7月22日(土)~23日(日)、大阪・舞洲で開催された「D1GP GLION OSAKA DRIFT」。酷暑の中でシリーズ戦とエキシビション戦が2日間にわたって行われました。
その2日間を制したのは、「Team TOYO TIRES DRIFT」に所属する2台の「Greddy 35RX Spec-D」(ドライバーは川畑真人選手と末永正雄選手)。それだけではなく、シリーズ戦の単走決勝でも、同チームで自身がプロデュースしたパーツを使って作り上げた「WISTERIA 180SX(藤野秀之選手)」が優勝しています。
その他のD1GPでも安定した強さを発揮するTeam TOYO TIRES DRIFT。その強さの秘密はどこにあるのでしょうか? 今回はその強さの秘密に迫ってみたいと思います!
アジアンタイヤ勢によってタイヤ戦争が激化した
Team TOYO TIRES DRIFTのマシンは、他チームと比較してハイパワーであることも強さの理由のひとつでしょう。しかし、パワーがあっても、ドライバーのテクニックがあっても、それを受け止めるだけのタイヤがなくてはD1で好成績を上げることはできません。このチームを指揮する「TOYO TIRES」のタイヤがあっての強さであるとも言えるのです。
チームのマシンが装着しているタイヤはTOYO TIRESの「PROXES R888R」です。このタイヤは、同社が持ち得る技術を惜しみなくつぎ込んだモータースポーツ用タイヤ。サーキットでの最高性能を得るためにデザインされた非対称パターンで、応答性とハイグリップを実現しています。巷では“Sタイヤ”と呼ばれていたりします。
“Sタイヤ”とは、公道走行が可能であるものの、乗り心地や日常使用における耐久性を考慮していないハイグリップタイヤのこと。「セミスリックタイヤ」、「セミレーシングタイヤ」とも呼ばれていました。
当初D1GPではこのSタイヤは使用禁止となっていましたが、Sタイヤと同等以上のグリップ性能を持つ、比較的リーズナブルなスポーツタイヤを開発したいわゆる“アジアンタイヤ”勢(ZESTINO,KENDA,WANLIなど)が参戦したことによって状況が変わっていきます。
これによって各タイヤメーカーによる開発競争が激化し、D1のドリフトは以前とは比べ物にならないほどハイスピードなものになりました。ドリフト時にタイヤが発する音が、それまでの高い音ではなくなり「ゴリゴリゴリっ!」という低音に。それだけアスファルトを掻き毟るようなグリップ性能を得ているのです。
しかし、それは良好なコースコンディションあってのこと。あるチーム関係者は「アスファルトの質が悪ければ、Sタイヤよりもハイグリップラジアルタイヤの方が、パフォーマンスが出ることも。この大阪のコースだとハイグリップラジアルタイヤの方が乗りやすいかもしれない」と話してくれました。
ちなみにお台場の特設コースは、駐車場を使用しており、その路面は波打っていて決して良好とは言えませんが、D1で使用されてから定期的にアスファルトを新しくしているので、Sタイヤの性能を発揮しやすいコースなのだそうです。
アングラの競技からプロフェッショナルなモータースポーツへ
常軌を逸すると表現してもいいほどのスピード(逆に言えばそこまでのスピードで突っ込んでいかないとできない)でのドリフトを難なくこなすTeam TOYO TIRES DRIFTは、TOYO TIRESが長年路面と向き合って磨いてきたタイヤがあったからこそ、D1GPの強豪チームへと成長したといえるでしょう。
ドリフトは、もともと峠で行われていたアンダーグラウンドなモータースポーツでした。それがいつしか、タイヤ戦争が始まるほどのプロフェッショナルモータースポーツまで進化したのだと思うと、ドリフトとD1の存在感に驚かされますね。D1を観戦する際は、Team TOYO TIRES DRIFTの活躍はもちろん、各マシンがどんなタイヤを履いているかにも注目してみてくださいね!
Text & photo byクリハラジュン+Bucket
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