4月22日(日)、4月の陽気とは思えないような汗ばむ天候の中、横浜・本牧ふ頭はD突堤にある「横浜港シンボルタワー駐車場」にて、意欲的なイベントが開催されました。それが「’90s Car session」です。
手前から日産スカイライン(R32型)、トヨタ・マークII(90系)、トヨタRAV4(初代)
20年が経過しようやく“語られる機会が生まれた
参加資格はイベント名からおわかりの通り、1990年~1999年に生まれた「1990年代車」であること。これまでも“年式縛り“のイベントはありましたが、その多くはいわゆる”旧車”と定義される「1970年以前」であることが多く、最近になってようやく1980年代車が旧車として認知し始めたところです。ですが、時はもう2018年、あと2年もすれば2020年になります。気が付けば90年代車だって“20年選手”です。
2台のホンダ・アスコット。アコードの兄弟車だ。右側には日産シーマ(初代)も見える<
少し考えてみれば、これらのクルマが新車だった1990年代当時、「20年前に製造されたクルマ」は立派に旧車として存在していました。本来ならば十分にその資格を満たしていたのです。90年代車だけのイベントがあっても何ら不思議ではないはずなのに、皆がどこかで思いながらも実現されてきませんでした。
1991年にデビューした3代目トヨタ・ソアラも1台きていた
参加資格は「1990年代車」となっていますが、2000年を超えたモデルでもデビュー年が1999年以前であればOK、また1980年代にデビューしたクルマでも製造が1990年以降ならOKと、参加しやすく定められていました。
マークIIクオリスと8代目マーク(100系)。ともに世紀をまたいで生産されたクルマ
国籍は問わないので、「参加台数もそれなりに多いのでは?」と思っていましたが、会場に入れないクルマが続出するなど(駐車場内には入れましたが)、参加台数は予想を超えるほど多く、そして参加車種も多岐に渡っていました。
「クラシック・サーブ」ことサーブ900は、バブル期を象徴する“外車”のひとつ
1983年~1998年にかけて生産されたプジョー205
思えば90年代という時代は、チャレンジングなクルマが数多く輩出された時代でもありました。まだ、安全基準を理由に車体の形状が制限されるようなことはなかった時代です。90年代後半こそ、RVやミニバンが台頭していましたが、それでも魅力的なデザインのクルマが多数現れて街を彩ってきた、そんな時代だったのです。考えてみれば、なぜそんな時代を語る機会がなかったのか不思議なほど。
スズキX90。エスクードをベースにわずか2年だけ生産された個性派オフローダー
ガルウィングドアを持つトヨタ・セラ、1990年代の個性派のひとつ。当時風のカスタマイズにも注目
5ナンバーが輝いていた時代
「’90s Car session」は、ただクルマを並べるだけのオフ会ではありません。90年代に青春時代を過ごし、その時代にもちろんめっぽう強いお2人、ライター小鮒康一氏とイラストレーター遠藤イヅル氏がマイクを片手に会場を周り、参加するクルマ1台1台の解説をして回られました。
思えば1990年代は、1990年に税制が変更になり、自動車税が排気量別となったことで、5ナンバー枠を超えたクルマが増えてきた時代。今ほど大きくはないものの、伸びやかなデザインと、バブル期の余韻を残す豪華な内装を持つクルマが多く存在していたころです。魅力的な1台1台を熱く語り、またオーナーのお話に耳を傾けていきます。
日産ローレル(C32型)。1989年のデビューで、ボディはまだ5ナンバーサイズ
3代目トヨタ・カリーナED。3ナンバー化されたボディが特徴だった
ホンダ・ラファーガ。1993年にデビューした5ナンバーセダン。個体はスポーティかつ希少な「CS」グレード
『あぶない刑事』で知られる2代目 日産レパードは1986年~1992年に生産された
2000年以降は安全基準の強化やグローバル化により、ボディサイズやデザインが画一的する傾向を筆者は感じていました。近頃になって、ようやくさまざまなデザインが制限の中でもやれるようになってきたように思いますが、クルマを自由にデザインできた最後の時代が1990年代だったのではないかと、このイベントを通じて見つめ直した気がします。
これを読まれたみなさんは、この1990年代という時代をどんな思いで過ごされていたでしょうか? また、1990年代を知らない世代は、この時代をどんな風に感じているでしょうか?
text & photo by きもだこよし, edit by 木谷宗義+Bucket
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