【FCA①】数々のブランドを擁するイタリア最大の企業
『ここをチェック』
★多数のメーカーを傘下に収める一大グループ企業
★クライスラーも含んだ一大グループに再編
★自動車以外の事業も多数経営
数々のブランドを擁するイタリア最大の企業
かつてフィアットS.p.A.(※①)としてイタリア最大であった企業はアメリカのクライスラー社を買収、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の一部門となっている。
補足情報
①S.p.A.
フィアットS.p.A.の「S.p.A.」とは、日本語でいう株式会社のこと。Societa’ per Azioniの頭文字だ。ちなみにイタリア語で有限会社は、Societa’ a responsabilita’ limitataで、略号「S.r.l.」となる。さらにちなみにいえば、ドイツの企業のAGというのも株式会社のことだ。
現在、FCAが扱うブランドはフィアット、アバルト、ランチア、アルファロメオ、クライスラー、ジープと多彩だ。またマセラティやフェラーリ、イヴェコなどはフィアットのグループに属するので、その企業規模の大きさは推して知るべしだ。
フィアットは1899年の設立から工業先進国のドイツやイギリスに追いつけ追い越せの精神で順調に成長してきたものの、’70年代のオイルショックと慢性的な労働争議により、経営が不安定に。新型車すら投入できない状況が続き、リビアのカダフィ大佐からの融資を受けることとなった。しかしその後、パンダとウーノという小型車の成功により持ち直し、’90年代のプントとブラビッシモの大成功で完全復活を果たしている。
一方クライスラーが設立されたのは1925年。GM出身のウォルター・クライスラーがビュイック社長を辞任し、マックスウェル社とチャーマーズ社を統合する形で誕生している。1928年にプリムスとデソートという二つのブランドを興すと、翌年にはダッジを買収。ラインアップを拡充し、勢力を強めていった。
GM、フォードに遅れて自動車製造ビジネスに参入したクライスラーは、両社に対抗する必要から「先進性が強いクルマ作り」を意識しているのが特徴。
オイルショックによりクライスラーは大ダメージを受け経営危機の窮地に陥ったが、1978年に新社長として迎え入れたリー・アイアコッカの手腕により奇跡的に回復。1987年にはAMCを買収するほどに。
再びの経営悪化により1998年、ダイムラーベンツと合併(※②)することになるが、2007年に解消。ちょうど世界金融危機発生の時期ということもあり、2009年には事実上の倒産に。同年に連邦倒産法により再生され、前述のようにFCAに再編されている。現在日本では、クライスラーブランドの新車販売は停止している。
補足情報
②ダイムラー・ベンツと合併
1998年にダイムラー・ベンツ社と合併してダイムラークライスラーAGに。対等合併ではあったが、事実上ダイムラーによる買収であった。しかし合併後、双方とも好業績をあげたのは初年度だけで、以後はどちらかが不振に。そして2007年5月、ダイムラーはクライスラーを手放した。
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農業機械から新聞まで全部フィアット?
イタリアのフィアットは、じつは自動車メーカー以外も傘下に収める巨大企業グループ。マニエッティ・マレリのような自動車部品メーカーはもちろん、農業・建設用の機械メーカーや、船舶用エンジンを製造するメーカーなどもグループ内に存在する。
それどころか製造業とは関係のない新聞や金融業までもあるのだから、その規模の大きさを想像することができるだろう。
トヨタも住宅やマリン、バイオ、ケミカルなど自動車以外の事業を手がけるように、企業体が大きくなると本業以外の業種にも業態を広げることも多くなってくるのが常なのだろう。
かつては家電や鉄道、航空機も手がけていたフィアット。1969年には宇宙関連分野も扱う国有会社となった。
①フォレスター ②CX- 5 ③エクストレイル ④RAV4(正解=①)