ＣＡＦＥという規制が自動車業界に大きな影響を与えつつある。ＣＡＦＥとは、Corporate Average FuelEfficiencyの略語で、企業別平均燃費という意味。アメリカ連邦政府は、この平均燃費が一定の値以下であることを求めている。
簡単に言ってしまえば、自動車メーカーごとの平均燃費ということになる。対象となるのはその自動車メーカーが作ったすべてのクルマではなく、アメリカで使われる台数が対象。つまり、トヨタは２０１８年に世界で約９４０万台を販売したが、この約９４０万台の平均燃費を元に平均燃費が計算されるのではなく、アメリカで販売された約２５０万台が対象となる。
アメリカは極端な法律や規制を行うことが多いお国柄といえばお国柄。かつては禁酒法（※①）を施行、自動車関連では実行不可能と言われた排ガス規制法であるマスキー法（※②）もあった。

ＣＡＦＥは１９７８年からスタートし、時代に合わせて規制の強化を行ってきたが、１９９０年以降は自動車業界からの圧力もあり、規制を強めることを避けてきた。ＣＡＦＥをスタートしたときの大統領はジミー・カーターで民主党。１９９０年当時の大統領はジョージ・Ｈ・Ｗブッシュ（いわゆるパパブッシュ）で共和党である。
２０１９年では２０２５年までに1ガロン当たりの走行距離が約50マイル（21・1㎞／ℓ）以上という目標を掲げていた。しかし、トランプ政権は自動車業界の要望を受け入れる形で２０２０年をもとにして、基準値を毎年1.5％ずつ上昇させ、二酸化炭素排出量は毎年1.5％ずつ低減という基準に変更。２０２６年モデルでは、ガソリン1ガロン当たり40.4マイル（約17.2km/ℓ）、二酸化炭素排出量を1マイル当たり199グラムに緩めた。
２０２０年になると新型コロナウイルス騒動が発生、自動車業界を含め経済の停滞や税収減が起きるのは必至で、今後の動きには変化が現れる可能性もある。
2020年のアメリカ大統領選挙ではトランプが敗退、民主党のジョー・バイデンが大統領となった。環境問題に積極的なバイデン政権は就任直後にトランプ政権下に離脱していた、地球温暖化に関する国際条約の「パリ協定」への復帰を宣言するなど、環境問題への強い関心をアピールした。

アメリカ運輸省道路交通安全局(ＮＨＴＳＡ)は２０２３年７月に新たな燃費規制案を発表している。２０２７年から２０３２年モデルの乗用車および小型トラックについて新たなＣＡＦＥ値を含む規制案は、１ガロンあたり57.8マイルと定めた。リッターあたり燃費は企業平均で24.3km／ℓと、かなりハードルは高い。２０３２年以降、乗用車は一年ごとに約２％の燃費改善、ＣＯ2削減が求められる。

■もちろんEVも排出ガスゼロなので規制クリアには欠かせない。EV技術は各社が欲しい部分