【トヨタグループが2位に浮上FCAとPSAの合併が間近に②】2014年後半から続く円安基調がどう影響するか・自動車メーカーの東南アジアシフト進む
2014年後半から続く円安基調がどう影響するか
2014年前半は1ドル/100円台で落ち着いていた米ドル/円の為替レートだが、2014年後半からは急落となった。2018年からは1ドル/110円~120円のなかで細かく動いている。
輸出産業である自動車産業は基本的に円安は歓迎ムードとなるのが通常だ。
日本の自動車産業は基本的には海外マーケットを重視する産業なので、為替による影響は大きい。リスクやコストを減らすために現地生産は欠かせないが、イギリスのEU離脱など不安材料はつねについてまわる。
2016年以降1000万台超えを実現したトヨタだが、今後は台数よりも利益を重視するような方向にシフトしつつあり、しばらくは世界販売台数1位を獲得することにこだわりはないようだ。今後しばらくはアジアをはじめ、中南米、アフリカなどの新興国(※③)での足固めにより、販売網を広げていくことに力を注ぎそうだ。
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③新興国
「新興国」の定義は時代とともに移り変わるものだが、さしあたって今、新興国というときに該当するのはNIEs(新興工業経済地域)の対象である韓国、台湾、香港などと、東南アジアではベトナムやタイ、シンガポールそしてBRICsのブラジル、ロシア、インド、中国あたりだ
自動車メーカーの東南アジアシフト進む
日本の自動車メーカーは、貿易摩擦の解消も視野に入れ、’80年代から北米の生産を開始。近年は中国、ASEAN(東南アジア諸国連合)(※④)の生産が活発化している。特にタイでは、タクシン元大統領が「タイをアジアのデトロイト(※⑤)にする」と発言。関税を引き下げ、法人税の免税などもあり、日本メーカーの工場が積極的に進出。唯一、進出していなかったスバルも、2019年から工場を稼働させた。
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④(東南アジア諸国連合)
東南アジア10カ国の経済・社会・政治・安全保障・文化に関する地域協力機構。現在の加盟国はインドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジアの計10カ国。
⑤デトロイト
アメリカ合衆国ミシガン州南東部にある都市。もともと馬車や自転車製造が盛んだったが、1899年に自動車工業が興ると、1903年にヘンリー・フォードが量産型の自動車工場を建設。「T型フォード」のヒットとともに全米一の自動車工業都市として発展した。後にゼネラルモーターズとクライスラーも誕生。全盛期には人口の約半数が自動車産業に関わっていた。
このほかインドネシア、フィリピンなどにも工場を構えるメーカーも多く、トヨタは商用車のタウンエース&ライトエースをインドネシアから輸入する。
ASEAN諸国はクルマの需要も多く見込めるため、今後もアジアシフトは続きそうだ。
ただしメーカーの開発者は、「経済力の向上に併せて人件費も高まってきた」と言う。従来のように「アジア諸国で安く造らせて、低価格で売る」という図式がいつまで続くは不明だ。
2018年に三菱はタイのレムチャバン工場にて、500万台の生産を記録。セレモニーを行った
①パジェロスポーツ ②アトラージュ ③トライトン ④エクスパンダー(正解=③)