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【モータースポーツ】スーパー耐久2018開幕直前! 初の夜間走行も行われた公式テスト

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日産GT-Rやフェラーリ488 GT3といった最新のレーシングマシンから、三菱・ランサー・エボリューションⅨ、ホンダS2000といったちょっと懐かしいスポーツカー、さらにはトヨタ・ヴィッツやマツダ・デミオといったコンパクトカーまで幅広い車種が参戦する「スーパー耐久(通称:S耐)」。

2018年はタイヤサプライヤーが昨年のアドバンタイヤからピレリタイヤに変わり、S耐初となる富士スピードウェイでの24時間レースが開催されるなど、さらに注目度が高まっています。

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見慣れたクルマがカッコいいレーシングカーになって走る姿は「夢」があると思う。こんな光景が見られるのは『スーパー耐久シリーズ』だけ!

開幕戦は、3月31日(土)~4月1日(日)にかけて鈴鹿サーキットで行われる5時間耐久レース「SUZUKA S耐 春の陣」。それに先駆けて3月3日(土)に、富士スピードウェイで公式テストが行われたので、今回はその様子をお伝えします。

マシンの癖やトラブルを検証。ライバルマシンとの比較も

公式テストは、シーズン開幕前に行われるチーム合同のテストで、マシンの癖やトラブルを検証する大事なテストです。ニューマシンを導入したり新しいドライバーを迎えたりしたチームは特に、できるだけ多くの時間と距離を走って、マッチングを図ることが必要とされます。今年は、タイヤが新たに「ピレリタイヤ」となったこと(全チーム共通)、富士スピードウェイで初の24時間レースが行われることもあって、夜間のテスト走行も行われました。今回のテストに参加した40台。

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昨年SUPER GTで活躍した「レクサスRC-F GT3」が今年はスーパー耐久にも登場

日中の走行時間は1時間×3回。その走行枠内でさまざまな足回りや空力のセッティングを試します。テストを通じで、他クラスとの走り方(抜き方、抜かれ方)の学習をしていくのは、また、さまざまな速さのクルマが混走するスーパー耐久ならでは。

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レクサスRC-Fと同じくS耐デビューを飾ると「アウディ R8 LMS」。どちらもトップクラス「ST-X」クラスに参戦する

注目は、「個人が買えるレーシングカー」であるFIA-GT3規格のマシンで構成されたスーパー耐久シリーズのトップクラス「ST-X」クラス。2018年シーズンは、「日産GT-R NISMO GT3」と「ポルシェ 911GT3R」に加え、「レクサス RC-F GT3」と「アウディ R8 LMS」が参戦します。どちらもSUPER GTなどで豊富な実績を持つマシンで、ライバルより設計が新しいというアドバンテージを活かせるかが注目です。

タイヤ特性が違う? 空に舞うピレリタイヤ

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今回の合同テストは、全車が初めてピレリを履いて行うテストでもあります。各チームにとっては、同クラスのライバルマシンの動きを見ながら、自分たちが仕上げたマシンとの相性や消耗の傾向などのデータ収集をする貴重な時間でもありました。一部のチームからは、「(昨年の)アドバンタイヤよりもグリップレベルがやや低い」「その分、耐久性は高そうだ」という声が聞こえました。

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現地で取材をしていた筆者は、昨シーズンにはなかった「タイヤかす」が、コースのあちらこちらで舞っているのが目に付きました。昨年のアドバンタイヤでは、ひとつの塊のようにボロボロ剥がれたタイヤかすがコースのレコードラインを示すように黒く積もっていましたが、今回のピレリタイヤはヒラヒラと舞うように散らばっており、拾い上げると粉々になりました。細かくタイヤかすが剥がれていくことで、急激なグリップ低下が抑えられているのかもしれません。

いかに去年よりも速く、かつタイヤの寿命を伸ばせる

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1分39秒365というコースレコードを樹立した24号車「KONDO RACING」

日中のテストでは、各チームとも何度もピットインを繰り返し、新しいタイヤの具合を見たり、ドライバーからの体感を聞いたりしながら進められていました。耐久レースなので「いかに去年よりも速く、かつタイヤの寿命を伸ばせる」かが重要です。耐久レースでは複数のドライバーが交代でドライブするため、どのドライバーが運転しても最高のパフォーマンスを発揮するマシンを作り上げていかなければレースには勝てません。

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世界規格のツーリングカー(TCR)がエントリーするST-TCRクラスのアウディ45号車「DreamDrive」。側面には何かキャラクターのシルエットが見て伺える。なお、新型ホンダ・シビックタイプR-TCRは今テストには参加せず

3回行われたテストでもっとも速いタイムを記録したのは、24号車「KONDO RACING」の日産GT-Rでした。このチームは、SUPER GTでも実績を持つ近藤真彦監督率いる「KONDO RACING」と、「日産自動車大学校」の生徒が共同で運営指揮しているチームです。注目のニューマシン「アウディ R8LMS」と「レクサス RC-F GT3」は、ニューマシンにありがちなトラブルもなく、走行距離を重ねていたようです。他のクラスも順調に走行し、テストだからこそできる実際の予選並みの限界に近いペースで、マシンの動きをチェックしていました。

すべてが未体験ゾーンの夜間テスト走行

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夜7時半からは、24時間レースのための夜間テスト走行が行われました。夜間走行用のライトポッドを装着した各チームのマシンは、恐る恐る走行を開始。コーナーには照明が当たりますが、コース上は基本的に暗闇です。視界が狭まる分、昼間よりもスピードアップしているように感じます。

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その様子を見守るオフィシャルも、「まったく経験がない。コースサイドには灯りがないので想像以上に暗い。いつも以上に、細心の注意を払わなければ」と不安な気持ちを吐露していました。1時間半のテスト走行中には、クラッシュによる一時中断もありましたが、無事に終了しました。トップタイムを出したのは、82号車のアウディR8 LMSでした。

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今回の公式テストを振り返ってみると、日中はあたたかい気候だったので、6月に行われる24時間レースの本番に近い環境でデータが取れたのではないかと思われます。また、導入発表時不安視されていたピレリタイヤのパフォーマンスも決して悪いものでもなく、昨年以上のバトルとクレバーなピット戦略が見られると感じました。

初の24時間レースも行われるスーパー耐久2018、どんな展開が繰り広げられるのでしょうか。3月31日(土)~4月1日(日)にかけて鈴鹿サーキットで行われる開幕戦を、どうぞお楽しみに! ちなみに5月8日(火)には、24時間レース直前の合同テストが行われます。

text & photo by クリハラジュン, edit by 木谷宗義+Bucket

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