【1990年代の自動車②】この時代を代表する海外のモデルは?・この時代を代表する日本のモデルは?

この時代を代表する海外のモデルは?

好景気な1980年代末期に設計されたモデルは、その背景ゆえに贅沢な設計になっていることが多い。1991年デビューのメルセデス・ベンツSクラスがよい例で、巨大なボディにはV型12気筒エンジンまでを用意。トラクションコントロールを筆頭に安全装備が充実しているのはもちろん、サイドウインドウを二重にして防音と空調の効率化が図られなど、贅の限りが尽くされた。
1994年に登場したアウディのフラッグシップであるA8は、ASF(アウディ・スペース・フレーム)と呼ばれるオールアルミボディが斬新な1台。オールアルミは既にホンダNSXが実現していたが、通常のモノコック構造であったNSXに対し、こちらはアルミ製のスペースフレームにアルミのパネルを貼り付けるというスタイルを採用していた。
1997年には、ポルシェ911が初めての〝完全なフルモデルチェンジ〟を実施し、コードネーム993から996へと進化したことも大いに話題になった。エンジンもボディも全面的な新設計で、ヨーロッパの排ガス・騒音規制に適合させるため、トレードマークだった空冷水平対向6気筒エンジンから、水冷の水平対向6気筒エンジンに改められている。


巨大なボディにV12エンジンの設定、二重ガラスと贅の限りを尽くしたメルセデス・ベンツSクラス


メルセデス・ベンツも潮流には逆らえず、W210型Eクラスからは柔らかな乗り味になった


アウディA8はアルミフレームにアルミのパネルを貼る独自のアルミボディを採用した


生産台数でライバルのCクラスを破った4代目BMW3シリーズ。ボディバリエーションも豊富だ


完全なフルモデルチェンジを実施し、ついに水冷エンジンとなった5代目ポルシェ911

この時代を代表する日本のモデルは?

1990年に登場したホンダNSXは、3ℓのV型6気筒エンジンをミッドマウントする本格派スポーツカー。ボディはオールアルミ製で、当時のフェラーリにも匹敵する流麗なスタイリングが与えられている。ミッドシップスポーツカーとしてはロングテールなため、「トランクにゴルフバッグが積める」という点もNSXの特徴のひとつであった。翌年には同じくミッドシップのビートがホンダから発売されるが、こちらは2シーターオープンの軽自動車だ。
華やかなクルマから始まった’90年代だが、景気が冷え込むと実用的なモデルが投入されるようになる。1993年登場のスズキ・ワゴンRは全長、全幅に制限のある軽自動車規格で、いかにスペースを稼げるかを命題にしたクルマ。スズキが出した解答が「全高を大きく取ったトールワゴンスタイル」で、これはのちに軽自動車のスタンダードとなった。
1997年に登場したトヨタ・プリウスは世界初の量産ハイブリッド車。一風変わったセダンボディに1・5ℓエンジンと電気モーターを搭載し、28・0㎞/ℓ( 10 ・15モード)という驚異の燃費を達成した。


軽自動車でフルオープン、ミッドシップをはじめて実現したのがホンダのビート


1.8ℓ・V6というマツダのユーノス・プレッソ。この後、三菱は1.6ℓ・V6を登場させる


トヨタがライトクロカンに参入したRAV4。当初は3ドアのみ、のちに5ドアを追加


トヨタとは思えない大胆な発想が取り入れられたセラ。ガルウィングドアが一世を風靡

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自動車大国アメリカの小さくて大きい逆襲

1970年代のオイルショック以降、日本車の攻勢に押されてきたアメリカの自動車産業は、’90年代に入ってようやく反撃を開始した。
先手を打ったのはGMで、小型車(アメリカ車としては)を中心に扱うブランド「サターン」から1990年にSシリーズを発売。環境保護とメンテナンスコスト、燃費を配慮した同モデルは、目論みどおりアメリカ国内では成功を収めた。
クライスラーは4年遅れで廉価な小型セダンのネオンを登場させる。ベースモデルが9000ドルを切ると話題になり、日本でも「日本車キラー登場」とメディアで取り上げられた。
ただ、どちらも日本のマーケットへ導入されたが、「日本車的なアメリカ車」への需要は少なく、商業的には失敗に終わり、両モデルは早々に日本市場から撤退することとなった。

GMは日本車への対抗策として、まったく新しいブランド「サターン」を1985年に立ち上げた。小型車に取り組むだけでなく、販売面でも細やかな配慮を行ない、米国内では成功を果たした


クルマ豆知識
日本のパーツメーカー/「アイシン精機」 トヨタグループに属するが、供給はトヨタ系以外にも行なっている。供給するパーツはエンジン関係やカーナビといったエレクトロニクス関連に加え、ATやMTなど多岐に渡る


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