【自動車ディーラー】じつは気軽にいける場所

『ここをチェック』
★メーカー、インポーター、ディーラーは違う
★メーカーショールームではクルマは買えない
★発表会や商談会を積極的に利用したい

メーカー、インポーター、ディーラーそれぞれの違い

クルマに詳しくない人は、メーカー、インポーター、ディーラーの違いがよくわかっていないことが多いので、説明しておく。メーカーは自動車を製造している企業で、トヨタ自動車や日産自動車などがそれにあたる。インポーターというのは海外からクルマを輸入している会社で商社機能をもつ企業。メルセデス・ベンツ日本やゼネラルモーターズ・ジャパンなどがそれにあたる。ホンダのNSXなどはホンダオブアメリカマニュファクチュアリング・インコーポレーテッドが製造したクルマをホンダがインポーターとして輸入するという形式となる。ディーラーというのはメーカーやインポーターと特約店契約を結んだ販売店のことで、トヨタモビリティ東京(※①)や日産プリンス東京などがそれにあたる。通常、新車はディーラーで購入することになるが、ディーラー以外の販売店や農協などでも購入できることもある。軽自動車などは街の修理工場などが販売を行ってることも多く、修理工場にスズキやダイハツのブランド看板や車名看板を見かけることも多い。こうした形態を販売協力店や副代理店などと呼ぶ。
個人ユーザーがメーカーで新車を購入することは、基本的にはできない。メーカーが新車を販売するのはディーラーなどで、個人ユーザーはディーラーからクルマを購入することになる。輸入車についても基本は同じだ。だが、一部、販売台数の少ないクルマは、インポーター機能とディーラー機能の両方を備えていることがある。神奈川県横浜市にある日産グローバル本社のショールームや東京の臨海副都心エリアでトヨタが2021年12月まで展開していたメガウェブなどのメーカー系ショールームでは、発売されたばかりの新車を見たり、商品説明を受けることが可能だ。だが、商談を行うことはできない。ただし、東京の恵比寿にあるスバルのショールームは、東京スバルというディーラーのショールームも兼ねている。だから商談を行うことが可能だ。商談できないショールームの場合は、最寄りのディーラーを紹介してくれるはずである。

 


■トレッサ横浜はトヨタが首都圏で初めてオープンさせたオートモール複合施設だ。ショッピングモールの2階にトヨタ全車とダイハツ車を扱っているディーラーが店舗を構えるほか、1階にサービス工場も併設する

補足情報

①トヨタモビリティ東京

かつての自動車ディーラーは同じ地域でも数社が存在し、それぞれに受け持ち車種が決まっていた。日産などは現在でも同地域に別経営のディーラーが存在するが、扱い車種は全ディーラー全車種となっている。トヨタは2019年からディーラー再編を実施していて、現在は全ディーラーで全車種購入が可能。そして各都道府県にそれぞれ1社のディーラーとすることで整備を進めている。トヨタモビリティ東京はその第1号である。

自動車ディーラーへの第一歩

自動車ディーラーへ足を踏み入れたことのない人にとっては、はじめの一歩はなかなか勇気のいるものかもしれない。自動車ディーラーは、扱う商品がクルマなので比較的ショールームなども広々としている。携帯ショップやアパレルショップなどとは比較にならない大きさだ。で、ありながら意外なほどにお客さんが入っているのを見たことがない。店舗の床面積あたりの来客数はかなり少ないはずだ。そうなると、やはり入りづらいものだ。
人がいない店舗に入ると、自分が注目されそうでどうもいやだという人は多いだろう。そういう人はまずは平日ではなく休日のディーラーに訪れてみることをおすすめする。休日は家族連れなどそれなりに来客数も多く、あまり目立たないかもしれない。さらにねらい目となるのが、新型車発表展示会や年末年始などに行われる大商談会などのイベント(※②)。こうしたイベントのときは、さまざまな特典をつけて来店数を増やそうとする。逆に言ってしまえば、こうしたイベントのときはちょっと長めの話などは難しいということになる。
しっかりと試乗して、なおかつクルマについての質問や、購入の相談などを行いたいなら事前に来店予約をしてから行くのがいい。ディーラーに行くのに予約は不要なのだが、予約をしたほうがなにかとスムーズだ。ディーラーに電話をして予約してもいいし、試乗予約という形でインターネット予約しておくのもいいだろう。
もうひとつおすすめなのが「紹介」だ。たとえば、トヨタのクルマに乗っている知人に付き合いのあるディーラーを紹介してもらい、そこのディーラーに紹介された者として来訪する。もちろん、紹介してくれた人に恥をかかせるようなことはできないが、誰も知らないよりは“○○さんのお知り合い”というほうがなにかといいだろう。

ディーラー訪問の楽しみのひとつが、カタログをもらうことであったが、トヨタは2023年3月をめどに紙カタログの廃止を決めた。トヨタが紙カタログを廃止したことは、ほかのメーカーにも波及する可能性は大。クルマ好きにとっては悲しい出来事だが、今後の自動車の販売方法や資源の節約を考えると当然の動きといえるだろう。

 


■ディーラーは気軽に訪れていい施設。気になるクルマがあったら、寄ってみるといい

補足情報

②イベント

週末などに開催されるディーラーのイベントにはさまざまなものがある。くじ引きで商品が当たったり、福袋などを配ることも多い。また、子ども連れにとって楽しいイベントを企画していることも多いから、訪れて損はないだろう。

クルマ豆知識

名レーサー人物録/「関谷正徳」1949年、静岡県出身。長年トヨタ系ワークスドライバーとして活躍し、’94年と’98年にJTCCチャンピオン獲得、’95年ル・マン24時間レースで優勝。引退後はトムスの監督を務める

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