ハイブリッド、PHV、バッテリーEVと電動モデルの増加が目立つ

2022〜2023年の注目の新車

他の自動車メーカーと同じように、トヨタも半導体不足やサプライヤーの部品供給不足に悩まされ、思うように販売を伸ばせなかった。そのため発表だけ済ませたものの納期は大幅に伸びている。人気車のなかには生産の目処が立たないため受注を休止した新車も少なくない。

高級車ブランドのレクサスも同様だ。2022年8月に発表したIS500の発売は年明けの2023年4月に先送りされた。2022年1月にデビューしたプレミアムSUVのLXと11月に登場した新型RXも徐々に納車が始まっている。レクサスは2035年までにバッテリーEVを中心に、電動化を積極的に推し進めると発表した。2023年の主役は、レクサスで初となるEV専用車のRZだ。プラットフォームはトヨタのbZ4Xと同じだが、専用ボディをまとい、パワフルなモーターを積んでいる。

また、2023年4月の上海モーターショーで超高級ミニバンのLMがベールを脱ぎ、夏にはプレミアムコンパクトSUVのLBXも先行公開された。LBXはレクサスのエントリーモデルだ。本格派クロスカントリー4WDのGXとTXも正式発表が間近に迫っている。2024年のレクサスの快進撃に注目したい。

トヨタブランドの主役は第5世代のプリウスだ。最新のファッションで登場し、ハイブリッドシステムも新世代に進化している。2ℓエンジンに2モーターの仕様が加わり、FF車とE-Four、そしてプラグインハイブリッドも選択可能だ。EV走行できる領域は大幅に広げられ、静粛性も高い。スポーツモデルではGRヤリスの兄貴分となるGRカローラが発売された。ミニバンの分野では2023年夏にアルファードと兄弟車のヴェルファイアがモデルチェンジ。快適装備と安全装備をさらに充実させ、走りのよさとキャビンの快適性にも磨きがかけられた。

 大胆なモデルチェンジで話題をまいたクラウンは、クロスオーバーに続いて「スポーツ」が仲間に加わる。また、ランドクルーザーの300系の下を受け持つ「250」と新生70シリーズも正式発売に向けて待機中だ。そして驚かされたのが、センチュリーの派生モデルの存在である。トヨタのフラッグシップであり、VIP専用車として愛されているセンチュリーにSUVテイストのショーファーカーが用意されていた。正式発売は2024年か!?

 


■レクサスNX

 

 


■トヨタ・ライズ

 

 


■トヨタC+pod

 

 


■トヨタ・ヴォクシー

 

 


■トヨタbZ4X

 

 


■トヨタ・クラウン

 

 


■トヨタ・シエンタ

 

 

 

ホンダも半導体不足に泣かされ、思うように生産台数を増やせなかった。発売を先延ばしていたクロスオーバーSUVのZR-Vも納車が始まっている。軽ハイトワゴンのベストセラーカー、N-BOXも満を持して2023年秋に3代目に生まれ変わった。キャビンは開放感あふれ、居心地がいい。シビックを復活させ、タイプRも加わったが、これ以外に伝統のセダンとミニバンが戻ってくる。1つは11代目のアコードだ。全方位安全支援システムの「ホンダセンシング360」など、最新技術を満載し、2024年に発売されることが発表された。搭載するのは、最新の2モーター式ハイブリッドのe:HEVだ。オデッセイも工場の閉鎖によって生産を終了していたが、中国生産に切り替えて再販売を行う。

 


■ホンダ・ステップワゴン

 

 


■ホンダ・シビック

 

 


■ホンダZR-V

 

 

 

日産は、2022年にフェアレディZやエクストレイル、そしてセレナと、相次いで人気モデルをモデルチェンジした。エクストレイルはシリーズハイブリッドのeパワーだけの設定で、日本初投入の直噴VC(可変圧縮比)ターボも話題になった。セレナはガソリンエンジンを積むFF車だけが先に発売され、2023年に4WD車とeパワー車を追加の形で発売している。

また、バッテリーEVのサクラを2022年5月に発表し、6月から販売を開始した。サクラはこの年の日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝いている。だが、スポーツカーのフェアレディZとバッテリーEVのアリアは、今なお思うように納車が進んでいない。スポーツモデルとしては、1000台だけの限定発売だが、スカイラインNISMOもファンから熱い視線を浴びていた。

 


■日産アリア

 

 


■日産フェアレディZ

 

 


■日産サクラ

 

 


■日産エクストレイル

 

 

 

スズキは2021年12月に同社の歴史ある軽自動車アルトをフルモデルチェンジ、9代目に移行した。2022年4月にはコンパクトSUVの元祖ともいえるエスクードにハイブリッドモデルを追加。8月にはミニバンのランディをフルモデルチェンジ、従来ランディは日産セレナのOEMモデルであったが、この新型からトヨタ・ノアのOEMに変わった。

世界各国で人気の高いコンパクトカーのスイフトも2023年秋にモデルチェンジを予定している。パワーユニットを電動化し、ハイブリッド車が主役だ。

 


■スズキ・アルト

 

 


■スズキ・エスクード

 

 


■スズキ・ランディ

 

 

 

三菱は2021年10月にアウトランダーをモデルチェンジ。3代目の日本仕様は、プラグインハイブリッドのPHEVだけと割り切っている。11月にはエクリプスクロスにもPHEVを設定している。2022年5月には日産とのアライアンス関係から誕生した軽バッテリーEVのeKクロスEVを発表し、発売に移した。また、2022年10月には一部の法人向けを除いて販売を終了していたミニキャブ・ミーブの一般ユーザーへの販売を再開している。

2023年5月にはアウトドア派の軽ハイトワゴン、デリカミニを発売する。デリカD:5のイメージを軽自動車に落とし込んだデリカミニは幅広い層のファンを獲得し、CMも人気となった。また、秋にはタイで生産している4WDピックアップトラックのトライトンの新型をお披露目。12年ぶりに日本市場に投入すると発表している。ちなみにヨーロッパ市場のBセグメントにはコンパクトカーの新型コルトを送り込む。これはルノークリオ(日本名ルーテシア)の兄弟車で、こちらもダイナミックシールドを採用した精悍なフロントマスクが特徴だ。

 


■三菱アウトランダー

 

 


■三菱エクリプスクロスPHEV

 

 


■三菱eKクロスEV

 

 

 

マツダは2022年4月にラージクラス商品群の第一弾としてCX-60の日本仕様を公開。9月から販売を開始している。注目の的となっているのは、新開発の直列6気筒ディーゼルエンジンだ。また、2.5ℓのガソリンエンジンは直列4気筒だが、マツダ初のPHEVも用意されている。屋台骨を支えているCX-5は2023年9月にマイナーチェンジを行い、商品性を向上させた。だが、最大の関心事は2021年に登場したMX-30にロータリーEVが加えられたことだ。航続距離に不安のあるEVの弱点を補うために、発電用のロータリーエンジンを組み合わせた。今までにないシリーズ式PHEVの誕生で、新しいファン層の獲得に期待がかかる。

 


■マツダCX-60

 

 

 

スバルは2021年10月に投入したレガシィアウトバックを2023年7月にマイナーチェンジ。アイサイトXにスバル車として初めて広角単眼カメラを組み合わせた。また、本革シート使用にはベンチレーション機能を追加している。そして9月にはレヴォーグに都会的なイメージのクロスオーバーSUVの「レイバック」を設定した。最低地上高を200㎜にアップし、街中から雪道まで安心して走ることができる。

XVは2022年12月にクロストレックと名前を変え、新境地を切り開いた。これに続いて2023年4月にはインプレッサもモデルチェンジを断行。上質な走りを手に入れている。ハブボルトのトラブルで納車が滞っていたバッテリーEVも登場から2年目を迎え、制御の見直しを図った。航続可能距離と電池残量が併記表示に改められたことも嬉しい進化である。

 


■スバル・アウトバック

 

 


■WRX S4

 

 


■スバル・ソルテラ

 

 


■スバル・クロストレック

 

 

 

トヨタとの絆を強めているダイハツは、2022年夏にムーヴキャンバスを投入し、クロスオーバーSUVのロッキーを新法規に対応させて送り出した。2023年にはアイドリングストップ非装着車を設定している。だが、4月に新車の認証手続きにおいて不正が発覚し、窮地に立たされた。東南アジア向けだけでなく国内で販売している2車種でも不正があったため、大きなニュースになっている。一時は出荷停止となり、秋に発表を予定していた新型車も先送りされ、さびしい年となった。

 


■ダイハツ・ロッキー

 

 


■ダイハツ・ムーヴキャンバス

 

 


■ダイハツ・タントファンクロス

 

 

 

クルマ豆知識

例題/2022年に世界でもっとも売れた車種は何?
①トヨタ・カローラ ②トヨタ・ハイエース ③フォードFシリーズ ④日産ノート(正解=①)

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