッドスマイル 初音ミク AMG」が3位に入ったことで、チャンピオンは「#4 グッドスマイル 初音ミク AMG」に! 谷口信輝/片岡龍也ペアは、3年ぶり3回目のチャンピオンに輝きました。
2017年シーズンのすべてが終わった
ツインリンクもてぎで行われるSUPER GT最終戦では、毎年グランドフィナーレが行われます。全選手がステージに上がり、最後まで残ってくれたファンに向けて記念グッズをプレゼントするのです。これを持ってSUPER GT 2017年シーズンは、すべてのイベントを終えました。
長く激しいレースが行われた2017年。特に今年から新モデルへと移行したGT500クラスは、各陣営の開発などに大きく差が開き「レクサス優勢なのでは?」と憶測が並びましたが、終わってみればレクサス、日産、ホンダの各陣営がバランスよくランキングに並び、レースの難しさが現れていたように思えます。
GT300クラスは、GT3マシンとマザーシャシーのマシンによる拮抗したレースが行われ、またバラエティに富む車種の参戦により、見ているファンも楽しめたシーズンだったのではないでしょうか。2018年シリーズは一体どうなっていくのか、終わったばかりですが早くも楽しみですね!
フォトギャラリー
<Results>
~GT500クラス~
1位:#23 MOTUL AUTECH GT-R
2位:#37 KeePer TOM’S LC500
3位:#38 ZENT CERUMO LC500
4位:#17 KEIHIN NSX-GT
5位:#100 RAYBRIG NSX-GT
~GT300クラス~
1位:#65 LEON CVSTOS AMG
2位:#55 ARTA BMW M6 GT3
3位:#4 グッドスマイル 初音ミク AMG
4位:#9 GULF NAC PORSCHE 911
5位:#25 VivaC 86 MC
text & photo by 雪岡直樹+Bucket
<関連リンク>
https://supergt.net/
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