みなさまは、アクスルシャフトとドライブシャフトの違いをご存じですか。
アクスル（axle）は日本語で「車軸」、ドライブ（drive）は「駆動」、shaftは「回転軸」という意味です。
アクスルシャフトは「軸」という意味が被っているためか、単に「アクスル」と呼ばれる場合もあります。
アクスルシャフトもドライブシャフトも、エンジンの駆動力を車輪に伝える棒状の部品です。
しかし、その構造や使われる車種には違いがあります。
アクスルシャフトとドライブシャフトそれぞれの構造の違い、使われている車、故障した際の対応方法を解説します。
アクスルシャフトとドライブシャフトの違いとは？
アクスルシャフトとドライブシャフトそれぞれの構造を解説します。
アクスルシャフトの構造とは？
アクスルシャフトはリジッドアクスル（車軸懸架または固定車軸）式サスペンションのシャフトです。
リジットアクスル式とは自動車のサスペンション形式のひとつで、左右の車輪が車軸で繋がっていることが特徴です。
この左右の車輪を繋げている車軸が、アクスルシャフトです。
アクスルシャフトはいくつかの部品から構成されています。
「アクスルハウジング」と呼ばれる鋼鉄製のケースの中に、シャフトとデファレンシャルギヤ（差動装置）が格納されています。
アクスルシャフトはエンジンの駆動力を車輪に伝えるために回転しますが、アクスルハウジング自体は回転しません。中のシャフトのみ回転します。
ドライブシャフトの構造とは？
インディペンデント（独立懸架）式サスペンションに採用されているシャフトが「ドライブシャフト」です。
インディペンデント式とは、リジットアクスル式とは反対に左右の車輪の車軸がそれぞれ独立しているサスペンション方式です。
ドライブシャフトは鋼鉄製の軸で、中空構造かつ場所により太さや厚みが変わる構造をしています。
アクスルシャフトとドライブシャフトが主流の車
アクスルシャフトとドライブシャフトそれぞれが主流の車を解説します。
アクスルシャフトが主流の車
アクスルシャフトならびにリジットアクスル式サスペンションはオフロードが得意な車種に採用されており、スズキ ジムニーがその代表です。
オフロード車でアクスルシャフトが採用される理由は2つあります。
- アクスルシャフト自体が頑丈
- リジットアクスル式サスペンションの路面追従性が高い
アクスルシャフトは頑丈なアクスルハウジングで保護されているので、ボディ下部が路面の岩や凹凸にぶつかっても、曲がったり折れたりしにくい特徴があります。
また、リジットアクスル式は左右片方のタイヤが障害物に乗り上げたとき、もう一方のタイヤが強く地面を押さえつけます。
そのため、起伏の激しい路面でもしっかりと地面を蹴って走行できます。
ドライブシャフトが主流の車
ドライブシャフトならびにインディペンデント式サスペンションはごく一部の車種を除き、大半の乗用車に採用されています。
ほとんどの車でドライブシャフトが採用される理由は、乗り心地のよさです。
インディペンデント式は片方のタイヤが障害物に乗り上げても、もう片方のタイヤには影響しないため、安定性が高く乗り心地がいい特長があります。
アクスルシャフトとドライブシャフトが故障した際の対応方法
アクスルシャフトとドライブシャフトが故障したときの対処方法を紹介します。
アクスルシャフトが故障した場合
アクスルシャフトは丈夫なパーツなので破損しにくいですが、絶対に壊れないわけではありません。
故障するケースは大きく分けて以下の2つあります。
- アクスルシャフト自体が曲がったり折れたりする
- アクスルシャフトとボディとのつなぎ目にあるゴムブッシュの破損
大きな障害物を乗り越えたり、何かがアクスルシャフトに直接ぶつかったり、穴にタイヤを落したりすると、アクスルシャフトが破損することがあります。
ゴムブッシュは上記理由に加え、経年劣化でも切れるケースがあります。
もし走行中に車がガタついて操縦安定性が下がったり、足回りから異音がしたりするのを感じたら、アクスルシャフトの不調を疑ってください。
また、アクスルシャフトやゴムブッシュの交換は難しい作業かつ足回りという大事な部分です。
プロ並みの知識がない場合は、DIYで実施せず整備工場やディーラーに依頼することをおすすめします。
なお、交換費用は車種によって大きく差があり、安くとも5万円ほどになるでしょう。
ドライブシャフトが故障した場合
ドライブシャフトも丈夫なパーツです。故障は少ないですが、以下の場合が考えられます。
- ドライブシャフト自体が曲がったり折れたりする
- ドライブシャフトとボディとのつなぎ目にあるゴムブッシュの破損
症状や故障個所、理由などはアクスルシャフトと同様です。
障害物や穴などが原因でドライブシャフトが折れたり曲がったりするほか、ゴムブッシュは経年で劣化します。
ゴムブッシュが損傷すると中のグリスが漏れ出し、ボディとの接続がぎこちなくなります。
走行中の異音や振動を感じたら、ディーラーや整備工場に依頼して早期交換をおすすめします。
アクスルシャフトと同様、部品代と工賃を含め安くて5万円からと見積もっておいてください。
まとめ
アクスルシャフトとドライブシャフトの違いを解説しました。
両者ともエンジンの力を車輪に伝えるという点は一致していますが、構造や装着車種など少々違いがあります。
アクスルシャフトはジムニーをはじめとするリジットアクスル式サスペンションを持つ車に装着されているパーツです。
鋼鉄製のハウジングの中に、シャフトとデフが格納されています。
ドライブシャフトはごく一部を除く大半の車種に採用されています。
鋼鉄製の軸で、中空構造かつ場所により太さや厚みが変わる構造が特徴です。
両者とも丈夫なパーツであまり壊れませんが、接合部のゴムブッシュは経年で劣化します。
運転中の異音や大きな振動に気が付いたら、ディーラーや整備工場に相談して点検と必要なら交換を依頼してください。
