【2000年代の自動車①】20世紀が求める厳しい環境問題への対応
『ここをチェック』
★何よりも燃費性能の向上が目標とされた
★エンジンのない電気自動車の実用化が進む
★ハイブリッドの対抗馬はクリーンディーゼル
20世紀が求める厳しい環境問題への対応
2000年を過ぎると、自動車はますます環境対策を求められるようになる。’90年代から徐々に出回ってきた直噴エンジンが主流になり、フォルクスワーゲンやアウディ、アルファロメオが積極的に採用(※①)した。
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①アルファロメオが積極的に採用
スタイリングや走りのよさばかりクローズアップされるイタリア車だが、環境対策にも積極的。アルファロメオは2002年にJTSと呼ばれる直噴エンジンを人気モデル156に搭載し、燃費性能の向上を図っている。ちなみに、JTSエンジンは三菱のGDIを元に開発されたものだ。
また、’90年代後半にボッシュが乗用車用のコモンレールシステム(ディーゼルエンジンに使う燃料噴射システム)を開発すると、そのクリーンさと静粛性がかつてのディーゼルエンジンのイメージをくつがえし、シェアを拡大。2006年の段階で、西ヨーロッパでは新車販売の2台に1台がディーゼル搭載車というまでになった。
直噴方式が浸透すると、次はエンジンのダウンサイジングが主流になる。もちろん排気量を下げるとパワーは落ちるので、ターボチャージャーやスーパーチャージャー、あるいはその両方といった過給器が、ダウンサイズされたエンジンに装着されるケースがほとんどだ。
トランスミッションも大きく進化した。効率に優れるクラッチペダルレスMT(※②)が増加し、かつてはほとんど採用車のなかったCVTも、コンパクトカーを中心に搭載されることが増えた。
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②クラッチペダルレスMT
クラッチ操作を自動化しているためAT同様にクラッチペダルのないMT。多くはオートモードが備わり、ATのように自分でシフトチェンジすることなく運転できる。セミATと表記されることもある。構造的にはMTがベース。VWのDSGとBMWのDCTが代表的な例だ。
トヨタ・プリウスに始まった次世代自動車は、ハイブリッド車が続々と発売されただけでなく、エンジンを搭載しない純粋な電気自動車も登場した。ちなみに2000年代にはすでに中国では(※③)コンセントに繋いで充電できるプラグインハイブリッドが市販されている。
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③成長著しい中国
1990年以降の中国経済の発展に伴い、自動車産業も急成長を遂げている。2000年には200万台だった生産台数も年を追うごとに増え、2009年には1000万台を突破している。
安全性については、レーダーやカメラを利用して衝突を未然に防ぐ機能などが登場し、ハイテク化が進行。危険を察知して自動で減速したりと、21世紀らしい乗り物に進化していった。
VWはいち早く直噴、ダウンサイジングを採用したメーカー。2ℓクラスだったゴルフも1.4ℓが主流に
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ハリウッドスターはハイブリッドがお好き?
ハイブリッド車を購入しているのは、何も燃料代にシビアな庶民だけではない。エコロジーに敏感な世界のセレブたちもまた、愛車にトヨタ・プリウスを積極的に選んでいるのだ。
テレビCMに出演していたレオナルド・ディカプリオは当然として、ダスティン・ホフマンやキャメロン・ディアス、ジュリア・ロバーツ、オーランド・ブルームなどそうそうたるハリウッドスターの面々がプリウスを愛用した。日本でもKAT-TUNの亀梨和也や元大関の琴光喜、俳優の要潤などが写真週刊誌にプリウスとともにパシャリ。もちろん元環境大臣で東京都知事の小池百合子議員の愛車もプリウスだ。
なお、著名人たちの愛車情報は2000年代のもので、現在も乗っているかは不明だ。
日本のパーツメーカー/「小糸製作所」 ヘッドライトユニット、リアコンビランプなどのクルマの灯火類に関するパーツを幅広く生産。LEDヘッドライトを世界で初めて実用化したメーカーでもある