1月28日(日)、今年も年始の大型カーイベント、日本クラシックカー協会が主催する「ニューイヤーミーティング(以下NYM)」が開催されました。
NYMは1977年からスタートし、40回以上を数える歴史ある旧車イベント。参加資格は「1979年までに生産された車両およびその同型車」で、今年のテーマ車である英国車」を含め、今年もおよそ150台の旧車が東京・お台場の地に集まりました。
ベントレーS2クラシック
ロータス・ヨーロッパ
旧車がズラリと並ぶだけでなく、盛大なオートジャンブル(フリーマーケット)が開催されるのもNYMならでは。ジャンクパーツ(人によっては貴重なお宝ともなる)からコレクターズアイテムまで、実にさまざまなパーツやグッズが売り出されます。
近年はネットオークションなどの台頭により、その存在感が損なわれてきたと感じることもありましたが、ここでしか手に入らない部品はやはりあるものですし、価格交渉をしながら品定めをする楽しさは、古き良きオートジャンブルの姿でありましょう。
フィアットX1/9
まだまだ知られていないクルマが現れるNYM
トヨタ・パブリカのオーナーズクラブ
長きにわたって行われるイベントの一番の敵は、マンネリ化です。「毎回、同じクルマばかり」「いつも内容が変わらない」といったことになり、目新しさが損なわれがちなものですが、NYMに関して言えばまだまだそんなことはありません。まだまだ知られていないクルマや他のイベントではあまり見られないようなおもしろいクルマも、姿も多く見られました。
こちらのクルマは、言わずと知れたホンダの元祖トラック「T360」。ホンダ初の4輪車にして、軽トラックとは縁遠そうなツインカムエンジンを搭載した、1960年代のクルマです。ご覧のとおりこのクルマ、シルエットこそT360そのものですが、すべてワイヤーフレームでできたスケルトン仕様。しかしながらそのエンジンは、シャーシの上でしっかりと回っていました。
お話を伺うとこのクルマは、自走可能とのこと。ただし、残念ながら公道走行は不可(まぁ、この状態ですからね)で、サーキット走行を念頭に仕上げているそうです。いずれどこかで、サーキットを走るこのスケルトンT360がお目見えするかもしれません。
このイベントでは初お目見えとなる「イトマキエイ」の名を冠したオペルのクーペ「マンタA」。オーナーは「ミドルエッジ」などでライターとして活躍する山本圭亮氏で、少し前から関東のイベントを中心に参加し始めたそう。初期のマンタは現存数が少なく、なかなか見る機会もないだろうとエントリーを決めたと言います。
実はこのマンタは2台目の所有で、それは氏の不遇と謎の導きで手元にやってきたものだそう。詳しい経緯はミドルエッジで。
非常にレーシーなイメージのジャガーEタイプ。その見た目とは裏腹に、実はベースはごく普通のEタイプとのことです。その仕上がりはとても美しく、特にフェンダーのボリュームはきれいな盛り上がりを見せていました。まだまだ、こうした希少なクルマがたくさん出てくるものですね。テントにいらした関係者に方にお話を伺ったのですが、残念ながらオーナーさんとはお会いできず。
時代の変化とNYMの異変。新しい時代への改革も必要か?
NYMは「参加台数が減少の一途をたどっているのではないか?」と言われていて、事実今年も昨年より少なかったようです。また、今年はいつもと大きく様子が違うことがありました。パーキングの入り口までの長蛇の列が、ゆりかもめの下にまったくなかったのです。
これはどうしたことなのか? 見学に来る参加者がそれほどまでに減ったのか、それとも何かの規制が入ってのことなのか。その真相は正直わかりませんでした。しかし、「このままではいけない」と感じさせるものがありました。
トヨタ2000GT
クラシックカー、そう呼ばれるクルマになる条件は、ある一定の時間を生き残ったクルマである必要があります。多くのイベントには、そこにある種の壁が存在するものです。ただし、それは必要な壁であり、そのイベントを成立させるための必要な条件であるともいえます。それは参加資格の年式です。
NYMの場合は「1979年までに生産された車両およびその同型車」が、参加資格となっています。しかしこの条件は、今の50代前後の人たちが若者であったころからほぼ変わっていません。
マツダ・コスモスポーツ
「今の50代が若者であったころ」を考えてみましょう。たとえば1989年には、R32スカイラインGT-Rがデビューしました。ハコスカ(KPGC10)は当時、すでに旧車として扱われていましたが、当時のハコスカは“20年落ち”程度のクルマでした。R32は現在、すでに30年近く前のクルマとなっています。「あの頃」の感覚ならならば、完全な旧車なのです。しかし、NYMの参加資格には該当しません。
今、クルマ離れで興味がなくなってきているからでしょうか? 決してはそんなことはありません。ただ単に上の世代の人と若者たちの認識にズレが出ているだけではないでしょうか?
オースチン・ヒーレー
20代~30代の若者にとって、なじみがある旧車といえば、子供の頃に見た1980年代~1990年代のクルマでしょう。1960年代や1970年代のクルマは、敷居が高いだけではないかと思うのです。今の50代の人だって、戦前車はさすがに手が出にくいですよね。
“旧車の範疇”もっと広げてもいいのではないでしょうか? 今後のNYMはどう変わっていくのか。それによってまたイベントとしての盛衰も見えてくると思うのです。変わらないイベントの楽しさと思わぬ異変に驚かされた今年のNYM。変わらぬ新年の風物詩としての展開は、これからにかかっているといえるのかもしれません。
text & photo by きもだこよし, edit by 木谷宗義+Bucket
<関連リンク>
ニューイヤーミーティング – 日本クラシックカー協会
http://www.jcca.cc/event/2018/newyear/
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