マシンが激しいバトルを繰り広げるレース中のワンシーン、レースの合間に見せたドライバーの一瞬の表情……。雑誌やWebメディアでレースの記事を見ていると、実にさまざまな“瞬間”が切り取られています。こうした写真はもちろん誰にでも撮れるものではなく、豊富な経験と技術が必要なもの。
2018年1月18日(木)~ 1月29日(月)にかけて東京・六本木で行われた日本レース写真家協会報道写真展「COMPETITION」では、プロのレース写真家が撮影したモータースポーツのさまざまな“瞬間”が一堂に会しました。
JRPA「日本レース写真家協会」とは?
日本レース写真家協会:JRPA(Japan Racing Photographers Association/通称ジャルパ)は、1971年に創立されたプロフェッショナル・モータースポーツフォトグラファー団体。現在およそ60名が所属しており、会員は国内外の2輪/4輪レース、ラリーの報道写真家として広く活躍しています。
日本レース写真家協会報道写真展は、同団体が毎年行っている写真展で、会員であるフォトグラファーが前年に撮影した写真の中からもっとも印象に残った1枚を選び、展示するもの。ご覧のように、迫力のある鮮やかな写真が、ギャラリースペースを彩りました。
ギャラリートークで1枚に込めた想いを知る
取材日は、フォトグラファーが自身の作品について解説を行うギャラリートークが実施されました。ひと目で心を揺さぶる作品が、どのような手法で、またどのような想いとともに撮影されたのかを知ることができる、貴重な機会です。そのエピソードの一部をご紹介しましょう。
石橋道尚さんの作品は、F1第10戦イギリスグランプリで、ルイス・ハミルトン選手が優勝して胴上げをされているシーン。石橋さんは、「去年撮れなかったから、今年ハミルトンが優勝したら絶対ここで撮ろうと思っていた。とにかく最前列で撮影するために、1時間ぐらい待っていた」と話します。
KURUTOPiではおなじみの、竹岡圭さんのアバルト500ラリーカーを撮影したのは、永元秀和さん。全日本ラリー第9戦「新城ラリー」でのひとコマで、迫力あるスペシャルステージ(競技区間)はなく、雰囲気を伝えるため、あえてギャラリーの中を移動する様子を移しているのが特徴です。「モータースポーツは時代を表すもの。いま日本では、WRC開催が検討されている。10年後20年後に『こんなことがあったね』と思ってもらえることが報道写真だと思う」と永元さん。
田村弥さんは、SUPER GT第2戦「富士500kmレース」での写真を選定。「暮れた写真を撮りたかった」と撮影したものだそうですが、レースカメラマンは“自分の作品”を撮るだけが仕事ではありません。レースのさまざまなシーンを戦略的に撮影しながら、こうした撮りたい写真を狙う難しさとおもしろさを教えてくれました。
水しぶきを上げるトヨタ・フォーチュナー(青木拓磨選手)を撮影したのは、10年以上にわたってアジアクロスカントリーラリーを追い続けている高橋学さんです。「選手たちと同じルートブックを見て、撮影場所の予測を立てる。ジャングルの中に分け入って、ときにはマシンがくるのを何時間も待つ。ラリーカメラマンは自然との戦い」と高橋さん。サーキットとはまったく違う過酷な裏側を話してくれました。怖いのは「野犬」だそう!
アマチュア写真もレベルが高い
こちらは、アマチュアフォトグラファーによる「2017 JRPA モータースポーツ写真コンテスト」の入賞作品。日本レース写真家協会では、2016年からこうしたコンテストを実施しており、今年は300を超える作品が集まったそう。レベルの高さは、ご覧のとおり。腕に自信のある人は、来年に向けて作品づくりをしてみてはいかがでしょうか?
今回の日本レース写真家協会報道写真展「COMPETITION」、東京での開催は終了してしまいましたが、3月20日(火)~ 4月1日(日)には、名古屋 ビジュアルアーツギャラリーでも実施されます。お近くの方は、ぜひ足を運んで“写真の力”を感じてみてください。本当に一目見ただけで感動しますよ!
▼日本レース写真家協会報道写真展「COMPETITION」
名古屋会場日程:2018年3月20日(火)~ 4月1日(日)
会場:名古屋 ビジュアルアーツギャラリー
URL:http://jrpa.org/news/2017/1121.html
text by 木谷宗義+Bucket,photo by 木谷宗義、日本レース写真家協会
<関連リンク>
日本レース写真家協会: JRPA
http://jrpa.org/
▼くるトピが取材したモータースポーツの記事はこちら!
https://car-days.fun/blog/tag/モータースポーツ