【ハイブリッドシステム②】ハイブリッドシステムは3種類に大別される

ハイブリッドシステムは3種類に大別される

ハイブリッドシステムは、発電と駆動の方法により「シリーズ方式」と「パラレル方式」「スプリット方式」に大別でき、現時点ではもっとも構造が単純なパラレル方式が世界的に主流となっている。以下、各方式のメカニズムについて簡単に解説しよう。

■シリーズ方式
シリーズ方式は「モーターのみで走る電気自動車」といえるもので、エンジンは発電機を回すためだけに使用する。実際の仕組みは、まずはエンジンで発電機を駆動し、発生した電力を駆動用バッテリーに蓄え、その電力でモーターを駆動して走行する。日産のノートやセレナに採用されているeパワーと呼ばれるものがこの方式。

シリーズ方式



■パラレル方式
主役はあくまでもエンジンで、モーターがサポート役となるのが「パラレル方式」。エンジンによる走行が主体だが、発進時に最大の力が出るモーターの特性を活かし、エンジンが燃料を多く消費する発進・加速時にモーターでサポートする。従来のクルマにモーターとバッテリーなどを追加するだけのシンプルな機構で済むというメリットもある。パラレル方式を採用するハイブリッドカーの代表的存在となるのがホンダのフィットなどだ。

パラレル方式



■スプリット方式(シリーズ・パラレル方式)
スプリット方式はエンジンとモーターを使い分けて走るハイブリッドシステム。エンジンとモーターの力を上手に使い分けて走るのが特徴で、発進・低速時はモーターのみで走行し、速度が上がるとエンジンとモーターの双方を使って効率よく走る。
しかし動力分割機構の制御が複雑で、かつ特許の問題もあり(現在、普及のためトヨタは特許を開放中)、採用メーカーは少ない。スプリット方式を採用するハイブリッドカーの代表格はトヨタのプリウスだ。
ここまでに挙げたホンダ勢およびトヨタ勢以外にもハイブリッドシステムを採用している乗用車は多数存在している。まず日産はフーガ、エクストレイルなどにハイブリッド車を用意。ハイブリッドシステムの方式は「パラレル方式」である。その他、BMW、メルセデスベンツ、アウディ、などのドイツ車を輸入車勢にも、ハイブリッド車が用意されている。輸入車系は充電もできるプラグインハイブリッドが多い。

スプリット方式



■現在日本で販売されている主なハイブリッドカー

ホンダNSX

トヨタプリウス

トヨタセンチュリー

三菱アウトランダーPHE

日産ノートeパワー

フォルクスワーゲンEゴルフ

参考情報 ここもチェック!

モータースポーツもハイブリッドの時代?

ハイブリッドカーは今やモータースポーツの世界でも、ある程度メジャーな存在になってきていることをご存じだろうか。
例えば2012年スーパーGTのGT300クラスにはトヨタプリウスとホンダCR-Zが参戦し、好成績を残した。またトヨタはプロトタイプカーで争われるFIA世界耐久選手権(WEC)に2012年からハイブリッドカーのトヨタTS030ハイブリッドで参戦。2017年にはTS030ハイブリッドにまで進化させている。 いわゆる草の根レース系でもエコカーは根づいてきており、富士スピードウェイでは速さだけでなく燃費なども競う「エコカーカップ」が開催されている。繊細なアクセルワークで好燃費を維持しつつ、同時に速さも犠牲にしないで走るための技術の研鑽は、まさに「スポーツ」といえる感覚だ。

トヨタが2016年WEC(FIA世界耐久選手権)用マシンとしてデビューさせたのがTS050ハイブリッド。写真は2018年仕様、2018年、2019年のル・マンで連続優勝

クルマ豆知識

名スポーツエンジン列伝/「A型」(日産、直4) ’70年代までサニーなどの小型車に搭載されていた。OHVという高回転には向かないエンジンでありながら、レース仕様では10000回転という高回転を可能としていた

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