【トランスミッション②】トランスミッションにはどんな種類がある?

トランスミッションにはどんな種類がある?

現在のクルマに用いられている代表的なものは以下のとおり。

マニュアルトランスミッション(MT)

運転者が任意で減速比(ギア)を選択するトランスミッション。エンジンの回転を伝えるインプットシャフトから、減速比の異なるギアが並ぶカウンターシャフトに駆動が伝えられ、そこからギアの組み合わせによって回転数を変化させてアウトプットシャフト(メインシャフト)を回転させる。ギアの変速を円滑に行なうための「シンクロメッシュ」を使ったマニュアルトランスミッションを「シンクロ型MT」と呼び、現代のロードカーでは、ほぼ100%がこの方式を採用している。

 

オートマチックトランスミッション(AT)

クラッチ操作と変速操作が不要なトランスミッション。ATのなかでも主流である遊星歯車式ATは、クラッチの代わりに流体継手の一種であるトルクコンバータ(トルコン)と遊星歯車機構を組み合わせたもの。’80年代までは機械的にバルブの切り替えと変速制御を行なっていたが、’80年代後半から電気的にバルブを駆動するものが登場し、現在はコンピュータ制御できめ細かく調整されている。ATは高級車や大排気量車に採用されることが多いから最近は多段化が進み、6速AT以上が主流だ。今では10速ATも珍しくなくなった。

 

トルクコンバータ式AT

■これまで主流だったトルクコンバータ式AT。遊星歯車とトルコン(オイルの流れを利用してエンジンの駆動力を伝える装置)を組み合わせ、これを油圧などで制御して自動的に変速する

 

CVT

CVTとは「無段連続伝達装置」でATの一種。MTやATはギア(歯車)によって変速を行うが、CVTにはギアというものがない。2個のプーリーの間にベルトをかけ、このベルトを回転させる円盤の径を連続して変化させることで、無段階の変速を行なう。許容トルクの問題から従来は小型車向けといえる機構だったが、現在では排気量2ℓ以上のクラスにも搭載する。また最近は副変速機のように、1段変速機を組み合わせたものも存在する。

 

CVT(無段変速機)

■ベルトと2つの可変径プーリーを組み合わせ、無段階に変速を行なう機構。エンジンのもっとも効率のよい回転域を多用できるため、燃費やパワー効率の面でメリットがある

 


■ベルト式無段変速機のCVTは日本のコンパクトカーや軽自動車に多い。写真はダイハツアトレー用のFR用CVTで、4WD機構も内蔵できる

デュアルクラッチトランスミッション(DCT)

奇数段のギアを受け持つ出力軸と、偶数段のギアを受け持つ出力軸を別に持ち、それぞれにクラッチを配置することからデュアルクラッチと呼ばれる。クラッチを繋ぎ替えるだけで変速が完了するためタイムラグや動力損失が小さく、スポーツ走行に適している。また、損失が少ないため燃費の面でも優位性がある。

 

■奇数段のギアを受け持つ出力軸と、偶数段のギアを受け持つ出力軸を別に持っている

 


■最近のヨーロッパ車は実用グレードでもデュアルクラッチトランスミッション採用車が増加中

ドグクラッチ式AT(ルノーE-テック)

ルノーがアルカナやルーテシア、メガーヌなどに搭載し、注目を集めているのが「E・テック」の名を冠したフルハイブリッド用のドグクラッチ式AT(エンジン用4速AT+モーター用2速AT)だ。ドグクラッチというのはギアの一種で、凸部分と凹部分が噛み合う方式。通常、ドグクラッチを繋いだり、切ったりすると、大きなノイズが発生するが、E-テックはモーターでシャフトを回転させて同期させることでノイズやショックを除去、CVTなみにスムーズな変速を可能にしている。ミッションの構成はデュアルクラッチ式のミッションと同じように、奇数のギア段数と偶数のミッションをベースにしている。メインのギアボックスは4速、サブのギアボックスが2速。こう書くと4×2で8通りのギア比となりそうだが、それぞれにニュートラルが存在するので5×3で15通り、メインサブともにニュートラルは走れないので14通り、このうちギア比が近い2つは使わず12通りのギア比を使う方式となっている。

 

■ハイブリッド用のモーターがギアのシャフトを回転させて同期、ドグクラッチをスムーズに断続する

 

 

■23年現在、ルノーでE・テックハイブリッドを搭載し、日本に導入されているのは写真のアルカナを筆頭に、ルーテシアとキャプチャーの3モデル

参考情報 ここもチェック!

「セミAT」とは何を指す言葉なのか?

近年はDCTの普及により姿を消しつつあるが、「セミAT」または「ロボタイズドMT」と呼ばれるトランスミッションも一時流行した。
MTの構造を基に、クラッチ操作のみ、あるいはクラッチ操作と変速操作の双方を自動化した変速機で、アルファロメオの「セレスピード」やBMWの「SMG」、ルノーの「イージーシステム」などがそれに当たる。構造的にはMTだが、日本の免許制度ではAT限定免許でも運転することができる。
近年のトルコン式ATにもギア選択を手動で行なえるものがあり、それらもセミATと呼ばれる場合があるが、基本的にはそれらは「MTモード付きAT」や「スポーツAT」などと呼ばれるべきだろう。セレクターに「2」などのポジションがある場合は1~2速間に変速を制限するモードという意味で、これはマニュアルモードとは動作が異なる。

■上の図版はアルファロメオの「セレスピード」のもの。基本的な構造はMTと同じで、クラッチを電子制御化しシングルクラッチ式のセミATだ

■上の図版はアルファロメオの「セレスピード」のもの。基本的な構造はMTと同じで、クラッチを電子制御化しシングルクラッチ式のセミATだ

クルマ豆知識

例題/4サイクルエンジンの4工程で、吸気、圧縮、膨張の次に来るのは?
①排気 ②掃気 ③暖気 ④呑気(正解=①)

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