「N-BOX」といった軽自動車に始まり「フィット」や「シビック」、「CR-V」など世界各地で愛されている乗用車、そしてスーパースポーツカーの「NSX」。ホンダはたくさんの車種を揃えて販売している自動車メーカーです。
しかし、ホンダは自動車だけを専業としているわけではありません。そこで今回は、多岐にわたる「ホンダが作るモノ」について探ってみましょう。
「スーパーカブ」に代表されるオートバイ
まず思い浮かぶのはオートバイという人も多いのではないでしょうか。その代表といえば「スーパーカブ」です。機械メーカーとしてのホンダのルーツは、自転車に後付けするエンジン式補助動力装置の製造。その分野への進出は1946年ですが、新機種として1952年に発売された製品の愛称が「カブ」でした。これが爆発的に売れてホンダの知名度が高まり、追って1958年にデビューしたのが小型オートバイの「スーパーカブ」です。
スーパーカブ50・60周年アニバーサリー(2018年)
スーパーカブは安価で気軽な足として日本だけでなく世界中で愛され、2017年10月には生産累計1億台を達成。これは内燃機関付きの乗り物としては驚異的な記録で、ギネスブックにも登録されています。
ホンダはそんなスーパーカブを軸に、スクーター、ロードレーサー、大型バイク、すなわち実用バイクから趣味のバイクまで豊富にラインナップ。日本で発売している製品は72機種(2018年10月現在)あり、もっとも小さなものは「CRF50F」という、体重40kg以下の子供を対象にした入門用の小さなオフロードバイク(公道走行不可)。
CRF50F(2012年)
ゴールドウイング ツアー デュアルクラッチトランスミッション(2018年)
一方、もっとも大きいのは「ゴールドウイング」というシリーズで、エンジンは排気量1.8Lの水平対向6気筒とクルマ並み。いちばん高価な仕様は331万9920円(税込)と上級のクルマにも手が届くプライスです。
耕運機や除雪機、芝刈り機までも!
クルマやバイクと同様に世界で愛されているのが「マリン」関連。船のエンジンです。ホンダは「船外機」と呼ばれる、船の内部に組み込むのではなく船の後部に取り付けるタイプを製造しています。もっとも小さいのは、釣りなどで使う小型のボートに取り付ける単気筒57ccで2馬力の製品。最大機種は6気筒の3583ccで250馬力を発生する力強いエンジンです。
4ストローク船外機「BF50/BF40」(2018年)
そして実は、クルマやバイク、そしてマリン用品よりももっと身近に使われているホンダ製品があります。それが「パワープロダクツ」と括られるもので、代表的なのは耕運機や発電機。しかし、それ以外にも除雪機、電動カート(老人など足腰の弱い人が移動するための乗り物)、芝刈り機、水ポンプ、汎用エンジン、そして蓄電器や歩行アシストなど多岐にわたります。カセットボンベのガスで電気を起こせる発電機や、同様にカセットボンベのガスでエンジンを動かす耕運機などもここに属しますね。
小型耕うん機「こまめ」F220(2016年)
ハイブリッド除雪機「HSS1170i(J)」(2018年)
ロボット芝刈機「Miimo HRM520」(2018年)
身体能力が衰えた人の歩行をサポートする「歩行アシスト」など今後の社会を見据えた介護用品も作られていて、ここにはロボットの「アシモ」で培われた技術が生かされています。
飛行機を作るホンダエアクラフト
さて、ここにきてすっかり有名になったホンダの作る製品といえば、飛行機でしょう。アメリカの子会社「ホンダエアクラフト」で作られる小型のジェット機「ホンダジェット」は、2015年から顧客への引き渡しを開始。その卓越した性能が評価され、2017年には小型軽量ビジネスジェットの分野で世界ナンバーワンの出荷機体数となったのも話題となりました。
HondaJet Elite(2018年)
また意外なところでは、ガスから電気を起こす「コージェネレーション」という家庭用の発電ユニットや、太陽電池パネルも生産していました。高い効率が評価されていましたが、こちらは残念なことに、現在では販売を終了しています。また、2000年前後は電動自転車も生産・販売していました。
ホンダが生産する製品は多岐に及びますが、その根底にあるのはどれも「生活を豊かにする」という信念。もちろんなかには趣味のアイテムもありますが、それを含め、人生を「便利」で「楽しく」してくれるのがホンダの製品には貫かれているのです。
text by 工藤貴宏 edit by 木谷宗義