30年以上ほぼ変わらず生産!あの超人気モデルのルーツって?
自動車を生み出した偉大なメーカー、メルセデス・ベンツ。これまで130年にも及ぶ歴史の中で、数々の人気車種を生み出してきました。
その中でも、30年以上姿形を大きく変えることなく、今でも生産され続けているモデルがあります。 今回は、そんなスーパーロングセラーのモデルにまつわる問題です。
3級(第3回)
メルセデス・ベンツの4WDモデル「Gクラス」は誕生から30年を超える歴史があり、 改良を重ねて生産されていますが、この車は当初、”ある目的”のために開発されたモデルでした。 その目的は何でしたか。
①航空機牽引車 ②軍用車 ③水陸両用車 ④農作業車
解答:②軍用車
いががでしたか? それでは、正解を確認していきましょう。
「Gクラス」の起源
Gクラスが生み出された目的を知るため、その歴史をさかのぼってみましょう。
1972年、ダイムラー・ベンツ社は、NATOからオフロード用車両の製造依頼を受けます。 NATOとは、北大西洋条約機構の呼称で、アメリカ合衆国を中心とした北アメリカとヨーロッパ諸国によって結成された軍事同盟のことです。
NATOから依頼を受けたダイムラー・ベンツ社は、オーストリアのシュタイア・プフ社(現在でもジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズの傘下企業として、軍用車両を製造)との共同体制で「ゲレンデヴァーゲン」、つまりドイツ語で「オフロード用のクルマ」と名付けられた車両を開発し、NATOに正式採用されます。
当初は軍用のみだった「ゲレンデヴァーゲン」ですが、1979年からは民間用としても販売を開始、その後、改良を重ねていく中で「230G」→「300GD」などと名称も変化し、現在の「Gクラス」となったのです。この「G」クラスとは、もちろん「ゲレンデヴァーゲン(Gelandewagen)」の頭文字「G」に由来するもの。
ということで、「Gクラス」はNATO=軍事同盟から製造を依頼され生まれた、つまり正解は②軍用車でした。
メルセデスファンの間では、今でも「Gクラス」とは呼ばず「ゲレンデ」と呼ばれることが多いかもしれませんね。
「民間用」の登場と多様化
民間用として販売が開始されて以降のGクラスは、大きく5つのモデルに分類することができます。
W460型は、民間用にも発売された最初のモデルで、1990年まで生産。
W461型は、各国軍使用の軍用モデルで、ボデイの基本的仕様は民間用と同一ですが、細部はかなりの箇所が異なっています。 例えば、電圧は24Vで、副変速機の切り替えにより路上走行時に2、4輪駆動の選択が可能です。また、各種の防空灯や小銃および対戦車弾発射用スタンドが取り付け可能となっています。
W462型は、ギリシャのトラック・バス・軍用車製造メーカーELBO社向けのモデル。
W463型は、1989年にW460の後継として発売された2代目ゲレンデヴァーゲンで、このモデルが現在でも改良を重ねながら世界中で販売され続けています。
W463A型は、2018年1月に北米国際オートショーで発表されました。
レーダーセーフティパッケージなどの安全運転支援システムが搭載され、フルモデルチェンジ並みに大きく改良されています。
しかしフルモデルチェンジではなく、W463型の改良という位置づけでW463型を継続しているモデルです。
誕生35周年 究極のGクラス?!
2014年には、35年にも及ぶGクラスの改良生産で培われたオフロード技術の集大成として、特別限定モデルが発売されました。
G63AMG 6×6と名づけられたそのクルマは、名称から想像のつく通り、6つのタイヤによる6輪駆動で構成されています。 自動車として初となる、室内からのタイヤ空気圧操作システムまで備えており、圧倒的なオフロード性能と耐久性を誇ります。
日本での販売はわずか5台限定で、価格は8,000万円。 記念としてこれほどスペシャルなモデルが企画されることを思うと、どれほどGクラスが世界中から愛されたモデルなのかが分かります。このままの姿形で、いつまで販売され続けるのか。今後のGクラスも楽しみですね。
text by マサユキ