【コラム】イラストで語るクルマと衣装のナショナリズム Vol.01 チェコ×シュコダ 105/120

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世の中がグローバリズムを唱えていた20世紀の終わりから早17年という月日が経ちました。太平洋の向こうでは大統領が自国の経済を優先するべく、環境政策を取りやめると宣言し、ヨーロッパでは島国のひとつがEUを離脱して独自の路線を走りたいと今や世の中がナショナリズムの台頭に不安な空気が立ち込めております。

しかし、モノづくりの世界ではどうでしょう。およそあらゆるものが国際化しなければ競争力を失うと言われ、世界基準というさまざまな制約から同じようなものばかりが蔓延してはいないでしょうか?

クルマは実に地域性、国民性に富んだものです。そのスタイル、デザインや性能などは、実用品としてはもちろん、ファッションのひとつとしても取り入れられ、愛好されてきました。そう、クルマはファッションでもあるのです。

そんなことから、国民性や地域性を謳歌していた”あの頃”に立ち戻ってみました。

目次

1970年代に生まれたRRのセダン105/120

第1回目はシュコダ105/120です。ご承知の方もいるかも知れませんが、シュコダは東欧のチェコ(当時チェコスロバキア)のメーカーです。

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105/120は1976年~1990年にかけて作られたセダンで、駆動方式はRR。これは当初開発予定だった新型をより近代的なFFレイアウトに変更しようとしたところ、資金繰りにめどが立たずに断念、旧来からのRR方式を踏襲(一説にはソ連の横やりという話も)したものです。

基本的には前モデルのS100/110と同じレイアウトですが、熱効率向上のためにラジエーターをフロントに移設といった改良がなされています。エンジンは105が1046㏄/45馬力、120が1174㏄/50馬力で、トランスミッションは4MT。まだ冷戦下の東側で生産された車両なので、東側のみで売られていたと思われそうですが、意外や英国なんかでも走っておりました。

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そして今回、このクルマの前で花を飾ってくれたのはシェコダの生産国であるチェコスロバキアはモラビア地方の民族衣装「クロイ」です。多少アレンジして女の子で描かせていただきました(おじさんは女の子の方がいいからですがなにか?)。

最大の特徴は、腕の部分の広がりとベストの赤い刺繍(ふわふわしたやつですな)、そしてリボンクラウンと呼ばれるスカーフの飾りです。赤を基調にした飾りにスカート、膝までのレースと華やかですね。

これは王様騎行というお祭りの際に着る衣装で、5月ごろに開催されます。王様と従者を演じる少年が選ばれて騎馬行列が行われ、周辺の村々を含め人々がこうした民族衣装を着て踊るのだそうです。ちなみにこの王様と従者というのが一説では敗走するハンガリーの王様で、追手の目を逃れるために女装をしたのでは?と言われています。

ということは、モデルとして女の子を描いたつもりが、実は女装男子で本来の姿どおりだったのか……? と、ストーリーを書きながら思ったのでした。

text & illust by きもだこよし

▼きもだこよしの記事はこちらで!
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