高速道路は素早く長距離移動をするために欠かせない交通インフラです。スピードが速かったり交差点や信号がなかったりという下道とは全く異なる性質を持っているため、ひとたび事故が発生すると重大な結果を招くことが多くあります。
本記事では、高速道路で起こる事故の原因トップ5を分析し、それぞれの詳細と事故を防ぐための対策を解説します。また、よく耳にする事故の種類についても触れ、事故渋滞時に気を付けるべきポイントを紹介します。
高速道路を安全に運転するためのコツを確認し、より安全に走行しましょう。
高速道路で起こる事故の原因TOP5
警察庁交通局が発表した令和5年中の交通事故の発生状況から、高速道路で起こる事故の原因で多いものTOP5を紹介します。
1位.前方不注意
前方不注意は高速道路で発生する事故の中で最も多い原因で、令和5年で2738件の事故を引き起こしています。ドライバーがスマートフォンやカーナビを触っていたり、眠気で集中力が切れるなどして前方の車両や障害物に気づくのが遅れることが原因です。高速道路はスピードを出して運転しているため、少しの時間で思ったより前方の障害物と近づいてしまいます。
対策としては、基本的ですが運転に集中することが最も重要です。運転中はスマートフォンを操作しない、休憩を適宜取って疲労を避けるなど基本的な対策が有効です。どうしてもスマートフォンやカーナビを操作したいときは、SA・PAに停まることを心がけてください。
2位.動静不注意
動静不注意とは、自車の動きや周囲の車両の動きに対する注意が不足のことです。前方の車がブレーキを踏んだことに気づくのが遅れた、横の車が車線変更してきたことに気が付かなかった、などが例として挙げられます。
周りの車は自分の思った通りに動きません。まさかと驚く動きをすることもあるでしょう。突然ブレーキを踏むかもしれない、突然車線変更してくるかもしれない、という「かもしれない運転」を心がけてください。
3位.安全不確認
安全不確認とは、自車の周囲の安全確認が不足していることを指します。たとえば、車線変更時に後方確認を怠ったり、本線への合流時に他の車両の速度を見誤るなどのミスがこれに当たります。
車線変更や合流時には、ミラーと目視での安全確認を徹底してください。特に、死角に入る車両には要注意です。サイドミラーやバックミラーだけでは死角が生まれるため、目視でも確認する習慣をつけましょう。また、本線への合流時は、慣れないと怖いですが、思い切ってアクセルを踏み込むことが重要です。
4位.運転操作不適
運転操作不適とは、技術不足やミスにより適切な運転操作ができないことです。これには、急ハンドル、急ブレーキ、適切な速度調節ができないことなどが含まれます。
高速道路はスピードが出ているため、急ハンドルや急ブレーキ、急アクセルといういわゆる「3急運転」は非常に危険です。下道も同様ですが、安全運転には適切な速度での走行が基本です。3急運転を避けたり適切な速度を保って運転するためにも、時間には余裕を持ってルールを守った運転を心がけましょう。
5位.車間距離違反
車間距離違反とは、前方車両との距離を適切に保たないことです。前方不注意の項目でも説明しましたが、高速道路では十分な車間距離を保たないとブレーキが間に合わず追突事故を招く危険があります。
車間距離を適切に保つことが重要です。適切な車間距離とは「速度の二乗÷100」で、たとえば100km/hで100m、80km/hで64m以上です。前方車両との間に2秒以上の距離を保つと安全な車間距離がとれるといわれています。雨天や夜間など路面や視界が悪い状況では、更に距離を取ることが必要です。
高速道路の事故でよく耳にするもの
近頃、高速道路の事故でよく耳にするものを紹介します。
あおり運転に関する事故
あおり運転は、高速道路で特に危険視されています。他車両への威嚇や急接近、前方に割り込んだあとの急ブレーキなど、重大な事故を引き起こす原因となります。
あおり運転をする方は冷静な判断ができなくなっているため、無理に対抗せず、安全な場所に避難してください。また、ドライブレコーダーで証拠を残すことも有効です。後に法的なトラブルになったときも、映像が被害者に有利に働いてくれます。
逆走に関する事故
逆走は、誤って進行方向とは逆方向に進入することで発生します。ICやPA・SAから本線に進入する時に間違って逆方向に入るケースが最も多くあります。また、酔っ払いや薬物影響下での運転も逆走の一因です。逆走車両は通常の流れと反対に進むため、衝突の危険性が非常に高いといえます。
高速道路は走行車線を走ることが基本なので、逆走車は正しい進行方向でいう追い越し車線を走っている可能性が最も高くあります。そのため、走行車線が逆走車との正面衝突のリスクを最も減らせます。
逆走車両を見かけた場合は同乗者による110番や道路緊急ダイヤル(#9910)、高速道路に設置された非常電話で通報してください。
歩行者に関する事故
高速道路は歩行者の立ち入りが禁止されていますが、故障時の対応や事故現場からの避難などで歩行者が出現することがあります。
高速道路上で停止している車を見かけたら、歩行者がいるかもしれないと心構えをしてください。スピードを落とし、歩行者がいないか集中して運転をしましょう。
事故渋滞時に気を付けること
事故渋滞が発生している場合、二次的交通事故にも注意が必要です。以下の3点を意識しましょう。
車間距離を詰めすぎない
渋滞時に狭くなりがちな車間距離を適切に保つ意識が重要です。一般的には40mほど開けるとよいとされます。渋滞の大きな原因はブレーキなので、自身がブレーキを踏まなくてもよい、つまり後続車にもブレーキを踏ませないようにしてください。
車線変更を頻繁にしない
渋滞時に頻繁な車線変更をすると、さらに渋滞を悪化させるだけでなく事故のリスクも高まります。一般的には左車線、合流が多いときは右車線が一番早く進むといわれています。ただ、頻繁な車線変更はせず、一度選んだ車線を維持することが最も安全です。
道路交通情報を収集する
事故渋滞時には、カーナビやラジオなどで最新の道路交通情報を把握することが重要です。特に事故渋滞はいずれ解消されるので、渋滞に巻き込まれる前に休憩をとれば、時間を有効活用できます。
まとめ
高速道路で事故が起こる原因や対処法を紹介しました。
高速道路での事故を防ぐためには、基本的な運転マナーを守り、運転に集中することが何よりも重要です。前方不注意や動静不注意、安全不確認などの主な原因を理解し、それぞれに対する対策を実行することで、事故のリスクを大幅に減少させられます。
本記事で紹介したポイントを意識し、安全に高速道路を走行してください。
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