日産自動車は、純正コンプリートカーであるNISMOロードカーシリーズに、初のミニバン「セレナNISMO」を発売しました。価格は341万9280円です。
セレナNISMOは、人気のエアロ仕様車「セレナ ハイウェイスター」をベースに、NISMO専用の内外装に加え、専用チューニングを行うことで走りを強化したものです。
一段とスポーティさが高められたエクステリアは、専用デザインの前後バンパーを含むエアロパーツを装着。ボディ下部には、NISMOのアイコンカラーであるレッドのラインが取り入れられているのも特徴です。さらにリヤスポイラーやドアミラー、17インチアルミホイールなどをブラック化するなどの装飾によりクールさも与えられました。
>インテリアは、ブラックを基本にレッドのアクセントを追加。ハンドルやシートなど乗員に触れる部分の多くに専用素材を取れ入れ、手触りの良さや高い質感を演出しています。
またオプションでは、専用仕様のRECARO製フロントスポーツシートを設定。ホールド性を高めながらも、乗降性を犠牲にしない専用開発品となっています。
走りを強化する専用チューニングでは、足回りとボディ補強、コンピューターなど多岐に渡り、走行性能を強化。ただエンジン出力などはノーマルと同等となりますが、加速フィールやエキゾーストノートなどをドライバーが心地よく感じられるように仕上げたといいます。
実際に試乗してみると、ノーマルのセレナとは別物に仕上がっていることに驚き。特にコーナーでは、背高であることをあまり意識させず、スムーズに駆け抜けてくれます。これもボディ剛性の強化と専用足回りの効果でしょう。だからといって、乗り心地が悪いということもなし。
このバランスの良さもコンプリートカーだからこそ。パワーもベース車同等ですが、アクセルレスポンスやCVTにも手が加えられているので、ノーマルよりも加速の良さは十分に感じられます。
一見、過度と思えるRECAROシートですが、サポート性が良く、ロングドライブでもドライバーの強い味方となりそう。ただミニバンにはちょっとオーバーと感じるのも正直なところ……。この辺は好みでしょう。
価格だけでみると、高価なセレナNISMOですが、専用アイテムに加え、高速道路同一車線自動運転技術「プロパイロット」やLEDヘッドライト、ハンズフリーオートスライドドア(両側)など人気オプションを標準化しており、実質的な価格差は40万円ほど。そこにエアロパーツや17インチタイヤなどに加え、NISMOロードカー開発チームが仕上げたミニバンらしからぬ走りが楽しめるのだから、お得な価格設定といえます。
開発チームは、ミニバンだけにファミリーユースを重視し、走りが良くとも、乗り心地などの快適性は犠牲にしなかったというだけあって、コンプリートカーといえど、実に大人の味付けとなっています。もちろん使い勝手はセレナと全く同じ。運転好きのパパママに乗って欲しい、ちょっと大人仕様のNISMO、それがセレナNISMOでした。
text & photo by OHTO Yasuhiro