【1970年代の自動車②】この時代を代表する海外のモデルは?・この時代を代表する日本のモデルは?
この時代を代表する海外のモデルは?
4WDといえばジープ風のモデルばかりだった時代に「オフロードのロールスロイス」と讃えられるクルマが登場したのは1970年のこと。その名はランドローバー・レンジローバー。非常にヘビーデューティな使用に耐えられるだけでなく、高級車さながらの快適性をも持ちあわせた、まさに新しいジャンルのクルマだった。
1974年に発売されたフォルクスワーゲン・ゴルフは、タイプ1(ビートル)の後継として開発されたモデル。イタリアのジョルジエット・ジウジアーロがデザインを担当し、ボディサイズが小さくても大人5人が快適に乗れるよう、まずは室内スペースから設計されている。経済性と実用性が重視され始めた世界的な潮流もあり、このコンパクトなFFハッチバックは大成功を収めた。
スポーツカーメーカーであるポルシェのフラッグシップとして1977年に登場したFRクーペ928もまた、エポックメイキングな1台だった。V型8気筒エンジンをフロントに搭載するこのグランドツアラーは、後輪の「バイザッハアクスル」と呼ばれる凝ったサスペンション機構を採用し、のちに一世を風靡する4WSやマルチリンク式サスペンションの思想に多大な影響を与えた。
大ヒット作タイプ1の後継というプレッシャーをはねのけ、見事に大成功を収めたフォルクスワーゲン・ゴルフ
BMW02シリーズの後を受け、1975年に登場した初代3シリーズ。優れたハンドリングが魅力
V8エンジンを搭載する高級オフローダーのレンジローバー。現在のプレミアムSUVの走りだ
ポルシェ928は911の後継として開発されたGTカー。水冷V8でFRレイアウトを採用する
308はスモールフェラーリの始祖となるV8搭載のミッドシップ。初期のボディはFRP製
この時代を代表する日本のモデルは?
日本のホンダが世界戦略を狙って1972年に登場させたのが、小型FF2ボックスの初代シビック。きわめて実用的でデビュー直後から高い支持を得たクルマだが、さらに人気に火がついたのは、アメリカの排ガス規制をいち早くクリアしたCVCCエンジン搭載モデルが追加されてからだった。
排ガス規制で評価を得たクルマがあるいっぽう、1973年にわずか4カ月しか販売されなかった2代目の日産スカイラインGT-Rは、悲運の名車というべきか。4代目スカイライン(通称ケンメリ)をベースにスポーティに仕立てたこのGT-Rは、日本の昭和48年度排ガス規制に適合できず、197台生産されたにすぎなかったのだ。だからこそ「伝説」になったともいえるのだが。
乗用車としては日本初となる4WD車が登場したのも’70年代のこと。スバル・レオーネは1972年に商用車のエステートバンに4WDを設定していたが、1975年には乗用セダンにもラインアップされるようになった。ちなみにこの時代のレオーネの4WDシステムは、レバー操作でFFと4WDを切り替えるパートタイム式だ。
豪GMホールデン製ボディにロータリーエンジンを搭載したマツダのロードペーサーAP
新しく550ccになった軽自動車の規格に合わせてエンジンを変更したジムニー55
ケンとメリーのスカイラインとして一世を風靡した4代目スカイライン
1970年にデビューしたトヨタ・セリカ。スペシャリティカーとして確固たる地位を築く
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ディーゼルエンジンが注目され始めた時代
優れた熱効率から近年再び脚光を浴びているディーゼルエンジン。その発明は1892年と古いが、普及しはじめたのは燃料消費量が重視されるようになった1970年代になってからだ。
ディーゼルエンジンは重量増と振動、そしてガソリンエンジンよりパワーに劣るのが弱点だが、その難題にチャレンジしたのがフォルクスワーゲンとダイムラー・ベンツの2社だった。
フォルクスワーゲンは90%近くのパーツをガソリンエンジンと共用することでわずか15㎏増で済ませたディーゼルユニットを開発し、ゴルフに搭載。 ダイムラー・ベンツはターボを装着することで非力さを解決し、フラッグシップのSクラスに300SDをラインアップした。両車ともに販売は好調で、以後、数多くの追随車を誕生させた。
名スポーツエンジン列伝/「L型」(日産、直4、直6) ’80年代中盤までスカイラインなどの日産車に幅広く搭載。排気量の幅は直6で2ℓから2.8ℓと広い上に、強度にも優れ3ℓ以上の排気量アップにも対応するほどだった