4月はニューヨークモータショー、そして上海モーターショーが開催されます。モーターショーとは、クルマの大規模見本市。自動車メーカー各社がニューモデルやコンセプトカーを発表する場です。ところで、みなさんは「コンセプトカー」がどんなクルマであるか、説明できますか? 実はひとくちにコンセプトカーと言ってもいろいろな種類があるもの。今回は、モーターショーをより楽しむため、コンセプトカーの種類を探ってみたいと思います。
そもとも「コンセプトカー」とは?
コンセプト(Concept)」とは「概念」を表す英語。コンセプトカーは、自動車メーカーが“将来像”をアピールするために作るクルマで、技術の未来を示すものやデザインフィロソフィー(思想)を表現したもの、次世代モデルの方向性を形にしたものなど、さまざまなタイプがあります。また、単にコンセプトをアピールするだけでなく、来場者などの反響から市販車などにフィードバックする、マーケティング的な意味合いもあります。ここからは、そうしたコンセプトカーの例をいくつか見てきましょう。
ブランドビジョンを示すコンセプトカー
メルセデス・ベンツ・ジェネレーションEQ(2016年)
もっともコンセプトカーらしいコンセプトカーのひとつで、メーカーが自社の将来像を模索し、形にしたものです。たとえば昨年、メルセデス・ベンツは「ジェネレーションEQ」というコンセプトカーを、パリモーターショーで発表しました。これは、新たにスタートするEV(電気自動車)ブランド「EQ」のブランドやデザインの方向性を示したもの。メルセデス・ベンツは、2020年までにこのEQの市販バージョンを発売するとしていますから、3年後にはこれによく似た形の市販車が登場すると思われます。
デザインの方向性を示すコンセプトカー
ルノー・デジール(2010年)
上のクルマは、2010年にルノーが発表したコンセプトカー「デジール」です。このクルマは、ルノーの新デザイン戦略「サイクル・オブ・ライフ」に則って作られたコンセプトカーの第1弾。2013年にデビューした「ルーテシア」を見ると、デジールが以後のルノー車のデザインの方向性を示したものであったことがわかります。
ルノー・ルーテシア(2013年)
将来技術や新しいクルマ像を示すコンセプトカー
下のクルマは、トヨタが1月に発表した「Concept-愛i」というコンセプトカー。これは、新技術を使った未来のモビリティを具現化したクルマです。
トヨタ Concept-愛i(2017年)
Concept-愛iは、AI(人工知能)を搭載することにより、ドライバーの感情・覚醒度に応じて、クルマが会話を誘導。ドライバーの嗜好に応じた話題や関心の高いニュースをクルマ側から提案するなど、クルマとドライバーの双方向の自由会話を実現するテクノロジーを搭載。新しい技術の投入によって、今までにないクルマの形を提案しています。
近未来の市販車をチラ見せするコンセプトカー
スバルXVコンセプト(2016年)
自動車メーカーはときどき、新型車への反響を得たり新型車の存在を匂わせたりするために、市販車に限りなく近いコンセプトカーを発表することがあります。たとえば、3月に発表されたばかりの新型スバルXVは、市販モデルが発表される1年ほど前に、「XVコンセプト」として私たちの前に姿を表していました。下の市販モデルと比べると、限りなく市販車の雰囲気を持ったコンセプトカーだったことがわかります。
スバルXV(2017年)
2017年は東京モーターショーも開催される!
こうして見ると、コンセプトカーといっても目的によってさまざまなタイプがあることがわかりますよね。今年、2017年は東京モーターショーの開催年です。東京モーターショーに足を運んだときには、どんなコンセプトカーがどんな目的で展示されているのかを観察してみると、各メーカーがどんなことを考えているのかや、これから出てくる新型車のヒントが垣間見えて勉強になりますよ!
text by 木谷宗義+Bucket
画像提供:SUBARU、トヨタ自動車、メルセデス・ベンツ日本、ルノー・ジャポン