【4サイクルガソリンエンジン②】4サイクルエンジンの多様なシリンダー配列・過給機/直噴技術なども効率化を後押し

4サイクルエンジンの多様なシリンダー配列

4サイクルガソリンエンジンは、排気量や目的によってさまざまなタイプに分かれている。排気量2ℓ以下の場合は直列エンジンが使われることが多く、気筒数(シリンダーの数)は3~6気筒となるのが一般的だ。
V型エンジンは大排気量車に搭載されることが多い。シリンダーをV字に2列配置することで大排気量のエンジンでもコンパクトにすることができるのに加え、斜めにシリンダーを配置することでストロークを長くすることができるため、より大きなトルクを発生することが可能になる。
水平対向エンジンは、ピストンが横向きに往復運動をする様子から「ボクサーエンジン」とも呼ばれる。エンジン全高を下げられるとなるので車体の重心を低くすることができる。

直列6気筒エンジン

振動面から見てバランスのよい方式だが、近年はV型6気筒にとって代わられつつある

直列4気筒エンジン

2ℓ級のクルマでもっとも一般的な方式。「直4」「ストレートフォー」と呼ばれることも

水平対向エンジン

シリンダーを左右交互に水平に配置。低重心化が可能で、スバルやポルシェが採用する

V型エンジン

シリンダーをV字型に配置。多気筒化したときにエンジンをコンパクトにできる

過給器/直噴技術なども効率化を後押し

エンジンの高出力化のため、「過給器」と呼ばれる装置を装着しているエンジンも多い。過給器のなかで代表的なものは「ターボチャージャー」だ。
排気量が同じでも、シリンダー内により多くの混合気を入れることができれば、より大きな出力を発生することが可能になる。ターボチャージャーは排ガスを使ってタービンを回転させ、それを動力として吸気側のコンプレッサーを回転させる仕組みだ。
ターボチャージャーが排気を利用するのに対し、「スーパーチャージャー」はエンジンのクランクシャフトの回転を利用して、機械式の圧縮ポンプを作動させて過給を行う。最近ではターボチャージャーとスーパーチャージャーを同時に搭載する「ツインチャージャー」のエンジンも登場している。
エンジンの効率化を図るためには「直噴(筒内噴射方式)」も有効。従来のエンジンはポート噴射といって、吸気バルブ手前にあるインジェクターからガソリンを噴射して、適量のガソリンと空気を混合したうえで燃焼室に送り込んでいた。それに対して直噴エンジンは、高圧ポンプで加圧されたガソリンが直接燃焼室に噴射される。ポート噴射のようなバルブがないので、低負荷時は少ないガソリンを効率よくスパークプラグの火種に噴射できるため、燃費を稼ぐことができるのだ。
最近ではこの直噴技術とターボチャージャーを組み合わせた「直噴ターボ」が、省燃費技術として活用され、特にヨーロッパの自動車メーカーでは主流の一つになっている。

ターボチャージャー

排ガスを利用してタービンを回すことで、本来の排気量を超える混合気を吸入・燃焼する

直噴エンジン


ガソリンをシリンダー内に高圧で直接噴射するシステム。「筒内噴射」方式とも呼ばれる

参考情報 ここもチェック!

最新の過給エンジンには「ターボラグ」がない?

 例えばフォルクスワーゲンが得意とした「ツインチャージャー」では、エアフィルターを通った空気は、低回転域ではまず機械式スーパーチャージャーへと送り込まれ、その後ターボチャージャーで再加圧されてからスロットルバルブへと送り込まれる。高回転域では、スーパーチャージャーをバイパスするパイプに設けられたフラップが開き、空気を直接ターボチャージャーへと送り込む。
つまり、低い回転域から過給を開始するスーパーチャージャーによって、高回転域を得意とするターボ特有のターボラグを解消し、逆に高回転域になるほどエンジンへの負荷が高まるスーパーチャージャーのデメリットも、ターボチャージャーへのスムーズな切り換えによって解決しているのだ。ターボラグが大きいことを意味する「ドッカンターボ」という言葉も、今やほとんど死語だろう。

写真はフォルクスワーゲンのTSIエンジン。小排気量エンジンにスーパーチャージャーとターボチャージャーを組み合わせ、排気量以上のパワーと小排気量ならではの燃費性能を両立している

クルマ豆知識
日本のパーツメーカー/「アライヘルメット」 自動車関係以外のヘルメットの開発、生産を手掛け、同社のヘルメットは安全性、快適性、軽さなどで高い評価を得ている。F1ドライバーをはじめとしたプロレーサーにもユーザーは多い

関連記事
【4サイクルガソリンエンジン①】現在もっとも一般的な4サイクルエンジン