【WRC(世界ラリー選手権)①】市販車がベースのラリー世界選手権

『ここをチェック』
★世界各地で行われていたラリーを1937年にシリーズ化
★タイムを競う「SS」と、公道を移動する「リエゾン」がある
★車両のレギュレーションや名称は時代によって大きく異なる

市販車がベースのラリー世界選手権

世界各地で開催されていたラリーイベントを束ね、1973年にシリーズ化したのがWRC(World Rally Championship)。日本語表記での正式名称はFIA世界ラリー選手権で、市販車をベースとした車両で公道を走り、合計タイムを競い合うモータースポーツだ。
ほかのモータースポーツとの大きな違いは、一人のドライバーだけでなく二人一組で参戦すること。コ・ドライバー(※①)がペースノート(事前に調べたコーナーの大きさなどが書かれているもの)を読み上げ、ドライバーはその指示に従って走行する。

補足情報

①コ・ドライバー

ラリー競技はドライバーと補助するコ・ドライバー(ナビゲーター)の2人での参戦が義務付けられている。コ・ドライバーはレッキ(下見)でコースの情報をノートにまとめ、走行中にカーブのきつさ、直線の距離などの注意事項をドライバーに伝えるのが主な役目だ。

一大会は基本的に金曜日から日曜日の3日間(実際にはレッキと呼ばれる火曜日の下見から始まる)で開催され、1日はいくつかのセクションから成り立っている。
セクションには閉鎖した公道などで行なう「SS(スペシャルステージ)(※②)」と、一般車両も走行する普通の公道である「リエゾン」があり、前者はタイム争いをする場で、後者は開催国の法規に従い移動する区間。SSのスタートや、各セクションを終えるたびに戻ってくるサービスパーク(マシンの整備場)への入出庫はタイムコントロールにより細かく時間指定がなされており、早着でも遅着でもペナルティが課せられる。

補足情報

②SS(スペシャルステージ)

ハイスピードでマシンが駆け抜けることからラリー競技の花形になっているのが、SS(スペシャルステージ)と呼ばれるタイムトライアルの区間だ。1つのSS距離は数km~数十kmとさまざまだが、いずれの場合も主催者により封鎖され、一般車が紛れ込まないようになっている

こういったペナルティを課せられないように走り、SSのタイムで順位を決めるのがWRCで、順位に応じて与えられたポイントの合計で年間チャンピオンが決定する。
WRCには複数のクラスがあり、現在のところその頂点はラリー1という規定の車両を利用するWRC。以下、WRC2、WRC3、JWRCが存在するが、参戦車両それぞれのレギュレーションや名称は、時代によって大きく異なっている。

 

 

■レースと異なり、二人1組で一台のマシンに乗車し、1台ずつ走行してタイムを競う

参考情報 ここもチェック!

2022年よりハイブリッド化を義務化するなどサステイナブルに

2021年までのトップカテゴリーのマシンはWRカーであったが、2022年からは新規定となるラリー1というマシンに変更された。ラリー1の最大の特徴はパワーユニットが純粋なエンジンからハイブリッドシステムに変わったことにある。エンジンについては2021年まで使われていたものが使用できるが、そこにFIAが指定するハイブリッドユニットを組み合わせることになったのだ。トヨタガズーレーシングによれば、エンジンと合わせて最大出力で500馬力以上、最大トルクで500Nm以上のアウトプットとなるという。また、使用する燃料も従来の化石燃料から、合成燃料とバイオ燃料が混合された非化石燃料となり、モータースポーツを継続可能なものとする取り組みが行われている。

シャシーはパイプフレーム方式に変更、カナードなど一部エアロパーツはコスト削減のために使用禁止となった。駆動方式は従来どおりの4WDだが、アクティブセンターデフの禁止、パドルシフトも禁止されレバー操作の5速MTとなっている。

■カナードが廃止されフェンダーがエアロ形状となっている2022年モデルのGRヤリス・ラリー・ハイブリッド。リヤサイドには新たにエアインテークが追加されていることから、ハイブリッド化によって発熱量が増えていることが予想される。

■カナードが廃止されフェンダーがエアロ形状となっている2022年モデルのGRヤリス・ラリー・ハイブリッド。リヤサイドには新たにエアインテークが追加されていることから、ハイブリッド化によって発熱量が増えていることが予想される。

クルマ豆知識

例題/ル・マン、モナコGP、インディ500のすべてで優勝した初めてのドライバーは?
①デーモン・ヒル ②グラハム・ヒル ③ジャッキー・イクス ④フィル・フィル(正解=②)

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