大型トラックやバスなどを運転するために必要なのが、自動車の大型免許です。
大型免許は運送業や輸送業などで大型自動車を運転する際に必要になる免許で、仕事で使うことが主となるため「プロ免許」とも呼ばれています。
そんな大型免許ですが、普通免許と同様に合宿免許で取得できるのか、また内容や費用などをあわせて徹底解説していきます。
合宿免許で大型免許は取得できるの?
大型免許と言うと、専門的で難しそう、取るのが大変そう、時間がかかりそうというイメージがあるかもしれません。
一方、合宿免許は大学生など若者が普通免許を取るために通うことが多く、短期間で安く免許が取れるのが魅力です。
そんな合宿免許で、専門的な大型免許が取れるものなのでしょうか?
それでは、さっそく詳細を見ていきましょう。
合宿免許で大型免許は取得は可能!
結論から言うと、合宿免許で大型免許を取得することは可能です。
ただし、すべての合宿免許で大型免許を取れるわけではありません。
普通車免許であればほぼすべての合宿免許で扱っていますが、大型免許を扱うのはその中の一部となります。
なお、合宿免許とは、教習所のそばの宿泊施設に泊まりながら毎日みっちり教習を受けられるもので、最短期間で合格を目指すことが可能です。
そもそも大型免許とは?
さて、そもそも大型免許とは何なのか、その定義をご説明しましょう。
大型免許を取得すると運転できるようになる車は、車両の総重量が11トン以上、または最大積載量が6.5トン以上、あるいは乗車定員30人以上という「大型自動車」となります。
これはたとえば、大型トラックやバス、ダンプカーなどです。
また、大型免許の正式名称は「大型自動車第一種免許」および「大型自動車第二種免許」となり、乗客を乗せる大型自動車を運転する場合は第二種が必要になります。
なお、大型免許を取得すると、大型車以外に、中型車、普通車、小型特殊車、原付自転車が運転できるようになります。
大型免許を取得できる条件
大型免許というのは、自動車免許を何も持っていない人が突然取ることはできない免許となっており、取得にはいくつかの条件があります。
- 普通自動車免許、中型免許、準中型免許、大型特殊免許のうち、どれかを取得済み
- 運転経歴が通算3年以上
- 年齢が満21歳以上
- 視力が片眼0.5以上、両眼0.8以上、奥行きや距離感を測る深視力検査の合格
- 聴力検査の合格
- 色覚検査の合格
なお、年齢については、普通免許等を取得できるのが満18歳ですから、運転経歴3年以上となると自動的に満21歳以上となります。
そして運転経歴が通算3年という点ですが、普通免許等を取得していても途中で免許停止や免許の取り消しなどがあった場合、その期間は3年のうちに含めません。通算3年以上であると証明するには、運転免許経歴証明書を取り寄せましょう。
また視力については普通免許よりも厳しい検査となり、片眼・両眼ともに0.1ずつ高い視力が求められます。
全長の長い大型自動車を運転するため、通常の視力だけではなく奥行きや動いている物体の距離感を把握しているかどうかの深視力検査というものも行われます。
深視力検査とは、検査機により映し出された複数の動く棒の映像を見て、それが重なるタイミングでボタンを押すというもの。もし不安であれば、一般の眼鏡屋などで似た検査を受けられる場合があるので相談してみるといいでしょう。
その他、聴覚や色覚を測る検査もあり、普通車を運転する場合と比べて大型自動車の運転には一定以上の五感能力が求められていると言えます。
合宿免許で大型免許を取得する際の教習内容
合宿免許で大型免許を取得する場合、その教習内容はどんなものなのでしょうか。
この内容は、基本的には普通免許と同じく学科教習と技能教習が基本となってはいますが、実は取得している免許によって内容や必要な時間が大きく異なってきます。
大型免許に近い中型免許等を持っていると必要な教習は少なく済み、逆に普通免許しか持っていない場合は教習が多くなります。
ちなみに、「大型特殊免許」というのは大型免許と混同されがちですが、これはフォークリフトやトラクターなどを運転するのに必要な免許で、普通免許を持っていなくても取得可能なものです。
名称が紛らわしいですが、大型免許を取るための教習は普通免許所持の人より多くなりますので注意しましょう。
普通車MT免許を所持している人
普通車のMT免許を持っている人は、学科教習が1時限、技能教習が30時限必要です。
最短教習日数は13日~となります。
中型一種MT免許を所持している人
普通車のMT免許を持っている人は、学科教習は受ける必要がなく、技能教習が14時限必要です。
最短教習日数は7日~となります。
中型一種MT免許を持っている人は、大型免許を取得する上で、最も短い日数での取得が可能です。
中型8t限定MT免許を所持している人
普通車のMT免許を持っている人は、学科教習は受ける必要がなく、技能教習が20時限必要です。
最短教習日数は9日~となります。
準中型MT免許を所持している人
普通車のMT免許を持っている人は、学科教習は受ける必要がなく、技能教習が23時限必要です。
最短教習日数は11日~となります。
準中型5t限定MT免許を所持している人
普通車のMT免許を持っている人は、学科教習が1時限、技能教習が26時限必要です。
最短教習日数は12日~となります。
大型特殊免許を所持している人
普通車のMT免許を持っている人は、学科教習が4時限、技能教習が45時限必要です。
最短教習日数は20日~となります。
所持免許 | 学科教習時間 | 技能教習時間 | 仮免試験の有無 | 最短教習日数 |
---|---|---|---|---|
普通車MT免許 | 1時限 | 30時限 | あり | 13日~ |
中型一種MT免許 | なし | 14時限 | あり | 7日~ |
中型8t限定MT免許 | なし | 20時限 | あり | 9日~ |
準中型MT免許 | なし | 23時限 | あり | 11日~ |
準中型5t限定MT免許 | 1時限 | 26時限 | あり | 12日~ |
大型特殊免許 | 4時限 | 45時限 | あり | 20日~ |
※1時限は50分です。
合宿免許で大型免許を取得する際の費用
大型免許を取ろうと思う場合、気になるのがやはり取得にかかる費用です。
前項で、どの免許を持っているかによって教習にかかる時間が異なるとご説明しましたが、教習時間の長さによって取得費用も異なってきます。
合宿免許で大型免許を取得する場合は安くて20万円前後、高くて50万円超と大きな開きがありますので、これから取得しようと考えている方は事前によく確認するのがよいでしょう。
それでは下記で、持っている免許別の大型免許取得にかかる合宿免許費用を、通学免許とも比べながら見ていきましょう。
普通車MT免許を所持している人
普通車MT免許を所持している人が大型免許を合宿免許で取る場合、約35万円ほどかかります。
通学免許の場合は約40万円ほどとなります。
中型一種MT免許を所持している人
中型一種MT免許を所持している人が大型免許を合宿免許で取る場合、約20万円ほどかかります。
通学免許の場合は約23万円ほどとなります。
中型8t限定MT免許を所持している人
中型8t限定MT免許を所持している人が大型免許を合宿免許で取る場合、約27万円ほどかかります。
通学免許の場合は約30万円ほどとなります。
準中型MT免許を所持している人
準中型MT免許を所持している人が大型免許を合宿免許で取る場合、約30万円ほどかかります。
通学免許の場合は約33万円ほどとなります。
準中型5t限定MT免許を所持している人
準中型5t限定MT免許を所持している人が大型免許を合宿免許で取る場合、約32万円ほどかかります。
通学免許の場合は約36万円ほどとなります。
大型特殊免許を所持している人
大型特殊免許を所持している人が大型免許を合宿免許で取る場合、約53万円ほどかかります。
通学免許の場合は約55万円ほどとなります。
所持している免許 | 大型免許の取得費用(通学/合宿の比較) |
---|---|
普通車MT免許 | 約40万円(通学)/約35万円(合宿) |
中型一種MT免許 | 約23万円(通学)/約20万円(合宿) |
中型8t限定MT免許 | 約30万円(通学)/約27万円(合宿) |
準中型MT免許 | 約33万円(通学)/約30万円(合宿) |
準中型5t限定MT免許 | 約36万円(通学)/約32万円(合宿) |
大型特殊免許 | 約55万円(通学)/約53万円(合宿) |
参考までに、普通免許を取得する場合は合宿免許で約20~30万円、通学免許で約25万~35万円かかるため、合宿免許の方が5万円程度安くなっています。
大型免許の場合も2~5万円ほど差があり、やはり合宿免許の方が安く取得することができます。
合宿免許で大型免許を取得するメリット
大型免許を取るには、教習所に通わずに受ける一発試験と、教習所で卒業検定に合格し運転免許試験場で適性検査のみを受けるという方法があります。
教習所に通う場合は、通学免許のほかに合宿免許があり、宿泊施設に泊まり込みで教習を受けられる合宿免許なら多くのメリットがあります。
それでは、合宿免許で大型免許を取得するメリットを見ていきましょう。
- 通学よりも短い期間で取得できる
- 通学よりも安い費用取得できる
- 運転できる車の幅が広がる
- 免許を活かしてできる仕事が増える
- 給料が上がる場合がある
- 教育訓練給付金制度が利用できる
通学よりも短い期間で取得できる
合宿免許の最大のメリットと言えば、やはり最短期間での免許取得が可能になることでしょう。
通学の場合は自分の都合に合わせて通うことができますが、教習所の設定するスケジュールや技能教習の予約などにより、おおよそ3ヶ月程度かかるのが一般的です。
その点、合宿免許では通学生ではなく合宿生を対象に教習のコマ割りを組むため、最も効率のいいカリキュラムでの教習が可能となるのです。
合宿免許であれば、持っている免許によって大型免許は最短で7日、長くとも20日ほどとなり、仕事で大型免許が必要となった場合でもスピーディに取得することができます。
また、ただ単に日数が少なくて済むだけでなく、短期間での教習であれば集中してみっちり覚えられる、泊まりながら仲間と勉強できるなど多くのメリットがあります。
通学よりも安い費用取得できる
合宿免許で大型免許を取る際の費用は、通学する場合に比べて2~5万円ほど安くなっています。/span>
「合宿免許は安い」とイメージされている方にはそれほど割安に感じられないかもしれませんが、実は合宿費用の中には教習費用のほか宿泊費用や食費、交通費の一部なども含まれています。
これらがコミになって同じ内容の教習が受けられ、通学より安いわけですから割安と言えるでしょう。
また、通学で教習所に通う場合は毎回の交通費も別途かかりますから、トータルで考えても合宿免許の方が安く免許取得が可能です。
運転できる車の幅が広がる
合宿免許で大型免許を取得すれば、運転できる車の幅が広がります。
大型免許では、例えば大型トラックやバス、ダンプカーのほか、ミキサー車やタンクローリーなどが運転できるようになります。
また、大型免許を取得することで、大型車の下位に当たる中型車、普通車、小型特殊車、原付自転車の運転も可能になります。
免許を活かしてできる仕事が増える
運転できる車の幅が広がれば、大型免許を活かしてできる仕事の幅も広がることになります。
大型自動車というのは業務で使用する車ですから、必然的に、仕事に結びついています。
今就いている仕事で別の業務、別の車に乗れたり、あるいは転職にも活用できるでしょう。
大型免許は普通免許などに比べれば取得には時間、費用、労力がかかりますが、その分メリットも大きくなります。
給料が上がる場合がある
大型免許を取得することで、乗れる車、選べる仕事の幅が増え、収入のアップにつながることも多くあります。
コロナにより通販の需要が高まり、トラックドライバーは人手不足で給料も上がっているところが多いため、大型免許を持っていれば高収入や好待遇の仕事を得ることも可能でしょう。
また、大型免許は普通免許等と比べると、やはり高い技能を必要とする特別な資格となります。
そのため、大型免許を持っているというだけで、たとえ運転していなくとも今の給料にプラスして「大型手当て」が付く会社もあります。
教育訓練給付金制度が利用できる
大型免許を取得すると、給付金がもらえることもあります。
「教育訓練給付金制度」というものがあり、雇用保険制度の一環として、大型免許取得に際し最大10万円の給付を受けることが可能となっています。
この教育訓練給付金制度については次項で詳しく説明します。
教育訓練給付金制度を詳しく解説!
大型免許の取得にあたり、最大10万円が給付される可能性がある「教育訓練給付金制度」。
給付を受けるにはいくつかの条件があり、大型免許を取る人のすべてに給付されるわけではありませんが、条件が当てはまれば費用面で心強い制度です。
では、教育訓練給付金制度について詳細を見ていきましょう。
教育訓練給付金制度とは?
教育訓練給付金制度というのは、雇用の安定や就職促進などを目的として厚生労働省が定めた制度のことです。
具体的には、労働者がスキルアップや再就職などを目的とした教育を受けた際、その受講費用の一部が支給されるというものになります。
その対象となる教育は多岐にわたり、事務や医療、農業系や情報関係など様々な資格取得にまつわる講座や学校の費用を支援してもらえます。
大型免許もその一つで、大型免許を取得するため教習所を利用した際に、費用の一部が支給される可能性があります。
教育訓練給付金制度が利用できる条件
教育訓練給付金制度を利用するには以下のような条件があります。
- 雇用保険に1年以上加入していること(利用初回)
- 制度利用が2回目以降の場合は、雇用保険に3年以上加入かつ、前回利用から3年経過
- 65歳未満であること
もし現在、働いていないか雇用保険に加入しない職業である場合は、前職で雇用保険に1年以上加入しており、離職から1年以内であれば条件を満たします。
また、大型免許で教育訓練給付金制度を利用したい場合は、受講する教習所がこの教育訓練給付金制度の指定講習であることも条件となります。
すべての教習所が指定講座として認定されているわけではなく、教育訓練給付金が支給されるかどうかは教習所ごとに異なるため、事前に確認が必要です。
教育訓練給付金制度の利用方法
教育訓練給付金制度を利用するには、まずハローワークに出向き、制度利用の条件を満たしているかどうか確認した上で、「教育訓練給付金支給要件照会票」という書類をもらいます。
そしてその照会票を教習所に持参し、通常通りの受講費を支払って教習を受け、卒業します。
そののち、教習所が発行する領収書と「教育訓練終了証明書」という書類を持って再びハローワークへ申請すると、所定の給付金が支給されます。
合宿免許費用はどのくらい戻ってくる?
さて、気になるのは合宿免許費用が具体的にどのくらい戻って来るのかという点でしょう。
教育訓練給付金制度では、支給されるのは教習費用の20%で、最大10万円が上限となっています。
例えば、既に中型免許を持っている人が大型免許を取得した場合は、合宿免許費用が約20万円ですので、支給されるのは約4万円。実質負担は16万円ということになります。
また普通免許を持っている人なら、合宿免許費用が約35万円のため、支給は約7万円で、こちらの実質負担は28万円となり、取得の負担が軽減されます。
なお、これは教育訓練給付金制度の中でも「一般教育訓練」というものを利用した場合の金額ですが、「特定一般教育訓練」というものに認定されている教習所の指定講習であれば、費用の40%、最大20万円が支給されます。
まだ指定数は少ないものの、近年認定される教習所は増えていますので事前に確認してみるといいでしょう。
大型免許を取得するために合宿免許を比較しよう!
最短期間でお得に大型免許が取得できる合宿免許ですが、各教習所によって費用やプラン、お得な割引なども大きく異なってきます。
教育訓練給付金制度が利用できる教習所であったり、周辺の観光名所や宿泊施設の食事が充実していたり、また自炊が可能などさらに費用が抑えられるプランであったりと、自分に合った合宿免許を見つけるには全国の合宿免許を比較してみるのが一番です。
自分にぴったりの合宿免許を探すためには、ぜひ下記の記事を参考にしてみてください。
まとめ
今回は、合宿免許で大型免許を取得できるのか、また大型免許についての費用やメリット、利用できる制度などを解説いたしました。
仕事の幅が広がったり、収入アップにもつながる大型免許はメリットも多く、短期間で取得できる合宿免許を利用する人も増えています。
合宿免許は通学するよりも安く大型免許が取得でき、またその費用の負担軽減ができる教育訓練給付金制度を利用できる場合もあります。
ぜひこの記事を参考に、合宿免許での大型免許取得にチャレンジしてみてください。