街中を移動しているとよく見かけるパトカーは、一般的には白と黒のボディカラーで天井部分には赤いランプが取り付けられています。
代表的な車種で言うとトヨタのクラウンですが、実はパトカーは白黒のものだけではなく一見するとパトカーと分からないものが存在します。
パトカーは交通違反を取り締まるだけでなく様々な用途に用いられています。
今回はそんな意外と知らないパトカーの種類について詳しく解説していきます。
パトカーの種類と役割
パトカーは大きく分けて4つに分類されます。
最も一般的な白黒のものから、大人数を乗せることができるようなミニバンなど、車種やメーカーも様々です。
まずはそんなパトカーの種類と、それぞれが持つ役割について解説していきます。
交通取締用パトカーの役割
パトカーといえば白黒のセダンタイプの車が多いですが、交番などではミニパトと呼ばれる少しサイズの小さい車が使用されていることもあります。
また、白黒のものだけでなくいわゆる覆面パトカーも交通取締用パトカーに分類されます。
クラウンや覆面パトカーは主に交通違反の取り締まりやパトロールに使用されていて、交通違反を発見した場合は違反車を追跡し検挙します。
対してミニパトは、パトロールや駐車違反車の取り締まりは行いますが、スピード違反の取り締まりは行いません。
このように一見すると同じ警察車両なので役割も同じなのかと思われがちですが、実は車種によって細かな違いがあるのです。
事故処理用パトカーの役割
事故処理用と聞くとあまり馴染みはないかもしれませんが、街中でたまに見かける白黒のハイエースやキャラバンなどがこれに当てはまります。
交通事故の際に道路上に残ってしまった残骸やゴミを処理したり、必要があれば道路を封鎖・規制したり交通整理をする場面でも使用されます。
その他にもシートベルトの未着用や飲酒運転の取り締まり、いわゆるネズミ取りと呼ばれるオービスによるスピード違反取り締まりなど様々な役割があります。
警護用パトカーの役割
警護用パトカーは白黒のパトカーや覆面パトカーとは異なり、限定した場面でしか使用されない為、目撃する機会が非常に少なくなっています。
主に要人の警護で使用されますが、その要人というのが天皇陛下であったり総理大臣や各国の政府関係者です。
要人が乗る車はそれぞれ専用のものが用意され、その周辺を固めるのが警護用のパトカーです。
警護用のパトカーは基本的には黒塗りで、クラウンはもちろんレクサスや各メーカーの高級車が採用されています。
要人が車で移動する際には前後左右を警護車で守り、車列の誘導や不審な車両が近づかないように警戒する役割があります。
捜査用パトカーの役割
覆面パトカーの一種である捜査用パトカーは、主に犯罪捜査に使用されます。
白黒のパトカーでは目立ちすぎる場面などで活躍し、クラウンやマークXなどのセダンはもちろん、セレナやエルグランドのようなミニバンも採用されています。
犯罪捜査というのは事件に関する職務質問や容疑者の追跡のことなので、一般人にはあまり縁のない車と言えるでしょう。
パトカーの代表的な車種と特徴
ここまで紹介した様々な種類のパトカーにはそれぞれ代表的な車種があります。
最もよく見かけるであろうクラウンから、これもパトカーなの?と驚くようなものまで存在します。
また、それぞれ役割ごとに特徴があり、一見パトカーに見えないような車両でも注意深く観察すれば見分けることも可能です。
続いてはそんなパトカーの特徴と代表的な車種について解説していきます。
交通取締用パトカーの代表的な車種と特徴
交通取締用パトカーは白黒のボディカラーで、最も代表的な車種としてはトヨタのクラウンです。
緊急走行時に使用するランプやサイレンはもちろん、他のパトカーと連絡を取り合うための無線等も装備されています。
スピード違反など交通違反の取り締まりも行いますが、事故の対応やパトロール等にも幅広く使用されています。
交通取締用パトカーの一部である覆面パトカーもセダンタイプの車種が使用される場合がほとんどで、代表的な車種としてトヨタのクラウンやマークX、日産ではスカイライン、他にもスバルやスズキの一部の車種も採用されています。
覆面パトカーは派手ではない色が好まれるので白・黒・シルバーなど、目立ちにくい色が使用されています。
事故処理用パトカーの代表的な車種と特徴
事故処理用パトカーとして主に使用されているのはバンタイプの車両が多く、最も数が多いのは日産のキャラバンで、次いでトヨタのハイエース、マツダのボンゴなども数は少ないですが採用されています。
事故の際に車の残骸や漏れ出たオイル類の処理をするための道具が載せられていて、交通整理や車線を規制するためのパイロン等も積載されています。
高速道路ではセダンタイプだけでなく、走破性や安全性の高いランドクルーザーやパジェロなどのSUVが採用されているところもあります。
警護用パトカーの代表的な車種と特徴
普段はあまり見かけることがない警護用パトカーはクラウンをはじめとしたセダンタイプの車種が多く、中にはレクサスやメルセデスベンツなどの高級車も使用されています。
基本的には黒塗りで一見普通の車に見えるかもしれませんが交通取締用パトカーのようなランプや無線が装備されています。
なぜ高級車が採用されるかというと、警護が必要な国内外の要人は快適性や安全性の観点から高級車で移動することが多く、その周囲を固める警護用パトカーもある程度のグレードの車種でなければ見劣りするからという理由が有力です。
捜査用パトカーの代表的な車種と特徴
捜査用パトカーは覆面パトカーのように一見すると警察車両には見えない外見をしています。
車種はクラウンなどのセダンから日産セレナなどのミニバンまで様々なものがあります。
交通取締に使用されることはないので覆面パトカーよりも改造箇所が少なく、一般の車と見分けることは難しくなっています。
用途としては犯罪や事件の捜査である職務質問や街中の巡回に使用されているので、気づかないうちに近くを走っていることがあるかもしれません。
日本のパトカーについての豆知識
この記事をご覧の皆さんはパトカーがどのような経緯で購入され導入されているかご存知でしょうか。
実はパトカーには2種類の購入方法があり、もちろんどちらも我々の税金が投じられています。
「パトカーにクラウンは贅沢ではないか?」と疑問に思われた方もいるかと思いますが、実はクラウンが多く採用されるのにも理由があります。
続いてはそんなパトカーの購入方法と、何年ごろからパトカーが登場しなぜ白黒のツートンカラーになったのか、どのような車種が採用されてきたのか等の歴史について掘り下げていきましょう。
パトカーの購入方法は2種類
パトカーは国費または県費で購入され、ある程度の台数をまとめて購入するか、リース契約をするかの2種類に分けられます。
必要台数に応じて入札により購入が決定されますが、自治体によって予算には差があるため、財政が厳しいとリース契約される場合があります。
なぜパトカーにはクラウンが多いのかというと、クラウンには快適性よりも交通違反の取締や違反車の追跡に特化したパトカー専用モデルというのが設定されていて市販車とはかなり異なる装備になっています。
この専用モデルというのは市販モデルよりも価格が低く設定されており、導入の時期や台数により異なりますが、一般人が購入できるクラウンよりも200万円以上も安く購入できる場合もあるようです。
以上の理由から、パトカーに採用されるクラウンは一般人が購入可能な高級車と同じではなく、廉価グレードと言っても良いでしょう。
日本のパトカーの歴史
日本でパトカーが導入され始めたのは1950年ごろで、最初はたった3台の導入だったと言われています。
戦後間もない日本ではまだ車の数も少なく、そのほとんどが白のボディだったために区別しやすいように白黒のツートンカラーになったという説や、当時はまだ舗装路が少なく白一色のボディだと土や泥の汚れが目立つのでアメリカのパトカーを見本にして白黒にした、などの説があります。
パトカーが導入され段々と数が必要になってきた時期はまだ日本製のパトカーは少なく、アメリカのシボレー社製の車が多く導入されていました。
そして1960年台に入ると日本車の性能も少しづつ良くなってきて、クラウンやセドリックがベース車両として使用されるようになってきます。
やがてはほとんどが国産車のパトカーになり、高速道路が開通する頃にはスポーツカーが採用されるようになるなど車種の幅も広がっていきます。
近代化するにつれ交通量も増え、違法駐車が問題になったこともあり小回りの効く軽自動車がパトカーに採用されるようになったり、一部ではメルセデスベンツやポルシェが導入されることもありました。
このように日本は戦争から立ち直ると共に自動車産業を発展させ、目まぐるしく移り変わる社会情勢に合わせてパトカーの種類や役割も増やしていきました。
こういったおよそ70年の歴史や経験を経て今の体勢が出来上がっています。
白黒以外のパトカーは意外と近くを走っているかも?
パトカーには様々な種類がありその役割も様々です。
パトロール中の白黒パトカーや事故処理用のパトカー以外にも警察車両はたくさんあります。
たくさんある中でも特に遭遇する可能性が高いのが覆面パトカーで、高速道路はもちろんスピードが出やすい郊外の道路や、市街地でもよく交通違反の取り締まりを行なっています。
その他にもミニバンやワンボックスカーもパトカーとして採用されているので、一般車との違いを見分けるのは難しいですが探してみるのも面白いかもしれませんね。
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