【暗中模索ながら動き出している次世代モビリティ】実証実験の特例は理解しにくい状況も

『ここをチェック』
★次世代モビリティは電動化で進む
★混沌としている電動キックボード
★普及がすすむ超小型モビリティ

電動化技術を使うことで広がる次世代モビリティ

次世代モビリティについては陸海空それぞれに新しい試みが始まっている。陸海空のそれぞれ単独での場のものもあれば、水陸両用のようにシチュエーションをまたぐものも存在する。ここでは、陸に限ったものについて話進めていきたい。次世代モビリティのキーポイントとなっているのは、そのほとんどが電動化技術を用いていることにある。せっかく次世代とするのに旧来のエンジンを使ったら先進性が感じられないのはもちろんだが、それ以上にさまざまなコントロールやコネクティッドを利用した支払いやシェアリングなどの面で扱いやすいということもある。

 

現在想定されている次世代モビリティは、パーソナルモビリティ、超小型モビリティ、多目的モビリティの3種類だと言われている。パーソナルモビリティは、セグウェイや電動キックボードなどの1名乗りのモビリティで、歩行者に近いものが想定されている。シニアカー(※①)や電動車いすといったパーソナルモビリティはすでに認知され、歩行者と同じ扱いを受けているが、それ以外のパーソナルモビリティは現在のところは基本的には車両という扱いである。パーソナルモビリティのなかでももっとも普及しているのが電動キックボードだろう。電動キックボードは都市部を中心に利用者を見かけることが多くなった。電動キックボードは車両であり、出力よって原動機付自転車や普通自動二輪車に区分され、それぞれにあった免許が必要となる。一方で特例電動キックボードというものが存在する。特例キックボードは出力的には原動機付自転車と同一だが、車両区分は小型特殊自動車に位置づけられる。このためヘルメットは不要となるが、原付免許では運転できず、小型特殊自動車免許か普通免許、二輪免許などが必要だ。

補足情報

①シニアカー

シニアカーは高齢者が使用することを前提として作られたもの。スズキではセニアカーの名前で販売されている。一見するとパーソナル型の次世代モビリティに見えるが、じつはシニアカーは電動車いすという扱い。このため運転免許は不要で誰でも乗れる。また、道路交通法上は歩行者と見なされるので、歩道を走行することになり、車道の走行は禁止されている。最高速度は大人の早足程度の6km/hに規制されている。

超小型モビリティもすでに実用化が進んでいる。国土交通省によると超小型モビリティは「自動車よりコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動の足となる1人~2人乗り程度の車両」となっている。次世代モビリティという名前がついてはいるものの、超小型モビリティはかなり市民権を得ている乗り物でもある。その代表格と言えるのがトヨタ車体のコムス(※②)だ。コムスはコンビニエンスストアの配送などにも使われているので、見たことがある人も多いだろう。同じようなサイズのものとしてホンダのジャイロXやジャイロキャノピーがあるが、こちらはエンジンを動力源としているので次世代モビリティとは呼ばれることがない。しかし、ホンダは二輪車の電動化を推し進めると宣言している。すでに法人向けには電動モデルの販売を行っており、これらは次世代モビリティに含まれるといっていいだろう。

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②トヨタ車体のコムス

コムスはトヨタ車体と合併する前のアラコが開発し発売したエブリデーコムスを、合併後のトヨタ車体が引き継いたモデルがコムス。コムスはバッテリー式の小型EVで、現在のモデルは0.59kW/40Nmのモーターを搭載し、最高時速は60km/hを達成。車検、車庫証明、重量税、環境割税が不要なため、配達用のモビリティとして注目を浴びている。充電は家庭用の100V電源を使うため特別な設備は不要。免許は普通免許が必要となる。

多目的モビリティは東京オリンピック&パラリンピックの選手村で使用されたトヨタのeパレットが記憶に新しい。東京オリンピック&パラリンピックではオペレーターが同乗して運行されたeパレットだが、基本的には自動運転での走行が可能。選手村ではオペレーターが運行している際に接触事故を起こしているが、大事には至っていない。eパレットが選手村で運用されたように、多目的モビリティは最初は限られた地域のみで使われることになるだろう。運用する地域を限れば限るほど、地図などを正確にして自動運転化することが楽になるからだ。現実的なことを考えれば、自動運転は地域内運行で始まり、長距離は指定路線運転となっていくだろう。個人が好きな場所に自動運転で移動できるようになるには、まだまだ時間がかかりそうである。

 

 

 

■日本のFOMMという会社が作ったFOMM ONEというマイクロモビリティ。水陸両用ではないが、冠水時には水に浮くという構造で洪水発生時には緊急的に航行が可能

 

■従来は企業向けにのみ販売されていたトヨタの超小型モビリティC+podも一般ユーザー向けの市販がはじまった

 

■ホンダが将来の自動運転型次世代モビリティとして開発しているクルーズ・オリジン

 

参考情報 ここもチェック!

路面電車のように架線から給電を受けるバス

次世代モビリティというと最新のアイディアが盛りだくさんというように思うかも知れないが、かつてのシステムを見直すという考え方もある。電気自動車というと充電して走るイメージだが、かつてはトローリーバスといって電車のように架線から電気が供給されて走っていたバスが存在した。現在、欧州ではそうした架線給電方式でトラックを走らせようという計画もある。また、路面電車を復活させる都市も多いが、路面電車は軌道を敷く必要があるため、軌道が不要なトローリーバスの復活も考えられている。従来のトローリーバスは架線のある場所しか運行できなかったが、エンジンを積むハイブリッドにしたり、架線からの給電を受けながら搭載したバッテリーに充電することで架線のない場所も運行できるようにするなど柔軟な運行が可能だという。

■写真は愛媛県松山市の路面電車。路面電車はレールの上を走るものだが、EVのバスに電気を供給しながら走るのがトローリーバスと言われるもの。充電式EVは充電量がゼロになると走ることができないが、トローリーバスは停電にならない限り走り続けることができる。また架線からの受電が止まった際にはエンジンで走る、充電された電気で走るというような方式にすれば、運行地域すべてに架線設備を作らなくても運行可能という利点もある

■写真は愛媛県松山市の路面電車。路面電車はレールの上を走るものだが、EVのバスに電気を供給しながら走るのがトローリーバスと言われるもの。充電式EVは充電量がゼロになると走ることができないが、トローリーバスは停電にならない限り走り続けることができる。また架線からの受電が止まった際にはエンジンで走る、充電された電気で走るというような方式にすれば、運行地域すべてに架線設備を作らなくても運行可能という利点もある

クルマ豆知識

例題/トヨタとスバルが共同開発したスポーツカーのスバルでの車名は?
①RBZ ②ZBR ③BRZ ④IMP(正解=③)

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