【企業対象の燃費規制が世界を動かす①】CAFEという名の規制が世界を動かす
『ここをチェック』
★販売台数が多いと規制対象となる
★中国はNEVと呼ばれるクルマを増やしたい
★世界的に燃費規制が厳しくなっている
CAFEという名の規制が世界を動かす
CAFEという規制が自動車業界に大きな影響を与えつつある。CAFEとは、Corporate Average FuelEfficiencyの略語で、企業別平均燃費という意味。アメリカ連邦政府は、この平均燃費が一定の値以下であることを求めている。
簡単に言ってしまえば、自動車メーカーごとの平均燃費ということになる。対象となるのはその自動車メーカーが作ったすべてのクルマではなく、アメリカで使われる台数が対象。つまり、トヨタは2018年に世界で約940万台を販売したが、この約940万台の平均燃費を元に平均燃費が計算されるのではなく、アメリカで販売された約250万台が対象となる。
アメリカは極端な法律や規制を行うことが多いお国柄といえばお国柄。かつては禁酒法(※①)を施行、自動車関連では実行不可能と言われた排ガス規制法であるマスキー法(※②)もあった。
補足情報
①禁酒法
1920年から1933年にアメリカで施行されたアルコール類の製造、運搬、販売、飲酒を禁止した法律。のちに稀代の悪法とまで言われた。禁酒法時代は闇酒場が増えたことで、ギャングが横行。メチルアルコールによる健康被害も多かった。燃料用のアルコールも規制対象となってしまったため、結果として石油メジャーの躍進を加速することになり、アメリカで石油メジャーが力を付けるきっかけにもなった。
補足情報
②マスキー法
アメリカの上院議員、エドムンド・マスキーが1970年に提出した大気浄化法改正法の通称。一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物を5~6年で10分の1まで削減しないと販売を許さないという非常に厳しい法律であった。このため、多くの自動車メーカーが実現不可能と突き放したがホンダはCVCCエンジンを開発。世界に先がけてクリアした。
CAFEは1978年からスタートし、時代に合わせて規制の強化を行ってきたが、1990年以降は自動車業界からの圧力もあり、規制を強めることを避けてきた。CAFEをスタートしたときの大統領はジミー・カーターで民主党。1990年当時の大統領はジョージ・H・Wブッシュ(いわゆるパパブッシュ)で共和党である。
2019年では2025年までに1ガロン当たりの走行距離が約50マイル(21・1㎞/ℓ)以上という目標を掲げていた。しかし、トランプ政権は自動車業界の要望を受け入れる形で2020年をもとにして、基準値を毎年1.5%ずつ上昇させ、二酸化炭素排出量は毎年1.5%ずつ低減という基準に変更。2026年モデルでは、ガソリン1ガロン当たり40.4マイル(約17.2km/ℓ)、二酸化炭素排出量を1マイル当たり199グラムに緩めた。
2020年になると新型コロナウイルス騒動が発生、自動車業界を含め経済の停滞や税収減が起きるのは必至で、今後の動きには変化が現れる可能性もある。
2020年のアメリカ大統領選挙ではトランプが敗退、民主党のジョー・バイデンが大統領となった。環境問題に積極的なバイデン政権は就任直後にトランプ政権下に離脱していた、地球温暖化に関する国際条約の「パリ協定」への復帰を宣言するなど、環境問題への強い関心をアピールした。
もちろんEVも排出ガスゼロなので規制クリアには欠かせない。EV技術は各社が欲しい部分
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排ガスゼロを目指すZEV規制
Zero Emission Vehicleの略であるZEVは、排ガスを一切排出しないクルマのことだ。しかし、ZEV規制と言ったときにはちょっと違う。カリフォルニア州のZEV規制の場合はZEVとそれに準じるPHVなども含まれる。2017年まではハイブリッド車も含まれていたが、現在はハイブリッドが排除され、より厳しいものとなっている。
もともとカリフォルニア州は大気汚染に厳しい風潮があるのだが、最終的には本当に排ガスゼロを目指してると言われる。
連邦政府のCAFE規制に納得のいかないカリフォルニア州は、2019年11月に、連邦政府のCAFE規制を支持するGM、FCA、トヨタなどからは公用車を購入しないという声明を発表。溝が深まっている。
例題/トヨタ・カローラは2021年8月に初代から55年で何台の販売台数を記録したか?
① 4000万台 ②5000万台 ③6000万台 ④1億台(正解=②)
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