2016年3月、スズキがコンパクトハッチバックのブランニューモデル、バレーノを発売しました。今までのスズキ車とは異なるテイストのスタイリングや1.0Lターボエンジンの搭載で注目を集めたモデルですが、生産国が日本ではなくインドであることでも話題になりました。
スズキ バレーノ(2016年)
グローバル化が進んだ今、自動車メーカーは各地域でのニーズや戦略に合わせてさまざまな国に工場を持ったり合弁会社を設立したりして、クルマを生産しています。バレーノもアジア圏を中心に販売する世界戦略車として、インドのマルチ・スズキ・インディア社が生産しているのです。
このバレーノの他にも、日本メーカー車でありながら海外からやってくる輸入車は少なくありません。今日はそんな「海外からやってくる日本車」をご紹介します。
日産 マーチ(タイ)
日産 マーチ(2016年)
1980年代から日産のコンパクトカーの顔として長く続いてきたのがマーチです。2010年に登場した4世代目となる現行型は、世界戦略車としての役割を担うため世界各国で生産され、日本ではタイ工場で生産されたクルマが販売されました。
三菱 ミラージュ(タイ)
三菱 ミラージュ(2015年)
2012年に登場した三菱のコンパクトカー、ミラージュもタイで生産されているクルマのひとつ。「先進国における環境対応車」と「新興国におけるエントリーカー」という、2つの役割を持って開発されました。日本やASEAN諸国の他、ヨーロッパやオーストラリアなどへも展開されています。
トヨタ アベンシス(英国)
クラウンエステートやマークⅡクオリスがなくなった今、トヨタで中上級クラスのステーションワゴンとして唯一ラインナップされているアベンシス。このクルマは1997年に初代モデルがヨーロッパで発売され、現在は3代目(日本では2代目)。生産国は英国で、見ても乗ってもヨーロッパ的な雰囲気が感じられるクルマです。
トヨタ タウンエース/ライトエース(インドネシア)
ハイエースより一回り小さい商用バンとして重宝されるタウンエース/ライトエースも、実は輸入車。バン・トラックともに、インドネシアにあるダイハツの現地法人「アストラ・ダイハツ・モーター」で生産されています。現地ではダイハツブランドのワゴンモデルも存在。
ホンダ シビック タイプR
2015年に750台が限定販売されたシビック タイプRも、アベンシスと同じく英国工場製。シビックはホンダの世界戦略車で、ヨーロッパの他、アメリカなどでも生産されていますが、北米向けは2ドアクーペと4ドアセダン、ヨーロッパはハッチバックと仕向地により異なるスタイリングとなっています。
シビック タイプR(2015年)
アバルト 124スパイダー
最後に番外編として、「海外で生産される日本車」ではなく「日本で生産されるイタリア車」を紹介します。アバルト124スパイダーです。これは、マツダ ロードスターをベースにイタリアのアバルトが独自のデザインとエンジンを与えて開発されたもので、ロードスターと同じ広島の工場から世界に向けて輸出されています。
アバルト 124スパイダー(2015年)
今回は日本で販売されるクルマに限って、日本メーカーの海外生産車を取り上げましたが、今はどのメーカーも海外に生産拠点を持っているもの。たとえばトヨタは、北米、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オセアニア、中東と、25カ国以上に工場を持っていますし、フォルクスワーゲンもルノーも世界各国に生産拠点を持っています。こういう視点で見てみると、自動車がいかにグローバルな工業製品であるかがわかりますね。
text by 木谷宗義+Bucket
画像提供:FCAジャパン、スズキ、トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、三菱自動車