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【豆知識】日産シルビア、その歴史2 ~スポーツカーとして確固たる地位を築いたS13以降~

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高級スペシャリティクーペとして1965年に登場した日産・シルビア。1975年に登場した2代目(S10型)でサニーベースの身近なスポーツクーペへと路線を変え、3代目(S110型)、4代目(S12型)でシルビアとしてのキャラクターと“走りのクーペ”としてのポジションを確立。そして1988年に、シルビア史上もっとも多くの販売台数を記録した「S13型」が登場します。「日産シルビア、その歴史」の第2弾では、“S13以降”のシルビアを見ていきましょう。

▼第1弾はこちらから
https://car-days.fun/blog/article/9371

歴代最多販売台数を記録した5代目「S13型」は今年で30周年!

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日産シルビアQ’s(1988年)

「S13型」のデビューは、今年で30周年となる1988年。今もサーキットや競技で見かけることがありますが、年式から見ると立派な旧車です。キャッチコピーは、「アートフォースシルビア」。1990年代を先取りするような曲面を多用した流麗なフォルムはエレガントで、若者たちのデートカーとして一躍人気モデルに。結果的に、S13型はシルビア史上最多の販売台数を記録した大ヒット作となりました。

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少数だがオーテックジャパン製のコンバーチブルも販売された(1988年)

もちろん、当時すでに少なくなっていたFR(後輪駆動)ならではの走りの良さも、ヒットの理由。リヤサスペンションはマルチリンク方式で、オプションで四輪操舵の「HICASⅡ」(後期モデルはSUPER HICAS)が設定されるなど、足回りに贅沢な機構が採用されたことも大きな特徴でした。

エンジンは、1.8L(CA18型)のNA(自然吸気)とターボの2種類でデビュー。1991年のマイナーチェンジで、2.0LのSR20型に。グレードはNAの「J’s」「Q’s」、ターボの「K’s」の3タイプが基本で、ベースグレードの「J’s」には、ワンメイクレースのベース車としての位置づけもありました。1989年には、リトラクタブルヘッドライトを採用したハッチバックの姉妹車「180SX(ワンエイティエスエックス)」も登場しています。

シルビア史上、唯一の3ナンバーボディを持つ6代目「S14型」

S13型でデートカーとしてもスポーツカーとしても憧れの的となったシルビアは、1993年に6代目「S14型」へとフルモデルチェンジします。このときのニュースは、全幅が1730mmとなり、シルビア史上初めて「3ナンバーボディ」となったこと。

消費税が導入された1989年の税制改正で、自動車購入時の物品税廃止と自動車税の見直しが行われました。それまで3ナンバー車は税額・税率が高く、一部の高級車や輸入車だけで一般的ではありませんでしたが、自動車税の税額が排気量のみで決まるようになったことで、3ナンバーボディを持つクルマが一般化。バブル経済の勢いもあり、急速に3ナンバーボディを持つクルマが増えていた時期で、シルビアもその流れに乗った形となりました。

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日産シルビアK’s Type S(1993年)

話しをシルビアに戻すと、S14型はS13型のコンセプトを踏襲し、ボディを若干大型化。より曲面的なボディを持って登場した形。エンジンは改良型の2.0L(SR20型)を搭載していました。クルマとしては決して悪くなかったものの、当時まだ「3ナンバー=高級車」というイメージが強かったことや、日産テラノや三菱パジェロを始めとしたRVブームの到来もあり、S13型のようなヒットモデルとはならず。

1996年のマイナーチェンジで、“吊り目”のフロントマスクを持つアグレッシブなスタイリングへとイメージチェンジを行いますが、時代の流れには勝てず1998年に7代目「S15型」へとバトンを渡します。

再び5ナンバーボディを得た最後のシルビア「S15型」

現在のところ「最後のシルビア」となっているのが、1999年にデビューした7代目「S15型」。このモデルの特徴は、再び5ナンバーボディとなったこと、ターボモデルのMTが5速から6速になったことなど。内装も含め、デザインはエレガントであることよりもスポーティであることを重視されており、S13型で確固たるものとなった「走りのシルビア」のイメージを強めたものだと言えます。

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日産シルビア オーテックバージョン(2000年)

エンジンは引き続き2.0L(SR20型)ながら、NAで165ps、ターボでは250ps(ともにMT車)まで引き上げられていました。グレードは、それまでの「J’s」「Q’s」「K’s」から、NAの「spec.S」、ターボの「spec.R」の2グレードを中心としたラインナップに。また、オーテックジャパンが「spec.S」をベースにファインチューニングを施したオーテックバージョンや、RHT(リトラクタブルハードトップ)を持つ「ヴァリエッタ」もラインナップされ、ニッチながら幅広いニーズに応えていました。

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日産シルビア ヴァリエッタ(2000年)

時代は、RVブームを経てミニバンの時代へと移行しつつあったとき。スポーツカーは、「憧れの対象」から「ニッチなファンのためのクルマ」になっていました。また、2000年には厳しさを増した排ガス規制「平成12年排ガス規制」が施行され、規制をクリアできないクルマは2002年9月以降、販売ができなくなることに。

マツダRX-7やトヨタ・スープラ、ホンダS2000がそうであったように、シルビアも平成12年排ガス規制の施行に合わせ、2002年8月に生産を終了。1965年から続いた「シルビア」の歴に幕が降ろされることとなりました。

生産終了から15年以上。日本ではトヨタ86というFRスポーツが2012年に誕生していますが、走行会やドリフト競技では今もシルビアは現役です。絶対的な数は少なくても、こうしたFRスポーツへのニーズはなくならないもの。いつかまた、「シルビア」の名を冠したFRスポーツが登場することを期待したいですね。

>>>前編「日産シルビア、その歴史1 ~高級スペシャリティから手頃なFRスポーツへ~」はこちら

<問題>第5回 2級

歴代の「日産 シルビア」の中で、国内販売台数がもっとも多いのはどれですか。

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text by 木谷宗義+Bucket
photo by オーテックジャパン,日産自動車

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