【正しいドライビングスタイル】普段使いからサーキットまで
『ここをチェック』
★シートは深く腰掛ける
★ステアリングは1回で180度切る
★四感を研ぎ澄ます
まずはシートにきちんと座る
クルマの運転の基本はなんといっても正しいドライビングポジション。いい加減な姿勢でシートに座っているのは危険だ。シートにはお尻をねじ込むようにして深く座るようにしたい。シートと身体が密着していないと、強いブレーキを踏んだときに身体のほうが下がってしまい、ブレーキを踏み込むことができない。
身体をしっかりとシートに密着させたら、シートの前後スライドを調整する。シート前後スライドはブレーキを踏み込んだときにヒザが110〜120度曲がっているようにする。決してヒザが伸びきるようにしてはならない。ヒザが伸びきる状態はブレーキを最後まで踏み込めないからだ。前後調整ができたら、次はリクライニングを使ってステアリングとの距離を調整する。ステアリングの一番上側を持ってヒジが十分に曲がっていることが大切。このときに身体を前に出しては意味がない。背中をピッタリとシートに密着した状態でリクライニングを調整する。ステアリングにテレスコピック機構がある場合は、テレスコピックを使ってステアリングを身体に近づけることもできる。チルトステアリングは、ステアリング操作時に手が股に当たらない位置に調整する。ヘッドレストの高さが調整できる場合は、振り向いたときにヘッドレストの中心が目の高さにあれば大丈夫だ。
ステアリングは9時15分で持って一度に180度切る
ステアリングの切り方にはさまざまな意見があるが、おすすめは左手を9時の位置、右手を3時の位置でもつこと。このポジションが直進状態となる。ステアリングは180度ずつ切っていく。左に切るときは右手が9時の位置まで移動するように切る。右手が9時の位置に来たら左手で3時の位置を握る。つまり9時と3時の位置しか握らない。240度切る場合は180度+60度という切り方となる。60度+180度でも100度+140度でもない。最初に180度を切ることでどれくらい切っているかを理解しやすく、また戻すときも正確に戻せるからだ。
わたしは10時10分に持ちたい、送りハンドルで運転したい……という人もいるだろうから、ここではあえてそうした運転方法を否定することはしない。しかし、絶対にやってはならないのが、内掛けハンドル(逆手ハンドル)だ。内掛けハンドルが危険なのは、現代のクルマにエアバッグが装着されているから。外側からステアリングを持っている場合はエアバッグが展開しても手の指の関節はステアリングから外れるように動くが、内掛けハンドルの場合はエアバッグが展開したときに引っ掛かる方向となる。エアバッグは100〜300km/hで展開するので、運が悪いと骨折をしたり、関節からちぎれたりする可能性がある。ステアリングはあくまでも外側から操作するように設計されているということを忘れないようにしたい。
9時15分にステアリングを持って、持ち替えていくことでスムーズにステアリングを切っていける
五感のうち運転に関係ないのは味覚だけ
人間には、視覚、触覚、聴覚、嗅覚、味覚という五感が備わっている。このうち、運転に関係しないのは味覚だけ。視覚が運転に関係あるのは明確だと思うので、説明は省く。触覚というのは身体に伝わってくる力を感じる感覚だ。ステアリングを持っている手に感じるグリップ感などは触覚になる。ここまではなんとなく運転に関係があるということがわかるだろうが、では聴覚はどのように使うのだろう。たとえば、100km/hで巡航している際、その速度を感じているのは、流れる風景だけでなくノイズの周波数なども関係している。そして嗅覚はクルマの不具合などを感じるのに役立つ。ブレーキパッドやクラッチが焼けたときに発生する異臭により、クルマの限界を感じるというわけだ。
また五感以外にも固有受容覚といって筋肉の動きの差や力加減などを感じる感覚と、前庭覚という重力や加速度を感じる感覚も運転にとってはかなり重要な役目を持っている。
安全にクルマを運転するには、こうした感覚をつねに研ぎ澄まし、そしてフル稼働させて運転することにほかならなず、一般道でもサーキットでもその心構えは変わらない。
絶版名車列伝/「日産サニー」(1966~2004年)トヨタのカローラと並んで、高度成長期に登場した日本を代表する大衆車。TSレースなどで活躍したこともあり、若者からも支持されるブランドであった