1990年代に登場し、今では車内になくてはならない装備のひとつである、GPSを利用した「カーナビゲーション」。近年では、さらに独自の進化を遂げて多様化する”カーナビ”と、スマートフォンなど、ポータブルデバイス上の地図ソフトでガイドされるナビゲーションとの2極化が進んでいます。
今回は、そんな「カーナビが25年前に登場した時」についての問題です。
- ①デンソー
- ②ソニー
- ③パイオニア
- ④ユピテル
解答:③パイオニア
いががでしたか、少し難しかったでしょうか?
解説文の中に正解がありますので、確認していきましょう。
GPSはもとは軍事技術だった
現在では、カーナビだけでなくその他の生活においても必要不可欠な存在であるGPS。実はこのGPS、本来の目的は軍事利用にありました。
湾岸戦争やイラク戦争において、アメリカ軍はGPSを利用して何の目印もない広大な砂漠での進軍を可能にし、また爆弾の誘導に利用されることもありました。
1983年に発生した大韓航空機撃墜事件後には、民間機の安全な航行のために非軍事的な用途でも使えるよう開放されました。
カーナビの歴史
では、市販のカーナビはいつ誕生したのでしょうか。その歴史を、詳しく振り返ってみることにしましょう。
1981年、ホンダはGPS式ではなくジャイロ式のカーナビ、「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」を発売しました。
そして1987年、トヨタの開発部門の一つを前身とする問題文①「デンソー」がCD-ROMに収録された電子地図を搭載したモデルを発売します。
1990年には、マツダが三菱電機と共同開発したGPS式カーナビを搭載した「ユーノス・コスモ」を発売。この時点では未だカーナビ単体での市販には至っていませんでした。
そして1991年、ついにパイオニアがGPS搭載のカーナビをはじめて市販することを発表します。人工衛星からの電波で誘導することから、このシステムは「サテライト・クルージング・システム」と呼ばれました。
ということで、正解は③の「パイオニア」でした。
その後、1992年にはアイシン・エィ・ダブリュ社が世界初のボイスナビゲーションの開発に成功。以降、ボイスナビゲーションは各カーナビメーカーに供給され、音声案内がカーナビのグローバル・スタンダード機能となりました。
1993年、問題の選択肢にもある②「ソニー」が、モニターまでをワンパッケージ化した低価格機を発売。1996年には現代のカーナビにとっても欠かせない交通情報配信「VICS」サービスが開始されました。
2000年5月には、ついに米国国防総省が民間用GPSの制限を廃止し、これにより、GPSの精度がこれまでの100m程度から10m程度へと飛躍的に向上しました。
これで今日のカーナビの形がほぼ完成し、以降は、さまざまな可搬媒体の利用や小型化等で各社の競争が展開されています。
さらに、近年カーナビは車や専用端末から飛び出して進化を遂げ、2014年にはAppleがiPhoneとカーナビを統合したCarPlayを、GoogleがAndroidとカーナビを統合したAndroid Autoを相次いで発表しました。
日本メーカーのカーナビ世界シェアはわずか10%以下!?
カーナビゲーション登場時、日本は世界一のカーナビ大国といわれていました。 なぜなら、海外ではそれほど道は入り組んではおらず、手持ちの地図で十分だったからです。
その後、簡易型のカーナビともいえるPNDや、タクシー業者をはじめ個人にもカーナビが普及しはじめると、ガーミンやLGフィリップス、TOMTOM、モトローラ、IBM、フィリップスなどの海外メーカーが一挙に台頭。 日本のメーカーは多機能化と高級化に傾注するあまり、携帯電話同様、ガラパゴス化により国際市場を得る機会を逃してしまいました。
ただし、カーナビゲーション市場において、日本メーカーは生産台数こそ1割以下ですが、金額上のシェアは3割以上と、ハイエンドに特化した戦略という点では成功といえるかもしれません。
いまや車を飛び出して、生活必需品の域にまで達するナビゲーションシステム。今後のITや映像技術との融合により、どのような発展をとげていくのか楽しみです。
text by マサユキ