内外装をスポーティにドレスアップし、シャシーや足回りにチューニングを施した、トヨタのスポーツライン「G’s」。4月には新型ノア/ヴォクシーにも追加され、2016年6月28日現在、7つの車種で展開されています。ではこの「G’s」、具体的にどんなチューニングが施されたシリーズなのでしょうか?
あとから改造するのではない「ファクトリーチューニング」
「G’s」の名を持つクルマが初めて姿を見せたのは、2010年の東京オートサロン。FT-86、ノア、ヴォクシー、マークX、プリウスをベースにチューニングを施した、5台の「G Sports Concept」を発表しました。「G’s」は、「GAZOO Racingの活動を通じて追求してきた『クルマの味』を、より幅広いお客様に提供する新しいスポーツ コンバージョン車を開発・シリーズ化していく」としたもの。
完成車両をあとから改造するのではなく、ノーマルモデルの生産ラインの中でチューニング工程を組み込む「ファクトリーチューニング」によって作られるのがG’sならではの特徴。クルマを作る過程でチューニングを施すことができるので、コスト上昇を押さえることができる上、あとからでは手を入れにくい車体内部の剛性アップも実現できるんですね。
「G’s」が発売されたのは、2011年5月。意外なことに、第一弾モデルはミニバンのノア/ヴォクシーでした。チューニングカーを広く楽しんでもらうため、「身近なブランドから発信しよう」というのが、その理由です。
あえてエンジンに手を入れないのがG’sの流儀
チューニングメニューは、車種によって少しずつ異なりますが、わずかにローダウンされる専用チューニングのサスペンション(スプリング、ショックアブソーバー)、メンバーブレース追加、スポット溶接打点追加、空力パーツ追加など、足回りのファインチューニングとボディ剛性のアップを主なメニューとしています。TOYOTA GAZOO Racingのドライバーとエンジニアが味付けを行ったサスペンションは、いたずらに固めるのではなく、快適性との両立を図ってチューニングされており、ノーマルモデルより乗り心地がいいと感じることもあるほど快適です。
ボディやサスペンションにファインチューニングが施される一方で、あえてエンジンに手を加えないのもG’sらしいところ。エンジンをノーマルのままにしておけば、燃費や実用性を損ねることもありませんし、価格の上昇も最小限で抑えられます。「走りの楽しさをたくさんの人に」というG’sのコンセプトを感じさせる部分ですね。
G’s各モデルでは、内外装のドレスアップも施されます。車種ごとにデザインされたエアロパーツやフロントグリル、インチアップした高性能タイヤ&軽量アルミホイールを装着。インテリアではステッチ入りの本革巻きステアリングホイールやシフトノブ、アルミペダル、サポート性を高めたスポーティシートなどを装備し、走りに見合ったムードを演出しています。
ファクトリーチューニングだから実現した価格にも注目!
G’sはノア、ヴォクシーの他に、ヴィッツ、アクア、マークX、プリウス、プリウスα、アルファード、ヴェルファイアにもラインナップ。2015年にモデルチェンジしたプリウスとアルファード/ヴェルファイアのG’sはまだ登場していないため、2016年6月28日現在は、ノア、ヴォクシー、ヴィッツ、アクア、マークX、プリウスα、ハリアーの7車種で選択が可能です。
価格は車種によって異なるものの、ベース車比でおよそ20~40万円のアップ。エアロパーツにタイヤ&アルミホイール、補強パーツ、車高調セット…と、あとづけでパーツをつけていくとすると、とてもこの価格では装着できませんから、お買い得度は高いでしょう。生産ライン上で作る「ファクトリーチューニング」だからこそできる、クオリティと価格なんですね。ディーラーによってはG’sの試乗車を用意しているところもありますから、機会があったら、ぜひ一度乗ってみてくださいね。すぐに「違い」がわかるはずですよ!
text by 木谷宗義/Bucket