世の中にカーシェアリングという言葉が浸透し始めて早数年、いわゆるシェアやレンタカーといわれる業態やサービスも随分と様変わりしてきました。同じカーシェアでも個人間でシェアを行うスタイルや、いわゆるスーパーカーや古いスポーツカーをレンタルする会社などその形態はさまざまです。
しかし、カーシェアやレンタカーである以上、あくまでも「借りる」の範疇を超えることはありません。でも、もしそのクルマが気に入ってしまったら? あるいは欲しいと思っていても購入につきまとう不安が払拭できなかったらどうしましょう?
その両方の解消をできるシステムが、このたび東京に生まれました。それが「スパイス!カーレント&セル東京」です。
そのクルマの良さをじっくり体験してもらいたい
冒険者たるもの普通のクルマを借りていくのでは意味がない。先駆けとなるべくプレオープン時に取材を申し込んだ意味がない。ということで、お借りしましたのはこの不思議な形のモノスペースカー「ルノー・セニックRX4」。その形から、一部の業界で「月面車」と呼ばれるクルマです。
今回お借りしたルノー・セニックRX4。メンテナンスの行き届いた車体は10年の歳月が過ぎているとは思えないコンディションだった
このクルマをチョイスしたのにはいろいろな理由がありますが、まずどこにもない形であること、そして今回の目的にあった走行性能でした。これで奥多摩周辺の散策に出るという行程もそのひとつ。
セニックRX4は5人乗りのモノスペースワゴン「セニック」をSUV風に仕立てたクルマだ。日本にも正規輸入された
ルノーセニックRX4で奥多摩へ
道の駅あしがくぼ。駅に隣接しているからか、土日は昼前にはパーキングが満車になる
ルートは高速をほぼ使わず、あえて一般道を使いました。首都圏を抜けるときには高速を使いましたが、青梅街道からは全行程を一般道で、ワインディングや山間部の空気を思い切り楽しもうと思います。
途中、「道の駅果樹公園あしがくぼ」に立ち寄り朝ご飯を食べたら、ここからは本格的に奥多摩に入ります。国道140号に沿って山梨方面へ向かうルートは、 “ダム巡りの旅”ともいえるルートかも知れません。滝沢ダムや広瀬ダムを通るこのルートには、景観を意識したループ状の橋が架かり、見ごたえも十分です。
大滝ダムに向かってループ状の橋が続く。クルマを止めての撮影スポットは限られるが絶好の観光スポットである
ここで寄り道をして「彩の国ふれあいの森」に向かってみました。ここにはキャンプ場などもあり、RX4には絶好のルートだからです。ふれあいの森までの山道は、お世辞にも広くていい道ではありません。しかし、RX4は昨今のCセグメントと変わらない比較的コンパクトなクルマですので、狭い山道も気にせずに走れます。キャンプ場に着くと、さすがにその先は通行止めになっていました。5年ほど前には通ることのできた道ですが、現在はどうやら全面封鎖されている様子です。
彩の国ふれあいの森にあるキャンプ場。これはその最奥にありここから先は道こそあるが、完全通行止めになっていた。
ひと息入れたのち、再び戻り今度は「大弛峠」を目指します。完全な林道であるこのルートで、RX4は本領を発揮してくれました。5MTとフルタイム4WDは険しい勾配をものともせずに上っていきます。途中、下りの車両とのすれ違いもありましたが、特段の苦労もなくあらためてその見た目に比べて大きさを感じさせない(同じルノーのメガーヌⅡと比べても少し長さがあるくらいでホイールベースは同寸)挙動で、すいすいと山頂まで登ります。
が、残念ながら山頂で止めることはかないませんでした。何しろ土日は登山客が多く、山頂にある駐車場は一杯で、周囲にもあふれるほどでした。仕方がないので、そのまま山を下りることに。山梨方面に入ると桃の収穫時期であることもあり、桃とブドウの木々を左右に見ながら下りていきました。
ここであることに気が付きます。そう、山梨の気温は関東でも屈指の高温地域、外気温時計は37℃を指していました。先ほど大弛峠では18℃くらいでしたからその差20℃近く!それでもRX4は特に変わることなく快調に走ります。旅の最後は奥多摩湖を右に見ながら終点です。ここからは首都圏の日常にまた戻っていきます。
大弛峠の林道。多くの登山客がスタート地点として山頂の駐車場に訪れる
ここでもう一度思い出したいのは、このクルマは実に13年以上前の車体だということです。それでもこれだけの走行行程と環境変化でも実に快適に走ることができました。これが、レンタカーとしていかにキチンと整備されているかの証明でもあるでしょう。
この旅で得る静寂のひととき。セニックRX4だからこそ感じられる非日常感だろう
いかがでしたでしょうか? ルノーセニックRX4と行く奥多摩の旅、この夏ちょっと変わったクルマに乗ってみたい人やいつもと違うクルマで出かけたい人は、スパイス!カーレント&セル東京を訪ねてみてはいかがでしょうか?
text & illust by きもだこよし
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