【WRC(世界ラリー選手権)②】グループA時代の名勝負、名マシンは?・近年のWRCはどうなってるの?

グループA時代の名勝負、名マシンは?

WRCにおけるトップクラス車両は1970年代からグループ2/4→グループB→グループA→WRカーと変遷し、現在のS2000WRCへと進化している。
なかでも名車や名勝負が多かったのがグループA時代で、ランチアやトヨタ、スバルを中心に熱い争いが繰り広げられた。
グループA時代、勝利のためには2ℓターボ+4WDが必要とされ、いち早く対応して登場したのが、名車の誉れ高いランチア・デルタHFインテグラーレだ。グループA開始からドライバーズタイトルを3連覇、マニュファクチャラーズ(メーカー/ワークス)チャンピオンシップ6連覇を成し遂げ、ランチア・デルタHFは「最強」の名をほしいままにした。
「ストップ・ザ・ランチア!」を達成したトヨタ(チーム・トヨタ・ヨーロッパ)のセリカGTFOURや、’90年代中盤のWRCを制したスバル・インプレッサWRXのグループAカーもまた、評価の高いマシンだ。
サーキットレースなどと違って1台ずつ走るためわかりづらいが、1993年のスウェディッシュラリーで、スバルのコリン・マクレーが1位のトヨタとのタイム差を急激に詰めていったのは、WRC史上に残る名勝負といわれている。


ランチア・デルタHF4WDは年々進化を果たし、ドライバーズ3連覇、マニュファクチャラーズ6連覇を達成した


スバル・インプレッサWRXはグループA時代のラスト2年、1995~1996年を連覇した


スバルの黎明期を支えたコリン・マクレーは、ライバルを追い詰める快走を見せた


三菱ランサーエボリューションもI~VIまではグループA車両。ドライバーズ4連覇を果たした


セリカGT-FOURは日本のメーカーとしては初のマニュファクチャラーズタイトルを獲得

近年のWRCはどうなってるの?

2010年までは改造範囲が広い「WRカー」がトップクラス車両だったが、コストダウンを目的に2011年以降はFIAの定めるS2000車両に準拠しつつ、エンジンを排気量1・6ℓのターボとした「S2000WRC」に変更(通称はWRカーのまま)された。
2017年にWRCに復帰したトヨタは、翌2018年にはワールドチャンピオンの座に返り咲いたが、2019年はわずか8ポイント差で、ヒュンダイにチャンピオンの座を明け渡してしまう。
2020年のWRCはシトロエンが抜け、トヨタ(ヤリス)、ヒュンダイ(i20)、がワークスとして参戦。Mスポーツ・ワールドラリーチーム(フォード・フィエスタWRC)がプライベーターとしてマニュファクチャラーズタイトル争いをする。
トヨタのチーム代表を務めるのは、かの名ドライバー、トミ・マキネン。2018年、2019年は3台体勢で、ドライバーは5号車がクリス・ミーク、8号車がオット・タナク、10号車がヤリ=マティ・ラトバラ。
2020年も3台体制だがドライバーは一新され、17号車がセバスチャン・オジェ、33号車がエルフィン・エバンス、69号車がカッレ・ロバンペラとなった。
2020年のスケジュールは当初14戦の予定であったが、新型コロナウイルスの世界的まん延や開催国の国内情勢の悪化などにより編集時点で全8戦開催の予定となっている。そのうち最終戦となるのが、日本の愛知県・岐阜県で開催される「ラリージャパン」。2010年の北海道開催からじつに10年ぶりとなるWRCの日本開催に大きな注目が集まっていたが、8月19日に中止を発表。ラリージャパン実行委員会は内定している2011年の開催に向けての準備に入る。


シトロエンはS2000WRCの始まった2011年から、2年連続で両タイトルを獲得した


日本からは撤退してしまったヒュンダイだが、世界ではモータースポーツにも積極的


GAZOOレーシング共通のカラーリングのトヨタ・ヤリス。かつては日本ではヴィッツのネーミングだったが、新型より日本でも車名をヤリスに変更し、世界統一名称となった

参考情報 ここもチェック!

ラリーと似てそして異なるラリーレイド

ラリーと似たレギュレーションで行われながらも、その距離や規模が大きく異なるのがラリーレイドと言われる競技。ラリーレイドのなかでもっとも有名とも言えるのがパリ・ダカールラリー(現ダカールラリー)だ。
パリ・ダカールラリーに代表されるようにラリーレイドは1日で何100㎞も移動することが当たり前のようにある。スタートからゴールが大きく離れていて、国境を何度も通過しながらゴールを目指すことも多い。またアドベンチャー的な要素も多く、川を渡ったり、砂丘を越えたりというセクションもある。このように距離をかせぐのがラリーレイドの特徴だが、もちろん速さを競うスペシャルステージも設定されていて、マシンには総合的な性能が求められている。

パリダカと言えば、なんといっても三菱のパジェロが有名。2009年にパリダカからの撤退を表明したが、今も復活を待ち望むファンも数多くいる


クルマ豆知識
例題/スバルはボーイング787のどこの部分を作っている?
①中部胴体 ②垂直尾翼 ③中央翼 ④主翼(正解=③)


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