5月10日(木)~13日(日)にかけて行われた世界最大の草レース「ニュルブルクリンク24時間レース」。日本のチームでは、TOYOTA GAZOO Racing(レクサスLCプロトタイプ)がST-Proクラスで、スバル (WRX STI)がSP3Tクラスでクラス優勝を達成し、話題となりました。レースの詳しい内容はレース媒体にお任せして、KURUTOPiではニュルブルクリンク24時間レースの“別の顔”にスポットを当ててご紹介します。
まずはパドックを見てみよう
パドックには各チームのトランスポーターがずらり。さすがに150台以上の参加車両があると、トランポの数も半端ではありません。レース車両を運ぶトランポだけでなく、タイヤメーカーのトランポや物販を行うトランポなどもあり、トランポを見ているだけでも飽きないほど。いくつかのメイン通路は確保されているものの、あまりにトランポの数が多いため、隙間を縫うような迷路のような通路もありました。
メーカーのスイートラウンジでは、レース車両や市販車の展示、飲食の提供なども行われています。また、大型ビジョンも設置され、ゆったりとしたスタイルでレース観戦できるのも特徴的でしょう。多くのラウンジの2階部分は、特別なパスを持っている人だけが入れる特別なエリア。たとえ、取材のためのメディアパスを持っていても、容易に入ることは許されないプライベートな空間となっています。
さらにパドックには移動式観覧車も! 長年ニュルブルクリンクを取材しているメディアの方に伺ったところ、観覧車ができたのは今年からだそうです。夜中も営業していたので、“ものは試し”と乗ってみました。観覧車はゆっくり回るもの……と思っていたらちょっと違って回転はわりと速く、1回乗車すると5周回って降車という流れ。回転が早いため、乗り降りのために回転を止めなければならず、4~5個のゴンドラの乗り降りがあって少し回転、また乗り降りがあって少し回転というものでした。アトラクションとして楽しむのが、正解のようです。
グランドスタンドビルにはお土産店やイベントスペースが
グランドスタンドを抱える建物の中に、イベントスペースが展開していました。日本のレースでは、屋外にテントを広げ、そこでイベントや物販、展示などが行われますが、パドックエリアの展示以外は、ほぼこのグランドスタンドビルに集約されているように感じられました。メーカーの展示車両やピットチャレンジのイベント、工具やアパレルの物販スペースが並びます。しかし、それよりも多く目に止まったのが、カーシミュレーターです。
もっとも大きなスペースを使っていたのがグランツーリスモシリーズ最新作「グランツーリスモSPORT」のブースで、なんと深夜の時間帯にヨーロッパ各地の予選を戦った猛者たちによるレース大会が行われていました。各国の実況ブースも設置されるなど、盛り上がりはなかなかのもの。
>他にも常設テナントのRACEROOMでは、GT3マシンを操りニュルブルクリンク グランプリコースを走るシミュレーターや、ポルシェブースの実車を使ったシミュレーター、テレビゲームの「WRC7」の体験ブースなども。これらのシミュレーターのほとんどが24時間遊べる状態になっており、夜間でレース観戦がままならないときに遊ぶ観戦者が多く見られました。
伝統的なコースサイドでの楽しみ方も
ニュルブルクリンク24時間レースを観戦する人たちの間では、コースサイドのキャンプエリアでレースウイークの大半を過ごし、レース時はコースサイドでビールを片手に音楽を聞きながら楽しむ、というスタイルが確立されています。
キャンプエリアは有料ということもあり、シャワールームが設置されていたり救急サービスが受けられるようになっていたりと内容充実。「ここで生活ができるのは?」と思えるほどでした。ここで気の合う仲間と一緒にレースを応援する。日本ではなかなか見られない光景ですが、楽しそうな雰囲気が漂っていました。
6月2日(土)~3日(日)には、富士スピードウェイで50年ぶりの24時間レースが開催されます。ニュルのようにコースサイドでお祭りのように楽しめるかは不明ですが、キャンプエリアは設置されるため、日本流の楽しみ方が生まれてくるかもしれません。ニュルブルクリンク24時間レースのように長く続いて、ひとつの文化が生まれるといいですね。
text & photo by 雪岡直樹 edit by 木谷宗義
▼雪岡直樹の記事
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