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【コラム】工藤貴宏のジドウシャ・ジャーナリスト日記 2017年9月

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みなさんこんにちは。自動車ジャーナリストの工藤貴宏です。

気が付けば、小学生のころから自動車雑誌を読んでいた僕が自動車メディア業界に入って約20年。自動車雑誌編集部や編集プロダクション勤務を経てフリーランスとなってからも10年ちょっとが過ぎました。

業界では「若手」と言われるけれど、一般社会的にはすっかりオヤジ。そんなワタクシの、1カ月間に乗ったクルマや起きた出来事を、日記のようにまとめていこうというのがこの企画です。それでは記念すべき第1回、2017年9月のジャーナリスト日記をお届けしましょう。

ワゴンRからSクラス。そして発売前の新型車まで

【9月4日】首都高でアイサイトツーリングアシストを試す

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東京タワーの下にあるクラシカルなスタジオ(以前はテレビ東京の社屋だったらしい)を拠点に新型レヴォーグの公道試乗会。新型レヴォーグは発売前の「アイサイト新機能体験会」、発売直後に峠道風のクローズドコースでおこなわれた「レヴォーグ試乗会」、そして今回と3回目。スバルの情熱がひしひしと伝わってくるなあ……。

スバルは、「アイサイトツーリングアシスト」を渋滞も含めたリアルワルードで試して欲しいから今回の拠点に東京タワーを選んだそうだけど、こういう日に限って首都高は渋滞なし。でも、ステアリングに手を添えているだけで車線の中央を走らせるステアリング制御のスムーズさと正確さはしっかり確認できた。お世辞抜きに、制御の巧みさはトップ集団の中にいると思う。

【9月6日】新型N-BOXの試乗会へ

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御殿場で黄色が似合うコンパクトスポーツカーの撮影&取材をした後、午後は新型N-BOXの試乗会。この手のクルマは車体が重いから自然吸気エンジンだとパワー不足を感じがちだけど、新型N-BOXはそれが少ないのがいい。「軽自動車だからこのくらいでいいだろう」という妥協が一切ないのがしっかり伝わってきたけど、デキがよすぎるからフィットのユーザーを奪ってしまうんじゃないかとちょっと心配。

【9月7日~】ボルボV90クロスカントリーでロングドライブ

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もうすぐ登場するニューモデルの原稿を書くために備えるという名目で、試乗会でしか乗っていなかったボルボV90クロスカントリーT5の広報車を長めに借りてチェック。ボルボのワゴンらしく荷室をアウトドアグッズで満載にしてキャンプに出かけたり、1日で600km近くを走ってロングツーリングの印象を確かめてみたり。

新世代になってクルマはずいぶんと変わったけど、長く走り続けても疲れないのは相変わらずでさすが。硬くなったシートもやっぱり疲れない。物理スイッチを排除して大型液晶を組み合わせた操作系は、想像以上に使いやすいことを確認できた。こういうクルマをパートナーにのんびり暮らしたいなあ。

【9月12日】レンジローバー ヴェラ―ルと初対面

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レンジローバーの突然変異種的な新型車、ヴェラールを軽井沢で試乗。見た目は美しいし、インテリアは上質だし、液晶ディスプレイを3つも組み合わせたインパネはスタイリッシュかつ先進的だし、上手に時代に乗っている感じはさすが。ステアリングスイッチまでディスプレイ内蔵でいちいちカッコいい。カイエンとどっちを買おうか大いに悩みそうだ(買えるだけの財力があればだけど……)。

【9月13日】ないしょの撮影 その1
茨城方面でまだ発売前の某車の撮影。というわけで詳しいことはまだ書けないけど、ボディの変わらない追加モデルなのにプラットフォームが新しくなっているなんてちょっと凄い。というか珍しいパターン。

【9月15日~】ワゴンRの使い勝手を再確認

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ワゴンRの広報車を借りてしっかりチェック。これがあれば日常生活では困らないなと思う実用性の高さ。話題の傘ホルダーは、運転席からだとちょっと使いにくい。後席用と割り切ったほうがよさそう。

【9月16~17日】富士でKYOJO CUPのお手伝い
レジェンドドライバーの関谷正徳さんが音頭を取って今年から開催している「KYOJO CUP(競争女子選手権)」のお手伝いをしに、前日に借りたワゴンRに乗って富士スピードウェイへ。

自然吸気の軽自動車を運転しながら感じたのは富士スピードウェイへ向かう中央道の勾配のきつさ。気を抜くとどんどんスピードが落ちてしまうのだ……。高速道路や幹線道路を走る予定のある軽自動車選びなら、ターボエンジンを選んだほうがいいと再認識。運転が楽になる。レースの方は、小山美姫選手の精神力の強さをまたしても見せ付けられた。

【9月18日】ないしょの撮影 その2
神奈川某所(日産関係ではない)で、まだまだ発表前だからいえない某車の取材/撮影。このくらいのサイズ感がいいよね。

【9月19日AM】新しいSクラスで上流階級気分

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試乗会で新しいベンツSクラスに乗って上流階級の気分を味わう。至れり尽くせり感は言うまでもなく、インパネなんかも液晶パネルの縁がなくなるなど、マイナーチェンジ前とは細かく変更されていてひときわ上質になっていた。

話題のスマホで車外から操作できる自動パーキングは頻繁に使う装備というよりは、「ついていることが重要」という印象。だって、ライバルには付いていないんだから。あと、クルコンの操作方法がレバーからステアリングスイッチへ変わったのは大事件。断然使いやすい!

【9月19日PM】GRシリーズお披露目会でヴィッツが気になる

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メガウェブでトヨタの新スポーツカーブランド「GR」お披露目会。210psの1.8Lスーパーチャージャー付エンジンを積んだヴィッツのスペシャルモデル(鋭意開発中)は、フランスで作って輸入するんだとか。もし噂されているように300万円前半で販売するなら、内容を考えると非常に安い。かなり気になる。前作に続いて即完売だろうね。

【9月21日~】エスクード1.4Tの低燃費に驚く

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実は新型エスクードが嫌いじゃない、というか結構好き。というわけで追加されたエスクード1.4Tをさっそく長期試乗。座った瞬間に硬いシートとか、一般道では硬いけど速度が高まると絶妙な足回りとか、なんだか個性が強かった時代の欧州車の雰囲気だ。欧州向けの開発が行われ、ハンガリーで作られて輸入している日本仕様もその味付けのまま。クルマ好きなら見逃せない隠れ名車と認定しよう。

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驚いたのが燃費の良さ。北茨木まで片道約200kmを出かけ、高速は大型トラックのペースで走ったら燃費計は21.7km/Lをマーク。追い越し車線の流れで走った帰り道も18.7km/LとJC08モードを大きく超える、信じられないような数値だった。燃費計が嘘をついているのかと思って満タン法で確認しても、往復で20km/L超。一体どうなっているんだスズキ?
ガソリンはレギュラー対応でそこはしっかり日本向けに変更されていた。唯一惜しいのは、クルーズコントロールが渋滞対応していないこと(40km/hを下回ると解除される)。

【9月26日】黄色が似合うコンパクトスポーツカーに乗る

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木更津で黄色いスイフトスポーツの試乗会。ターボ付になったから、動力性能では国産ライバルを蹴散らす感じ。ハンドリングも楽しいし、本体価格200万円を切るコストパフォーマンスも素晴らしい。意地悪にウィークポイントをあげれば、高い速度域までしっかり安定する操縦性になってしまったゆえに性能を堪能するならサーキットを走らなければいけない領域になってしまったこと。……と感じた人にはアルトワークスの出番ってことなのだろう。

【9月27日】ときにはタイヤの試乗会にも

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暗いうちに東京を抜けて、横浜ゴムのテストコースで新作タイヤ「ADVAN dB V552」を従来製品と比較しながら試乗。静かさが売りのプレミアムタイヤだけど、ウェット路面でのグリップやコントロール性が上がっているのに驚いた。タイヤの進化って凄いなあ。

【9月28日】ないしょの撮影 その3
小田原で某新型車の取材。至れり尽くせりっぷりはさすが。これも現段階では内緒ということでひとつ。

10月は東京モーターショーが待っている

……というわけで、あっという間に過ぎ去った9月。しばらくは東京モーターショーに向かって怒涛の綱渡りスケジュールが続きそうです。人に見せられないくらい雑然としていう部屋の片づけは、来月に持ち越し決定! 来月こそできるといいんだけど。

【工藤貴宏】
モータージャーナリスト、自動車ライター
自動車雑誌編集を経て、フリーランスのジャーナリストへ。新車紹介や試乗記事を中心に雑誌やWebに寄稿する。年間試乗台数は250台。「車は誰を幸せにするのか?」をテーマに独自の切り口でクルマを評価する。

text & photo by 工藤貴宏+Bucket

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