【メルセデス・ベンツ①】創業時から連綿と受け継がれる安全意識

『ここをチェック』
★カール・ベンツのベンツ社とゴットリープ・ダイムラーらのダイムラー社が合併して1926年に誕生
★一時クライスラー社を合併したが、現在は手放している

創業時から連綿と受け継がれる安全意識

メルセデス・ベンツは乗用車やトラックを生産するダイムラー社のブランド。カール・ベンツ(※①)が創立したベンツ社と、ゴットリープ・ダイムラー(※②)らが設立したダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフトが1926年に合併して誕生したのがダイムラー・ベンツであり、合併後に販売されたクルマにはメルセデス・ベンツのブランド名が冠されている。
合併直後はベンツ社のクルマを販売していたが、すぐにポルシェが設計したニューモデルを投入。その後は高級車とスポーツカーを中心に生産を続けたが、第二次世界大戦の敗戦により規模の縮小を余儀なくされた。

補足情報

①カール・ベンツ

1844年ドイツ生まれのエンジン設計者、自動車技術者。15歳でカールスルーエ大学機械工学科に入学し、19歳で卒業。1886年、世界初の実用的なガソリン動力の自動車を発明。同時代のドイツ人、ゴットリープ・ダイムラーも同様の発明をしていたが、ベンツのほうが先に特許を取得した。

補足情報

②ゴットリープ・ダイムラー

1834年ドイツ生まれの自動車技術者。1885年、二輪車に取り付けたガソリンエンジンの特許を取得。翌年には駅馬車とボートにそのエンジンが取り付けられた。1890年にダイムラー自動車社を設立。1900年に死去し、その後1926年、ダイムラー社とカール・ベンツのベンツ社は合併した。

戦後、4気筒の170シリーズで乗用車の生産を再開したダイムラー・ベンツは、1951年にやっと得意の6気筒モデル(220/300シリーズ)を復活。このモデルの登場により高品質なクルマ、すなわち高級車を作るメーカーとしての地位を確立したのだった。
現代まで続く同社の安全への意識の高さは、ダイムラー・ベンツとしての創業時から連綿と受け継がれているものだ。1939年に社内に専用の施設を設けると、安全対策の研究を進め、1953年に登場した180シリーズには早くも衝撃吸収ボディが採用されている。
メルセデス・ベンツ車は品質のよさと安全性の高さから絶大な支持を受け、そして企業として順調に成長を続けたダイムラー・ベンツは、1998年にアメリカのクライスラーを合併して「ダイムラー・クライスラー」に。しかし、2007年には販売不振にあえいでいたクライスラーを手放し、現在の「ダイムラー」となった。

 

テストコースで走行中のW116型Sクラス。ABSの作動が目視で確認できた時代の写真だ

参考情報 ここもチェック!

往年のメルセデスは「最善か、無か」

ゴットリープ・ダイムラーが自らの自動車作りの姿勢を「最善か、無か」と表現したというが、メルセデス・ベンツのクルマは理想を探求し、最高品質へのこだわりを持って作られている。
オーバークオリティと言われることもあるほどで、W126型SクラスやW124型Eクラスなどは今では考えられないぐらいの手間とコストをかけて作られていた。
高品質を維持できた理由のひとつに、工場の労働環境がある。待遇がよいだけでなく労使間の信頼関係があり、誇りを持って働くことができるため必然的に品質が高くなったという。また、技術力要請に熱心な訓練学校の存在も品質向上の一因。そこでは可能な限り優れた物を作る精神が育まれている。

「最善か、無か」を地でいっていた時代のメルセデス・ベンツが品質を維持できた理由の一つは、労使関係が良好であったこと。写真は1952年から1965年まで製造された220SEbの、デザイン室での光景

「最善か、無か」を地でいっていた時代のメルセデス・ベンツが品質を維持できた理由の一つは、労使関係が良好であったこと。写真は1952年から1965年まで製造された220SEbの、デザイン室での光景

クルマ豆知識

例題/シトロエンのエンブレム「ダブルシェブロン」は何に由来するか?
①やじり ②歯車 ③チェーン ④犬歯(正解=②)

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