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【イベント】クルマ初心者でもワクワク!? 世界最大の家電ショー「CES」で感じた近未来のクルマ生活

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毎年1月にアメリカで開催される世界最大の家電ショーCES(コンシューマー・エレクトロニック・ショー/Consumer Electronic Show)。これは1967年から開催されている歴史あるイベントで、1995年からはラスベガスに会場を移し、現在ではラスベガスで開催されるショーの中でも、最大規模を誇るもののひとつに数えられています。2018年は1月7日(日)~12日(金)に開催され、世界各国から多くの人が訪れていました。

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家電のショーではあるものの、近年ではクルマ関係の展示も多く、同月14日(日)から開催されていたデトロイトモーターショーと組み合わせて訪れているプレスの方もたくさんいたようです。ちなみに、CESは一般人入場不可。関係者、企業、バイヤー、プレスだけが入場できます。

今回はそんな専門家ばかりのCESへ、クルマも技術もまだまだ初心者の筆者が突撃! 多くの情報に触れる中で、近未来にやってくるクルマとの生活を感じてきました。

日本の比じゃない規模、広さ、ブース数!

日本で行われる大きなビジネスショーと聞くと、幕張メッセや東京ビッグサイトで行われる各種ショーをまずは思い浮かべるのではないでしょうか。どちらの会場も1日めぐるとクタクタになるほど広いですよね。

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日本人には馴染み深いSONY。ブースの奥ではAIBOが愛敬をふりまいていた

でもCESの会場は、そんな幕張メッセやビッグサイトがいくつも集合し、ラスベガス中でショーが開催されているようなイメージで、とにかく広い! 筆者はプレスデーを含めて4日間、まるまるCESにあてたのですが「ついでに〇〇の分野も見てきて」と言われたところは、ほぼ見ることができず……メインの目的だったクルマだけで精一杯という状態に。

クルマ分野ともうひとつテーマを設けていたのですが、そちらはかろうじて最低限の情報が拾えた程度という結果に終わってしまいました。とにかく広いうえに数も多くて、すべてを見ることは難しいほどの規模に「なめてました、ごめんなさい」とひたすら心の中で反省しました。

今年はひとつのエリアが、まるっとクルマ関係に

いくつかあるCES会場のうち、メイン的な場所がラスベガスコンベンションセンター(通称LVCC)です。この会場だけでもセントラル、ノース、サウス1、サウス2、セントラルプラザ……と複数の会場があり、それぞれテーマに合わせた企業が集められています。今年、クルマ関連の企業はノースに集結。日系企業の展示や発表にも、多くの人が足を止めていました。

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ドアノブもないしミラーもないBYTONのクルマ。わかりやすく未来っぽい。本当に公道を走る日が来るのだろうか?
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TIの展示で心惹かれたのは、路面にカーナビ的指示を映し出したり、対向車の運転手の頭だけマスキングしたりできるヘッドライト。顔だけ丸く影が作られるデモンストレーションにテンションが上がった

未来のモビリティとの関係性をリアルに想像させた「e-Palette Concept」

未来のクルマと聞いて、まず思い浮かべるのが近年話題になっている「自動運転車」や「無人運転車」ではないでしょうか。こうした未来のクルマは今、生活に密着できるよう、大きく進化しているようです。

特に「未来っぽい!」と感じたのは、トヨタが発表した「e-Palette Concept(イー・パレット・コンセプト)」というMaaS専用次世代EV。

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車内で人がくつろげる広さを考えれば当然なのだが、意外と大きい車体。ちょっぴりトラックを連想させる

MaaSとは「Mobility as a Service」という言葉の略で、日本語では「モビリティのサービス化」などと言われています。このクルマは「自動運転」もするし、「EV」だし、クルマに通信機能を持たせている「コネクテッド」も搭載しているし……と、最新の話題の技術がてんこもりです。フォルムはまるっこくてかわいいのですが、実車のサイズはまあまあ大型車でしたよ。

ちなみにこのクルマは「モビリティサービス専用EV」という位置づけで、運転して楽しむクルマとは、ちょっと違う種類のモノ。たとえば移動販売や宅配サービス、移動型ホテルだって夢じゃない。切り口次第でいろいろなサービスが提供できるので、一種の新しいツールのようだと感じました。

サービスを考えるのが好きな人たちは「これを利用して何をしようかな?」と夢が広がるかもしれません。すでにAmazonやピザハットと手を組んでいるとのことで、このクルマを使ったサービスが実現する日も近いのかもしれませんね!

もうひとつの技術だけじゃ成り立たない? 近未来のクルマライフ

「e-Palette Concept」がそうであるように、自動運転、コネクテッド、EVといった各技術は、それ単体で使われるのではなく、さまざまな技術の複合によって新しいサービスが続々と生まれてくるようです。通信のスピードも4Gよりも速い、5Gが登場。なんと光ファイバーみたいな速いスピードで、通信ができるようになるそう。

大量のデータを送ることができれば、クルマに関して言えば、自動運転や遠隔操作運転などに必要とされる、より細やかな道路情報をやりとりできるようになるそうです。これはより安全な自動運転を実現する上で欠かせないのだとか。

また家電、クルマ、スマホ……と、さまざまなデバイスが連携していきます。今さかんに言われているIoTがさらに進むんですね。印象的だったのが、各社がプレゼンのときに流していいた「ネットを通してクルマと家がつながっている」という映像。もちろん家の中でもクルマの中でも音声認識システムも使われていますし、液晶ディスプレイも画面もさまざまなアイテムに搭載されています。

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サムソンの大きな液晶がついた冷蔵庫。クルマのコックピットに限らず、これからは様々なアイテムで液晶が見られそうだ

いろいろな企業のプレゼン映像を見た結果、素人なりに&相当ざっくり……ではありますが、こんな近未来の1日が想像できました。


朝、目覚めて準備が整ったら、子どもを保育園に送って会社へ。クルマに乗ると、今日の予定をクルマがリマインドしてくれる。ぐずる子どものために「音楽かけて」というだけで、楽しい音楽が流れてくる。それだけじゃない。さまざまなコンテンツが美しい液晶で楽しめるのだ。移動中、テキストメッセージが送られてきても音声認識で返信。ついでに妻へ伝え忘れたメッセージも送信しておこう。

子どもを降ろしたあと、走行中に新しい店ができていることに気付く。その場で「あの店の情報を教えて」というだけで店舗情報が表示された。営業開始時間がまだ先だったので、今度行こうと思う。駐車場についたので、駐車はクルマに任せて下車。さあ、仕事に集中だ。

在宅で仕事中の妻。冷蔵庫の液晶モニターが不足している常備野菜を知らせてくれている。さっそくネットで注文すると自動運転カーの八百屋さんが登場! お店に足を運ばなくても、現品を見て野菜を選べるのはうれしい。

夫はオフィスでの仕事終了。帰るときの出庫も自動で。さらに駐車場内の乗車ポイントまで自動でクルマが移動してくれる。子どもも忘れずお迎え。家で待つ妻のもとに「無事子どもと夫が合流した」という情報が送られる。もちろん、今ふたりがどこを走っているかという情報も。妻はそれに合わせて夕飯を準備。クルマが家につくと、子どもはすっかり眠っていた。抱え上げて出したら、駐車はもちろんクルマにお任せ。あとは家でくつろごう。


いかがでしょうか。全部なにもかも自動運転で……というには、まだ少し時間がかかりそうですが、通信や音声認識技術など高度な技術たちが現実に溶け込んでくる予感がします。初めてのCESを通じて、ちょっと未来のクルマ生活にワクワクすることができました!

text & photo by ミノシマタカコ, edit by 木谷宗義+Bucket

<関連リンク>
CES
https://www.ces.tech/