「RUF CTR 2017」は現代に蘇った「湾岸ミッドナイト」のブラックバードだった!?【車イベントレポート】

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3月9日(木)~19(日)の間、スイス・ジュネーブで開催された世界最大級のモーターショー「ジュネーブモーターショー」では、今年も、欧州の自動車メーカーを中心に、たくさんの新型車やコンセプトカーが出展されていました。今回はその中から1台、ドイツに拠点を持つRUF(ルーフ)社が発表した「RUF CTR 2017」を紹介します。一見するとクラシカルな、スポーツカー好きのハートをわしづかみする新車です。

目次

そもそもRUF(ルーフ)ってどんな会社?

RUF社は、1939年にアロイス・ルーフが設立した整備工場からスタートした、自動車メーカーです。1940年代後半かフォルクスワーゲン・ビートルのチューニングを手がけ、そこからポルシェのチューニングにステップアップ。ポルシェからホワイトボディを仕入れて独自のクルマを生産するに至り、ついに自動車メーカーとして認可されるようになります。

1987年には、今回の「CTR 2017」のルーツになったコンプリートカー「RUF CTR “Yellow Bird”」を世界限定30台で販売。最高速342km/hという脅威のパフォーマンスと、5600万円(日本正規輸入価格)というプライスで世界中にその名が知れ渡りました。

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初代CTRイエローバード

現在では、ポルシェ向けのコンバートキットや様々なオリジナルのコンプリートカーをスポーツカー好きの富裕層に向けて販売しています。日本でも、京都府にある株式会社RTCが正規輸入元となり、コンプリートカーやコンバートキットが販売されています。

実はRUFは、10代~20代の若い世代の間で、それなりの知名度があります。その理由は、TV・アーケードゲームによく登場しているからです。RUFのベースになっているクルマはポルシェですが、つい最近までポルシェをゲームに登場させるのは、権利上かなり難しかったのです。そこで、代わりに見た目がほとんど同じRUF車を登場させていたというわけ。

30年ぶりの黄色い鳥は大きく進化し、より過激になっていた

初代CTR から30年の時を経て誕生したCTR 2017は、一見すると930型ポルシェ911ターボに見えます。ですが、このボディもモノコックもカーボンファイバー製。これは、リア・エンジンドライブ方式(RR)生産車では世界初とのこと。

RUF GENEVA INTERNATIONAL MOTOR SHOW 2017 , 07/03/2017

搭載されるエンジンは、レーシングエンジンと同じ低重心・軽量化を実現するドライサンプ方式を採用した、3.6L水平対向6気筒ツインターボエンジン。ハンドメイドによるこのエンジンの最大出力は、初代CTRからおよそ250psアップとなる710ps! 最大トルクも89.7kgmという途方もないスペックとなっています。ここに組み合わされるトランスミッションは、6速MTです。RR特有の後輪からの強力なトラクションによって、約3.5秒の0-100km/h加速と360km/h以上の最高速度を誇ります。

足回りはレーシングカーのような前後ダブルウィッシュボーンサスペンションを持ち、強力なストッピングパワーを実現するカーボンセラミックブレーキ、前後19インチのセンターロック式ホイールを装着しています。車重は、1200kgとオリジナルCTRとほぼ同じ。

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アルカンターラはふんだんに使われたインテリア。 よく見るとパワーウィンドウもなければラジオもない

インテリアは当時のモデルを踏襲していますが、カーボンファイバーとアルカンターラで構成されており、リアシートはありません。シートも軽量なカーボンファイバー製の専用品で、ドライバーをしっかりとホールドしてくれます。

RUF GENEVA INTERNATIONAL MOTOR SHOW 2017 , 07/03/2017
リヤシートはなく2人乗り。カーボンファイバー製のモノコックが美しい

お値段は70万ユーロ以上(約8500万円弱)で、初代CTRと同様、30台限定での販売になる模様です。ジュネーブモーターショーの会期中に10台が売約になったとのことで、もう完売になっているかもしれませんね。

漫画「湾岸ミッドナイト」のブラックバードに近い?

このCTR 2017について調べていると、著・楠みちはるさんのクルマ漫画「湾岸ミッドナイト」に出てくる島達也の愛車・ポルシェ911ターボ、通称「ブラックバード」に近い仕様であることに気づきました。

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実写映画「湾岸ミッドナイト」のブラックバードとして登場したチューンドポルシェ911ターボ(964型)

物語内でブラックバードは、一度事故を起こして致命的なダメージを負ってしまいます。そこでオーナーである島達也と“地獄のチューナー”の異名を持つ北見淳、最高のボディワーク職人の高木優一の3人が、このクルマを修復するのです。そこで下された判断は、前後をパイプフレーム化し、センターモノコックとしてカーボンファイバー製ボディに。 1100kgとなったこの軽量なボディに、700psを超えるエンジンを搭載し、モンスターマシンとして蘇らせたのです。

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CTR 2017のフレーム構造。作中のブラックバードもこれに近い構造となっている

ポルシェも驚くようなクルマを創り出すRUF。このCTR2017は、ポルシェ(とポルシェ乗り)が理想とする1台を追求したものなのかもしれません。生産は2018年から。ぜひ日本で走っている姿をこの目で見てみたいですね。

Text & Photo by クリハラジュン+Bucket
画像:RUF Automobile GmbH

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