【GM(ゼネラルモーターズ)①】世界一の自動車メーカーだったが苦しい時期も
『ここをチェック』
★77年連続で生産台数世界1位の座をキープした
★しかし2009年には「連邦倒産法第11章」が適用される
★その後再上場も果たし、新生GMとして躍進を目指す
世界一の自動車メーカーだったが苦しい時期も
アメリカ最大手のGM(ゼネラルモーターズ)は、生産台数世界1位の座に君臨した自動車メーカー。近年はトヨタと熾烈なナンバーワン争いを繰り広げ、2012年には首位から陥落した。しかし「77年連続トップ」という金字塔は、今後破られることはないだろう。
というと、終始GMが順風満帆だったように感じられるかもしれないが、今世紀初頭の同時多発テロやサブプライムローン問題、マーケットが低燃費志向になったことなどから、収益が激減。アメリカ政府の介入もむなしく経営破綻に追い込まれたGMは、2009年に「連邦倒産法第11章(※①)」を適用されることになったのだ。
補足情報
①連邦倒産法第11章
アメリカ合衆国連邦倒産法の第11章のことを指し、略してChapter 11(チャプターイレブン)と呼ばれることも多い。債務者自らが債務整理案を作成し、債務者主導の再建が可能であるという点で、日本でいう民事再生法に相当する。リーマンブラザースが2008年に申請したことでも知られる。
優良資産を譲渡することで復活を果たし、再び株式市場に上場したのが2010年11月。新生GMがスタートしたのは、今からほんの少し前のことだ。
GMの起源は、ビュイックの経営者ウィリアム・C・デュラントが1908年に設立したことから始まる。同年にオールズモビルを買収し、翌年にはキャデラック、オークランド(のちのポンテアック)を、1918年にはシボレーを傘下に収めた。1919年に金融会社GMACを設立すると、そのオートローンが潜在顧客を開拓し、販売台数が飛躍的に向上。1931年にオペル(※②)を完全子会社化すると、販売台数でフォードを抜き世界1位となった。
補足情報
②オペル
1863年創業のドイツの自動車メーカー。自動車の製造は1899年から。1929年以降はGMの子会社となり、主に欧州ビジネスを担当。2009年に売却されることが決定したが、GMは土壇場でこれを撤回した。2017年にはPSAへの売却が決定したことでふたたび注目をあびている。
以降もいすゞ、スズキ、ロータス、富士重工など数多くの自動車メーカーに出資するが、前述の激動の時代にほとんどを手放している。
2012年にPSA(プジョー・シトロエン)と資本提携に至ったが翌2013年には解消。その後、オペルブランドをPSAに売却すると、PSAがFCAと合併するという動きとなる。欧米の自動車メーカーの動きは活発で目が離せない状況となっている。
2014年1月にビッグ3初の女性CEOとなったメアリー・バーラ。ニックネームは「カーギャル」
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世界1位を維持したGMの経営哲学とは?
今でこそGMのライバルは世界生産台数トップの座を争う日本のトヨタなわけだが、長らく同じ米国のフォードが、GMにとってはしのぎを削る相手だった。
T型フォードで大成功を収めたフォードに太刀打ちできなかったGMが選んだ手段は、物量による攻撃だ。
傘下のブランドをフル活用し、富裕層から低所得者層までをカバーする強力なラインアップを展開。各ブランドにはそれぞれ個性を与え、かつ毎年のモデルチェンジによる新鮮さでマーケットの注目を惹きつけた。
オートローンを扱うGMACという金融会社の設立も追い風になり、1931年に念願のフォード越えを果たした。以降GMは、2007年まで世界1位の座を守り通した。
①ハイゼット ②アクティ ③エブリイ ④サンバー(正解=③)