2010年4月、メルセデス・ベンツを生産するダイムラーAGとルノー・日産アライアンスは、ベルギーのブリュッセルで「戦略的提携」を発表しました。当初は、欧州での3つのプロジェクトのみでしたが、毎年のように提携強化を発表。アジアや北米へもプロジェクトを拡大しています。
提携によって生まれたクルマたち
戦略的提携を象徴するのは、プラットフォームやパワートレインを共有することで生まれたクルマの数々でしょう。
ダイムラー×ルノー・日産の提携では、たとえばこんなクルマが生まれています。
ルノー・トゥインゴ
スマート・フォーツー/フォーツーカブリオ
ダイムラーとルノー・日産が、設計から完成まで初めて完全共同開発を行ったクルマが、ルノー・トゥインゴとスマート・フォーツー/フォーフォー。RR(リアエンジン後輪駆動)のプラットフォームやパワートレイン(エンジンなど)を共有する他、トゥインゴとフォーフォーは同じ、スロヴェニアの工場で生産されています。
「シタン」は2010年の提携発表後、その最初の果実として発売されたモデル(日本未導入)。ルノー・カングーをベースに、独自の内外装が施された、メルセデス・ベンツのLCV(小型商用車)です。カングーと同じ、フランスの工場で生産されます。
パワートレインの共用化の一環として、2014年に登場した日産・スカイライン200GT-tには、ダイムラー設計の2.0Lガソリンターボエンジンが搭載されました。
2017年後半から各国で順次、発売されることが予定されているメルセデス・ベンツのピックアップ「Xクラス」は、日産の新型「NP300ナバラ」とプラットフォームなどを共有することにより誕生。生産も、NP300ナバラが生産されるアルゼンチンやスペインの工場で行われる予定です。
写真は日産・NV350キャラバン
ダイムラーAG傘下の商用車メーカーである「三菱ふそうトラック・バス」に、日産は「NV350キャラバン」をOEM供給。三菱ふそう「キャンターバン」として、中東エリアで販売されています。反対に、三菱ふそうのトラック「キャンターガッツ」は、「NT450アトラス」として日産ブランドで日本などで販売されています。
日産が北米などで展開している高級ブランド「インフィニティ」のクロスオーバーSUVが、「Qx30」。2015年に発表されたこのクルマは、プラットフォームなどをメルセデス・ベンツ「Aクラス」と共有します。
戦略的提携はますます広く深くなる
ここまで、戦略的提携によって生まれたクラスを紹介してきましたが、提携の要は大きく4つだと言えるでしょう。
- パワートレイン供給
- 既存車種のOEM
- 生産工場の共有(完成車、エンジン)
- EV(電気自動車)などの技術提携
グローバル化が加速するクルマの世界で、メーカー間の提携が進むのは不思議ではありませんが、2010年当時、ダイムラーとルノー・日産アライアンスが提携を結ぶのはちょっと意外でした。この提携によってこれからどんなクルマが生まれてくるのか、注目していきたいところです。
text by 木谷宗義
photo by 日産自動車、メルセデス・ベンツ日本、ルノー・ジャポン
▼くるまマイスター検定に役立つ知識はこちらから
https://car-days.fun/blog/tag/豆知識