【トヨタグループが2位に浮上FCAとPSAの合併が間近に①】世界の販売台数は微減ながらトップ3は微増

『ここをチェック』
★2019年の年間販売台数トップはフォルクスワーゲン
★上位3グループは1000万台超え
★アメリカ市場は以前として堅調

世界の販売台数は微減ながらトップ3は微増

2019年の販売台数ランキング・トップ10の顔ぶれには変化はなかったもののトップ3では順位の入れ替わりがあった。販売台数1位は2018年の1083万台からさらに上乗せし、1097万台の売上を記録したフォルクスワーゲングループが4年連続でトップに輝いた。
順位が入れ替わったのが2位と3位だ。2018年はルノー・日産・三菱グループが2位となっていたが、2019年は3位に転落、そしてトヨタグループ(トヨタ、ダイハツ、日野)が2位となった。1位フォルクワーゲンと2位トヨタは、ともに2018年より台数を増やしているが、ルノー・日産・三菱グループは販売台数もダウンしている。カルロス・ゴーンの失脚は少なからずとも影響しているのだろう。また、3社のうちもっともボリュームのある日産に限れば、新型車の導入が行われていないなどの要因も見逃せない。
アメリカ市場に限ってみると販売台数は2015年から1700万台レベルを維持しており、堅調と言える。なにしろリーマンショック(※①)後の2009年には1043万台にまで落ち込み、リーマンショック以前となる2007年と同レベルになるまでは2014年まで5年もの期間が必要だったのだ。

補足情報

①リーマンショック

アメリカの投資銀行「リーマン・ブラザーズ」が2008年9月15日に破綻し、それが引き金となっての世界的金融危機および不況のこと。その後米国ビッグ3のクライスラーとGMが相次いで破綻。日本でも本田技研工業はかろうじて黒字に踏み留まったが、トヨタ自動車、日産自動車は巨額の赤字に転落した。


トランプ政権はアメリカ国内での生産を求めるような発言を繰り返しているが、現状の変化はさほど発生していない。為替レート(※②)も大きな動きはなく、為替関連の心配材料は少なそうだ。

補足情報

②為替レート

2011年のドル円レートは年間平均で約79.8円。翌年の2012年も年間平均レートは約79.8円と超円高傾向が続いたが、2013年はいわゆるアベノミクスにより約97.6円と円安基調に。2015年には121円とかなり円安が高まった。2017年以降は小刻みに上下しつつも比較的落ち着いている。


今後の自動車産業において見逃せなくなってきているのが、アライアンスや合併といったことがらだ。ゴーンショックの裏にはルノーと日産の合併劇が潜んでいたといううわさも流れている。ルノーにはFCAとのアライアンス締結や合併という話もあったが、これはすぐに立ち消えた。
しかし、急転直下FCAはグループPSA(プジョー・シトロエン)と経営統合することを発表。この経営統合は対等合併で、新社名も「ステランティス」となることが発表されている。イタリア、アメリカ、フランスの3カ国からなる「ステランティス」は、フィアット、アルファロメオ、アバルト、ランチャ、マセラティ、クライスラー、ジープ、ダッジ、ラムトラックス、プジョー、シトロエン、DS、オペル、ボクスホールのブランドをもつ巨大グループとなる。FCAとPSAの2019年の販売台数の合計は790台となり、これをもとに考えれば、ステランティスはGMを抜いて世界第4位のシェアを持つグループとなる。
自動車のように部品点数の多い工業製品は、部品共有によるコストダウン効果が大きいため、今後もこうしたアライアンス、合併の話は絶えないだろう。さらに、販売網についても、新たに開拓するのではなく、すでにその地域で十分な販売網を持っているメーカーと手を組むことで、自社製品の販売を伸ばすことを考えるメーカーが多く、アライアンスや合併に拍車を掛けることになってきている。
2019年はいわば平時の年であったが、2020年は世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るい、自動車の製造・販売にも大きな影響を与えている。

    1. 2018年に世界最多販売の座をフォードのピックアップトラックFシリーズに奪われたが、2019年はふたたびカローラが返り咲いた

 

参考情報 ここもチェック!

中国、インド、タイさまざまなカントリーリスク

日本メーカーの海外シフトが続くなか(次ページ参照)、それでも開発拠点やコア技術の生産はあくまで日本に軸足を置き続けるメーカーは多い。その理由の一つが「(日本以外の)カントリーリスク」だ。2012年9月には尖閣諸島の所属をめぐり中国各地で暴動が発生し、多くの日本車およびショールームが破壊される事件が起きた。また2011年にはタイで大洪水が発生。ホンダの組立工場など多くの日本企業に被害が出て、各メーカーが対応に追われたことは記憶に新しい。また同じくタイでは2014年5月20日に陸軍が戒厳令を発令した。
そして2020年には新型コロナウイルスがまん延。国をまたいでさまざまなことができなくなり、自動車産業も大きな影響を受けた。


クルマ豆知識
例題/2018年7月登場の新型ジムニーで復活したマスコットの動物は?
①ゴリラ ②バッファロー ③キリン ④サイ(正解=④)


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