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【モータースポーツ】元F1チャンピオンとスーパーフォーミュラチャンピオンがシリーズタイトルの栄冠に! SUPER GT 2018 最終戦「もてぎ」

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全8戦で行われるSUPER GT 2018年の最終戦「MOTEGI GT 250km RACE GRAND FINAL」が栃木県茂木町の「ツインリンクもてぎ」で、11月10日(土)~11日(日)に開催されました。

2018年シリーズは、7戦目終了時点でチャンピオンが確定しておらず、GT500クラスは「#100 RAYBRIG NSX-GT」と「#1 KeePer TOM’S LC500」が同点で最終戦へ。GT300クラスは「#55 ARTA BMW M6 GT3」が有利ではあるものの、12ポイント差の「#65 LEON CVSTOS AMG」以降、6台がチャンピオン候補という混沌とした状況の中で最終戦を迎えました。

予選日は雨から晴れへ。ロングランもままならぬまま予選へ

金曜日の日中に行われた搬入のタイミングでは晴れていましたが、設営が終わった深夜からもてぎは雨が降り始めていました。土曜日の朝早く雨は止んだものの、午前中に行われる公式練習の時点で路面は濡れており、ウェット宣言が出された中で練習走行の開始です。

路面が乾くのを待つチームもあれば、周回を重ねマシンのアタリや各部の確認のために走るチームもあり、練習走行の時間の使い方はそれぞれ。しかし、ポイントは“温度”にありました。練習走行と予選が行われた土曜日は、朝の段階で気温が17度と上がっていました。11月のもてぎと言えば、本来はそこそこ寒い時期。各チームは、タイヤもその気温や路面温度に適したものを持ち込んでいます。

しかし、予想よりも気温が上がったため、路面温度も高くなっていきました。本来ならば、公式練習で予選と決勝に向けたロングラン、それぞれのセットアップを決めていくものですが、決勝日の天気予報は「晴れ」。路面温度が変化していく中でテストをしても、データが活かせるか微妙なため、ロングランテストもままならないでいるチームもあったようです

予選での位置関係が、決勝とチャンピオンへの道筋を示す

午後になると晴れ間も見えて路気温も上がり、予選開始時には好タイムが予想されるコンディションとなりました。GT500クラスでトップに立ったのは「#8 ARTA ARTA NSX-GT」、2位はチャンピオン候補の「#100 RAYBRIG NSX-GT」、3位「#64 Epson Modulo NSX-GT」。NSX勢が上位を占める結果となりました。4位は「#38 ZENT CERUMO LC500」5位「#17 KEIHIN NSX-GT」、もう1台のチャンピオン候補である「#1 KeePer TOM’S LC500」は6位となり、微妙な距離に。

02 03写真は決勝時(以下同じ)

GT300クラスは「#88 マネパ ランボルギーニ GT3」が予選トップ、2位は逆転チャンピオン候補の「#65 LEON CVSTOS AMG」、3位もチャンピオンを狙える「#0 グッドスマイル 初音ミク AMG」という並びに。ランキングトップの「#55 ARTA BMW M6 GT3」は10番手とタイトル獲得には苦しい順位となってしまいまいた。

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GT500は“直接対決”の勝者が年間チャンピオンに!

そして迎えた決勝日。航空自衛隊松島基地のF−2戦闘機によるウエルカムフライトが行われ、栃木県警の警察車両によるパレードラップののち、いよいよ決勝のスタートです。

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GT500クラスはポールポジションの「#8 ARTA ARTA NSX-GT」が、序盤から逃げていきます。後方では「#100 RAYBRIG NSX-GT」が、ポジションキープをしながら順当に周回を重ね、その後ろを同点で100号車よりも前でチェッカーを受けないことにはチャンピオンになれない「#1 KeePer TOM’S LC500」が猛追する展開に。今回は250kmレースということで、全長4.8kmのツインリンクもてぎでは、周回数は53周です。ドライバー2人で戦うSUPER GTでは今回、ミニマムで20周目から早くもピットストップが始まりました。

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最大の見所は、チャンピオン争いを行い、前を行く「#100 RAYBRIG NSX-GT」と後ろから追い上げる「#1 KeePer TOM’S LC500がどのタイミングでピットに入るかでしたが、なんと29周目に同時ピットインを行いました。ピットストップでは順位の入れ替わりは起きなかったものの、コース復帰のタイミングで両者の間には他のNSX-GT勢、レクサス勢が挟まる混戦模様に。

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「#1 KeePer TOM’S LC500はぐんぐん追い上げを見せてついに「#100 RAYBRIG NSX-GT」の背後にまで迫ります。ハラハラドキドキした追い上げが見られましたが、ついに追い抜くまでにはいたらず、100号車が逃げ切る結果に。直接対決を制した「#100 RAYBRIG NSX-GT」が3位でチェッカー、「#1 KeePer TOM’S LC500」は4位フィニッシュとなり、SUPER GT 2018年シーズンの年間チャンピオンは、「#100 RAYBRIG NSX-GT」となりました。

レースとしては「#8 ARTA ARTA NSX-GT」が“ポール・トゥ・ウィン”の完全勝利を納めましたが、ドライバーの野尻智紀/伊沢 拓也の両選手は、勝者にも関わらずあまり嬉しそうな表情を見せず、このレースの難しさを示していました。

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トップでチェッカーを受けた「#100 RAYBRIG NSX-GT」の山本尚貴選手は、先にスーパーフォーミュラでもチャンピオンを獲得しており、SUPER GTでも戴冠したことで国内トップカテゴリーの2冠を制する結果に。また、山本選手と100号車を駆ったジェンソン・バトン選手は、参戦初年度でチャンピオンに輝く偉業を達成しました。さすがは元F1チャンピオンといったところでしょう。

優勝候補が戦線離脱したGT300

GT300クラスは、「#88 マネパ ランボルギーニ GT3」がスタートから逃げていく展開になり、その後方では「#0 グッドスマイル 初音ミク AMG」がポジションをあげ、さらに予選4番手の「#61 SUBARU BRZ R&D SPORT」もポジションアップを果たします。つまり、2番手スタートの「#65 LEON CVSTOS AMG」が5番手までポジションダウンしたのです。

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GT300クラスも20周目あたりからピットインが始まりますが、給油のみを行いタイヤ無交換でピットを出ていくチームや、ツインリンクもてぎのコースは“右回り”で左タイヤの消耗が激しいため、左側2本を交換して出て行くチームなど、いつも通りさまざまな戦略が見られました。

そんな中、トップを走っていた「#88 マネパ ランボルギーニ GT3」が二度のタイヤトラブルで戦線離脱。そして、ピット戦略でポジションを上げてきたのは、予選8番手スタートの「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」でした。

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実は、予選Q1を14番手でギリギリの通過し、Q2でどうにか8番手までポジションアップしてきた「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」。決勝ではタイヤ無交換作戦で一時はトップに立つなど、決勝に向けた作戦がハマっていたようで、気がつけば2番手にまでポジションアップしていたのです。

結果的に「#65 LEON CVSTOS AMG」がタイヤ無交換作戦でトップに立ち、そのままチェッカー。チャンピオン候補の「#55 ARTA BMW M6 GT3」は、ペースが上がらないまま後退していき、決勝では9番手フィニッシュとなりました。この結果12点差あったポイントを逆転して、「#65 LEON CVSTOS AMG」がチャンピオンに!

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グランドフィナーレ。そして2019年シーズンへ

SUPER GT第8戦「MOTEGI GT 250km RACE GRAND FINAL」ではレース後、ホームストレートに特設ステージが設置され、参戦ドライバー全員が集まって1年間の応援に対する感謝のグランドフィナーレが行われました。

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ドライバー全員が集まるのは、開幕戦の記念撮影以来となるので、ファンにとってはたまらない瞬間です。最後はプレゼントの投げ込みなども行われ、2018年のシーズンに幕が下されました。来シーズンの新しい参戦チームや新しいマシンの噂、そしてストーブリーグの話もすでに出ています。来年はどのような戦いになるのか、2019年シーズンが今から楽しみです。

<Results>
~GT500クラス~
1位:#8 ARTA NSX-GT
2位:#38 ZENT CERUMO LC500
3位:#100 RAYBRIG NSX-GT
4位:#1  KeePer TOM’S LC500
5位:#19 WedsSport ADVAN LC500

~GT300クラス~
1位:#65 LEON CVSTOS AMG
2位:#31 TOYOTA PRIUS apr GT
3位:#0  グッドスマイル 初音ミク AMG
4位:#87 リーガルフロンティア ランボルギーニGT3
5位:#11 GAINER TANAX GT-R

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text & photo by 雪岡直樹 edit by 木谷宗義

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