トヨタのコンパクトカー「ヴィッツ」が、マイナーチェンジ。フロント/リヤのデザインが一新され、アクアゆずりのハイブリッドモデルが追加されるなど、大規模な変更を受けました。
ヴィッツは、1999年の発売以来、約80カ国、累計700万台を販売してきたトヨタの基幹車種のひとつ。現行モデルは、2010年12月に登場した3世代目で、2014年にも内外装のデザインを変えた大規模マイナーチェンジを実施しています。
トヨタ・ヴィッツ(2010年発売モデル)
トヨタ・ヴィッツ(2014年発売モデル)
スタイリングはワイド&ローを強調したものに
では、今回マイナーチェンジが施された新型ヴィッツを見ていきましょう。エクステリアはヘッドライトやフロントバンパーを一新。ロアグリルが拡大され、グリルレスのデザインとなりました。ヘッドライトには、Bi-Beam LEDヘッドランプも設定。
フロント以上に印象を変えたのは、むしろリヤの方でしょう。それまでボディ側のみだったリヤコンビランプが、バックドアまで拡大。ワイド&ローを強調するデザインとなりました。オプションの「LEDヘッドランプセット」を選択すると、テールライトはLEDライン発光タイプになります。
インテリアは、形状こそ同一ながら、加飾パーツをブラックで統一。Uグレードでバレルブラウンが、Jewelaで赤茶色のマルサラ内装が選べるようになったのも変更点です。下の写真はJewelaのマルサラ内装。シックでお洒落な雰囲気だと思いませんか?
ハイブリッド搭載だけでないメカニズムの変更点
マイナーチェンジの目玉は、ハイブリッド搭載モデルの新設定。今までも欧州では「ヤリス ハイブリッド」としてハイブリッドモデルが販売されてきましたが、アクアが存在していた日本でヴィッツにハイブリッドが組み合わされるのは初めてのこと。搭載されるシステムはアクアと同じ「THSⅡ」で、JC08モードは最大34.4km/L。ハイブリッド専用モデルとなるアクアは最大37.0km/Lですが、実燃費はそれほど変わらないと考えていいでしょう。
その他のパワートレインは、従来からある1.0Lと1.3Lのガソリンエンジン+CVTで、1.3Lには4WDも用意。1.5Lガソリンエンジン搭載モデルは、ハイブリッドにその役目を渡し、ラインナップからなくなりました。
全モデルで共通しての変更点は、新構造ショックアブソーバーの仕様と、ボディ各部のスポット溶接増し打ち、インストルメントパネル周りのブレースの板厚アップなど。ボディ剛性が強化され、操縦安定性や乗り心地が改善されました。坂道での発進を補助する、ヒルスタートアシストコントロールが全車に標準装備されたのも、新しいところです。
新たなスポーティモデルのヒントは「Vitz TGR Concept」にある?
ベーシックな「F」、上級版の「U」、お洒落な仕立ての「Jewela」という、基本のグレード構成は従来どおり。Uグレードには、16インチアルミホイールとエアロパーツを装着した「Sportyパッケージ」が新たに設定されましたが、ただし、RSとG’sがラインナップからなくなりました。オートサロンで発表された「Vitz TGR Concept」が、G’sの後継モデルのヒントになっているものと考えられます。ハイブリッドは、「HYBRID F」「HYBRID Jewela」「HYBRID U」「HYBRID U Sportyパッケージ」の4タイプに設定。
U Sportyパッケージ
トヨタは今年からWRC(世界ラリー選手権)に「ヤリスWRC」で参戦します。このことからも、トヨタがヴィッツ(ヤリス)にかける意気込みを感じるというもの。同じく2010年に3代目が登場したスズキ「スイフト」は、一足先にフルモデルチェンジを実施しましたが、ヴィッツは長く熟成を重ねていく道を選んだようですね。
text by 木谷宗義+Bucket
画像提供:トヨタ自動車