トヨタ自動車は、2018年3月7日(水)より発売した燃料電池バス「SORA」の同乗試乗会を実施しました。
MIRAIの燃料電池スタックとモーターを流用
SORAは、運転席+22の客席を備えた79人乗り(立席56)の路線向けの大型バスです。デザインは、かなりモダンに仕上げられていますが、基本的な構造は通常のバスと近いもの。特徴的な高いルーフは、頭上にFCバスの心臓部といえる発電機能を備えているため。
ルーフ内部は、フロント部に水素タンクを計10本、リヤ部に発電のための水素と酸素の化学反応を起こすFCスタックを搭載しています。その中央部には、他のバス同様にエアコンユニットを装着。走行用モーターは、通常のエンジン付きのバスと同様に後部下側に装備した後輪駆動となっています。
発電を行うFCスタックと駆動用モーターは、トヨタの燃料電池自動車「MIRAI」のものを流用。その2台分を搭載しています。スペックは、発電機となるFCスタックの最高出力が114kW(155ps)×2。モーターの最高出力が113kW(154ps)×2、最大トルクが335Nm×2となっていて、ディーゼルエンジン搭載の路線バスに近い十分なスペックを持ちます。ただし、最高速度は65km/hまでとなっているので、一般道のみの走行となります。
東京都ではすでに5台のSORAが運行中
乗車してみると、バスのイメージを覆す静かさ。変速機もないので加減速もスムーズです。強いて言えば、電気自動車特有の高周波のノイズを若干感じさせるくらいでしょう。ただ、この点も個人差が大きそうで、短距離移動が中心の路線バスなら気になる人は少ないと思われます。
水素と酸素の化学反応で発電をするので走行中に排出されるのは、水のみというクリーンさは魅力的です。気になる価格は、なんと約1億円! 通常の路線バスの5倍近い価格は今後の課題ですが、普及を進めるために、国や自治体から補助金があり、バス事業者は、通常バスに近い導入コストとなるそうです。ただエネルギーコストは、軽油よりも水素の方が高いため、バス事業者の負担増になるため、車両価格や水素価格の低減も今後の課題となっています。
このFCバスは、外部給電機能を備えているのも特徴で、災害時の電力供給元としての活躍も期待されています。既に東京都では先行導入車を含めて5台が使用されていて、都営バスの東京駅丸の内南口~東京ビッグサイト間の路線バスとして運行しており、誰でも乗車することができます。一度乗ってみると、今までの路線バスのイメージが変わるかもしれませんよ。
text & photo by OHTO Yasuhiro,edit by 木谷宗義
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